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「ざるそば」より「天ぷらそば」のほうが太りにくい?【食べても太りにくいのはどっち】「野菜炒め定食VSしょうが焼き定食」では?

そばと天ぷらそば
「ざるそば」と「天ぷらそば」太りにくいのはどっち? (Ph/イメージマート)
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外食メニューは選択肢が多く、何を食べれば太りにくいかを判断するのが悩みどころ。そこで、太りにくいメニュー選びのコツとその理由を、話題の新刊『食べても太らないのは、どっち?』(三笠書房)を上梓した管理栄養士・菊池真由子さんが教えてくれた。

【野菜炒め定食VSしょうが焼き定食】豚肉のたんぱく質で脂肪燃焼

野菜炒め定食は630kcal(カロリー数は菊池さんの著書『食べても太らないのは、どっち?』より、以下同)なのに対し、豚肉がメインのしょうが焼き定食は716kcal。野菜炒め定食の方がカロリーも低く太りにくいはずと思いきや、太りにくいのはしょうが焼き定食

「太りにくさのポイントは豚肉のたんぱく質です。野菜炒めの主役は野菜ですから豚肉は少なめ。一方、しょうが焼きは豚肉が主役で、豚肉の量が多いほど脂肪の代謝に必要な、たんぱく質、ビタミンB1、ビタミンB2が豊富に含まれています」(菊池さん・以下同)

ただし、豚肉でも脂肪の多いバラ肉やこま肉はNG。脂肪が少なくたんぱく質やビタミン類が豊富なロース肉やもも肉を選ぼう。

太りにくいのはしょうが焼き定食だが、バラ肉やこま肉はNG
太りにくいのはしょうが焼き定食だが、バラ肉やこま肉はNG(Ph/イメージマート)
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「とはいえ、野菜をたくさん食べることができる野菜炒めは、ヘルシーな外食メニューとしては重宝です。野菜は炒めればカサが減るので、生野菜に置き換えれば見た目の2倍近くは食べられます。定食類の中でも低カロリーですし、野菜には腸内の老廃物を排出する食物繊維が豊富ですから、特に野菜不足が気になる人にはおすすめ」

ただし、中華料理店の野菜炒めは、炒め油にラードを使用している店が多い傾向にあるので控えるのが賢明。

「野菜の健康効果よりラードの脂肪量やコレステロール値が上がってしまい、デメリットの方が大きくなってしまいます。野菜炒めを食べるなら定食屋さんやファミレスがベター」

【あじの塩焼き定食VSさばみそ煮定食】可食部に含まれる栄養素の量が鍵!

あじとさばの青魚対決! どちらも太りにくく健康的なメニューだが、こってりしたみそ煮よりも、シンプルな塩焼きの方がダイエッター向きでは? あじの塩焼き定食は519kcalなのに対し、さばのみそ煮定食は781kcal。さばのみそ煮定食の方が262kalも高い! これはご飯一杯分のカロリーに相当するため、あじの塩焼き定食の方が断然太りにくいはず。ところが正解は、太りにくいのはさばのみそ煮。注目するのは味つけではなく魚の種類だった。

「一見してわかるのが食べられる身の量。さばの方が肉厚で含まれているたんぱく質や脂肪も多いのです。たんぱく質は体の代謝を活発にするため、太りにくさにつながります。また、魚の脂肪には血管の詰まりを溶かす、コレステロールや中性脂肪を抑える効果があり、やせ効果とともに健康をサポートする脂肪としても有効です」

太りにくいのはさばみそ定食。選ぶポイントは味つけではなく魚の種類! 
太りにくいのはさばみそ定食。選ぶポイントは味つけではなく魚の種類! (Ph/イメージマート)
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さらに、さばには糖質や脂肪をエネルギーに変えるビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシンなどの栄養素も豊富。ビタミンB1やB2はあじにも多く含まれるが、ビタミンの種類も量もさばが上回っている。

「あじの塩焼きも肉料理に比べれば太りにくいメニュー。どちらかに偏って食べるよりも、代謝UPにつながるさばのみそ煮と低カロリーのあじの塩焼きをバランスよく食べる方が、ダイエット効果は高いと考えます」

【ハンバーグ定食VSチキンカツ定食】肉の脂肪は“太る素”!

ひき肉より鶏肉の方が太りにくいから、太りにくいのはチキンカツ定食? でも、油で揚げてあるチキンカツより焼いたハンバーグの方が太りにくそうだから、太りにくいのはハンバーグ定食? 結局どっち? ちなみにカロリーは、ハンバーグ定食は895kcalなのに対し、チキンカツ定食は735cal。ここは脂肪の量が決め手となり、太りにくいのはチキンカツ定食。

「油で揚げるチキンカツの方が太りそうですが、実は脂肪の多いひき肉を使ったハンバーグの方が太りやすい。ジュワっとあふれ出す肉汁こそが“太る素”! 肉汁には、うまみ成分とたっぷりの溶け出た脂肪が入っているので、肉汁の多さは脂肪の多さに直結します」

チキンカツは揚げ物としての脂肪はあるものの、低脂肪の鶏胸肉を使う傾向にあるので、全体の脂肪量としては少なめ。

太りやすいのはハンバーグ。肉汁の多さは脂肪の多さに直結する!
太りやすいのはハンバーグ。肉汁の多さは脂肪の多さに直結する! (Ph/イメージマート)
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「さらに、つけ合わせの野菜にも要注意。チキンカツにはキャベツのせん切りやトマトなどの生野菜がついていることが多い傾向にあり、脂肪とカロリーが抑えられています。一方、ハンバーグとセットになる確率が高いのがフライドポテト。フライドポテトは糖質と脂肪の塊ですから、食べれば食べただけ体につきます」

ハンバーグが食べたくなったら、シンプルなものを選ぶこと。特にチーズ入りはダイエット中ならアウト! 脂肪の多いハンバーグに、高脂肪のチーズの組み合わせは脂肪オーバーとなりそう。

【えび天そばVSざるそば】カロリーにこだわるべからず!

これまでの対決でも、“揚げ物を食べたからといって太るわけではない” 、と菊池さんは言っているが、そうは言っても今回はえび天そばとざるそば。えび天そばの方が太るはず…! えび天そばは459kcalなのに対し、ざるそばは284kcal。カロリーだけ見れば文句なしの、ざるそば優位だ。結果は、太りにくいのはえび天そば。なぜ!?

「ざるそばは低カロリーメニューの代表格。太りにくいメニューではあるのですが、食材としてはほぼ麺だけ。麺の糖質をエネルギーに分解してくれる具材が入っていないため、食べた糖質は脂肪に変換されてぜい肉になりやすい。また、糖質は消化がよく2時間半程度で消化されます。つまり、食後すぐに胃の中が空っぽになるため、小腹がすきやすく間食をしがちに」

一方、天ぷらの脂肪は消化が悪く、胃の中で4時間程度とどまるためお腹もすきづらい。

「ざるそばやかけそばよりも、食後のカロリーを体温として発散させることができるたんぱく質の具材と一緒に食べる方が太りにくい。えび天をはじめ鶏天、いか天、ちくわ天など魚介でも肉でもOKですが、気をつけたいのは野菜天。特に大葉や薄切りの野菜は吸油率が高いためダイエット効果は期待できません」

野菜の天ぷら
大葉や薄切りの野菜を使った天ぷらは油を多く含んでいるので避けよう(Ph/イメージマート)
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たんぱく質にはやせ効果のビタミンやミネラルも豊富に含まれる。魚介類にはミネラル類、肉類にはビタミン類が多く、両方の含有率が高いのが卵。

カロリー表示のあるお店も増えているが、カロリーだけに左右されることなく低脂肪高たんぱくのメニューを意識して選ぶことが、太らない体作りには不可欠のようだ。

◆教えてくれたのは:管理栄養士・菊池真由子さん

管理栄養士・菊池真由子さん
管理栄養士・菊池真由子さん
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1966年大阪府生まれ。管理栄養士。健康運動指導士。NR・サプリメントアドバイザー。日本オンラインカウンセリング協会認定上級オンラインカウンセラー。大阪大学健康体育部(現・保健センター)、阪神タイガース、国立循環器病センター集団検診部(現・予防検診部)を経て、厚生労働省認定健康増進施設などで栄養アドバイザーを務める。ダイエットや生活習慣病の予防対策など、のべ1万人の栄養指導に携わる。著書に、ベストセラーになった『食べても食べても太らない法』(以上、三笠書房《知的生きかた文庫》)がある。https://www.diet-class.com/

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