即位後初めての外国訪問もイギリス 異例の国葬に参列
2020年春にエリザベス女王が天皇皇后両陛下を招待していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期となった。今回のイギリス訪問は、ウェストミンスター寺院で行われたエリザベス女王の国葬に参列された2022年9月以来となる。このときの外国訪問は即位後初めてだった。
天皇が外国の葬儀に参列することは皇室の慣例からして異例のことで、海外のメディアでも、両陛下が女王の葬式に出席されたことが取り上げられた。
エリザベス女王が亡くなった翌日の2022年9月9日、天皇陛下のお気持ちが公開された。
「我が国との関係においても、女王陛下は両国の関係を常に温かく見守ってくださり、英王室と皇室の関係にも御心を寄せてくださいました。私の英国留学や英国訪問に際しても、様々な機会に温かく接していただき、幾多の御配慮をいただいたことに重ねて深く感謝したいと思います。
また、女王陛下から、私の即位後初めての外国訪問として、私と皇后を英国に御招待いただいたことについて、そのお気持ちに皇后とともに心から感謝しております」
家族の一員のようにおもてなしを受けた留学時代
天皇陛下が異例の国葬や供花を強く望まれた理由は、1983年にオックスフォード大学に留学されていたときの“思い出”からうかがえる。当時、お茶会やバーベキューに招待されるなど、家族の一員のようなおもてなしを受けたことをイギリス訪問前の会見で明かされた。
また、ウィンザー城でのお墓参りと王立キュー植物園のご訪問後、報道陣の取材に応じられ、エリザベス女王の思い出について触れられた天皇陛下。
「エリザベス女王陛下には、来日された時にも、私はまだ小さかったですけれどもお会いしましたし、特に留学している間はバッキンガム宮殿にお茶に呼んでいただいたり、それからスコットランドのバルモラル城にご招待いただいたり、あるいはガーデンパーティーにご招待いただいたり、その都度、本当にいつもよくしていただいたこと、これはエディンバラ公(フィリップ殿下)もそうでしたけども、大変心から感謝しておりますし、今回はエリザベス女王陛下、エディンバラ公フィリップ殿下に、今までのいろいろお世話になったこと、本当によくしていただいたことに対する心からのお礼の気持ちで今日は参拝をさせていただきました」
留学を終えた後、「寮の部屋ごと、記念に持って帰りたい心境です」と述べられるほど天皇陛下にとって特別な思い出を作られていた。
その後も、2001年5月に天皇陛下(当時は皇太子)はイギリスの招待により、日本文化を紹介する「Japan2001」のオープニング開幕行事にご出席するためイギリスを訪問されている。天皇陛下は、ウィンザー城に滞在され、夕食を共にしたり、城の中にある図書室を案内してもらったりするなど、交流を深められた。
今回、チャールズ国王やウィリアム皇太子など、多くの人から「ウェルカムバック」(お帰りなさい)と声をかけられたという天皇陛下。英国王室との絆の深さを改めて感じられたご訪問となったことだろう。