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美容外科医ら“美のプロ”7人が本当にやっている「美容医療」 アンチエイジングを目指す最新技術を一挙紹介!

ボトックス注射
アンチエイジングを目指す最新技術とは?(Ph/イメージマート)
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目尻や眉間のしわ、弾力のない肌、たるんだフェイスライン、増えるシミ――鏡を見るたびに「寄る年波には勝てない」と嘆いているあなた。その悩みを解決する最新美容医療を、美の賢者たちに直撃。全身脱毛はいまやあたりまえ? アンチエイジングを叶え、“美の寿命”を延ばす最新技術を大公開する。

50才を過ぎてから美容医療にチャレンジする人も少なくない

医療脱毛や美容外科など、美容医療が「整形」とひとくくりにされ、どこか後ろめたさがあったのはいまや昔。医療技術の進歩とともに、需要が高まり、男女問わず「身だしなみ」として取り入れる人も珍しくなくなった。矢野経済研究所の調査によると、美容医療市場は2009年の約2400億円から2022年には約4000億円とおよそ1.7倍に急拡大している。

肌に負担をかけない施術も増え、50才を過ぎてから「アンチエイジングのために美容医療にチャレンジ」する人も少なくない。フェムケア・スパジャーナリストの惣流マリコさんが言う。

フェムケア・スパジャーナリストの惣流マリコさん
フェムケア・スパジャーナリストの惣流マリコさん
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「私の母は70才過ぎから美容医療を始めました。私がやっているのを見てうらやましくなったみたい。母の友人たちも、“誰かがやっていてよさそうだから”と受けてみる人はとても多いですね。いままで何もしていなかった50代、60代のかたは簡単な治療でも劇的に効果が出るのでどんどんきれいになるんです」

渋谷あおぞらクリニック美容外科・美容皮膚科院長の鶴田優希さんも続ける。

渋谷あおぞらクリニック美容外科・美容皮膚科院長の鶴田優希さん
渋谷あおぞらクリニック美容外科・美容皮膚科院長の鶴田優希さん
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「私の母も50代くらいで始めて、みるみるきれいになりました。見た目の変化とともに内面も若返って人生後半戦を楽しもうという気持ちが強くなっているのがうれしいです」

とはいえ、「興味はあるけど、どれをやればいいかわからない」人は多いはず。美容のプロが本当にやっているメニューを見てみよう。

シミやしわをなくし美肌にする美容医療の種類

惣流さん自身が美容医療を初めて受けたのは30代半ばのとき。「老化のスピードにエステやスパでは追いつかなくなった」と話す。

「エステやスパより美容医療の方が早いと気づいたのが30代半ばです。いちばん初めにした美容医療はフォトフェイシャルのIPLです。顔全体に光をあてるもので、シミ、毛穴の開きやくすみに万遍なく効いて美肌になれる。特にシミが気になり始めた頃だったので、施術から1週間後くらいでシミがかさぶたになってポロポロと落ちていくのは快感でした。いまでも月に1回は受けています」

あきこクリニック院長の田中亜希子さんも、29才でIPLを始めた。

あきこクリニック院長の田中亜希子さん
あきこクリニック院長の田中亜希子さん
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「IPLにもいろいろな種類があって、私はルクセアという機械で受けています。シミのもとになるメラニンにも反応しますし、繊維芽細胞の活性化を促すのでくすみも薄くなって毛穴も小じわも目立たなくなります」

光による美容医療は、いくつもの種類が次々と登場している。「比較的新しい施術」を受けているのが美容家の飯塚美香さんだ。

美容家の飯塚美香さん
美容家の飯塚美香さん
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「くすみをなくして顔のトーンアップ効果を得られるライムライトは、レーザーに比べダウンタイムもなく、コラーゲンの生成を促してくれます。始めてから1年ほどですが、年齢とともにコラーゲン量は減少するのでそれを補うものとして満足できる効果があります。レーザー治療ではジェネシスを受けていて、顔全体にハリをもたらし引き締めてくれるんです」

定期的に受けることで効果を発揮するのがボトックスだ。いまや美容医療の代名詞として広く浸透しており、実際に日本美容外科学会が公表する統計によれば、2017年に約25万件だった施術数は2022年には約84万件にまで増えた。鶴田さんは「予防医療」として定期的に受けている。

「美容医療の定番で比較的ハードルが低いので、最近では男性でも打つ人は増えています。表情じわといわれる目尻や眉間のしわが目立たなくなります。恒久的な効果はありませんが、定期的に打つことでしわができにくくなり、予防効果が高い」(鶴田さん)

惣流さんもこう重ねる。

「コンスタントに受けているとどんどん間隔が開いていきます。私もボトックスを始めた頃は頻繁に打っていましたが、いまは間隔も安定している。何もやっていなかった頃より状態がどんどんよくなっていることを実感します」

銀座ケイスキンクリニック院長の慶田朋子さんは、フォトフェイシャルやボトックスについて、「ダウンタイムがほとんどない」とその利点を挙げる。

銀座ケイスキンクリニック院長の慶田朋子さん
銀座ケイスキンクリニック院長の慶田朋子さん
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「ダウンタイムは術後に生じる赤みや痛み、腫れなどを指します。その点で、フォトフェイシャルやボトックスは負担が少ない。ボトックスは針で薬剤を注入しますが、鍼灸鍼とさほど変わらない細さなので内出血もほぼ見られません。私自身、フォトフェイシャルは3か月ごと、ボトックスは4~5か月ごとに受けていますが、日常生活への影響もないですね」

顔の輪郭を保つためのマシン「ウルセラ」「サーマクールFLX」

シミやしわをなくし、美肌にする以外に、顔の輪郭を保つために慶田さんが受けているのがウルセラやサーマクールFLX。

「ウルセラは、超音波の熱エネルギーを与えてリフトアップ効果を得られるHIFUの“最高機種”。サーマクールも高周波で立体的に熱を加え引き締めます。世界的にもウルセラとサーマクールはリフトアップマシンのツートップ。年をとると、顔の支持靭帯と皮膚が伸びて脂肪がだぶつき、輪郭が四角に崩れてきます。

そこでマシンで熱刺激を与えて、皮膚から筋膜までの組織を支えるゆるんだコラーゲンを収縮させて引き締めを図る。熱刺激をきっかけにコラーゲンが再生し、顔の構造をリモデリング(再構築)します。ウルセラやサーマクールは表情筋の上にあるSMAS(筋膜)という薄い層にもアプローチできるのです。

老化していないコラーゲンに傷をつけるのは害になるので20代半ばまでの若年者はしない方がいい。中高年こそ効果が実感できる施術です」(慶田さん)

医師として患者に施術をしているからこそ、納得したうえで受けられると話すのは、湘南美容クリニック銀座一丁目院院長の岩砂里美さんだ。

湘南美容クリニック銀座一丁目院院長の岩砂里美さん
湘南美容クリニック銀座一丁目院院長の岩砂里美さん
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「ボトックスやHIFU、サーマクールは3~4か月に1度の頻度で、10年くらい継続して受けています。美容外科医になる前から知っていましたが、施術する側になって講習などを受け、仕組みや効果を理解できました。施術後に目に見えてリフトアップ効果があるというより、10年前の写真といまの自分を見比べたときに10年前より若返っているなと確実にアンチエイジング効果を感じます」

美容医療にも効果やダウンタイムがゆるやかなものから、強い効果がある分、ダウンタイムが長いものまでさまざまある。施術を受けていく中で“ステップアップ”することもある。

「45才のときに、トゲがついている溶けるタイプの糸を針で顔に入れて皮下脂肪の位置を整えてたるみを改善しフェイスラインを上げる糸リフトを始めました。リフトアップだけでなく、糸を入れたところにはコラーゲンが生成されるので肌に潤いやツヤもよみがえる。

光やレーザーの照射系やボトックス、ヒアルロン酸注入などいろいろ試したうえで、45才ではそのいずれでも効果を感じにくくなった。糸リフトは一歩踏み出す気持ちで始めましたが、満足いく効果を得られたので患者さんにも丁寧に説明できます」(田中さん)

美容医療でできるデリケートゾーンのケア

美容医療の範囲は、顔周辺だけにはとどまらない。

「デリケートゾーンの美容外科でいまニーズが高まっているのが、インティマレーザーという機械を使ったレーザー治療です。産後のママや更年期以降の年齢が高いかたの層に特に人気で、加齢による女性ホルモンの減少で乾燥していた腟に潤いが戻って痛みがなくなったり、ゆるんだ腟が引き締まって尿漏れ予防にもなる。私も月に一度、数回受けましたが、今後も続けていこうと思っています」(鶴田さん)

惣流さんは、インティマレーザーに加え、モナリザタッチという腟レーザーも受けている。

「働きかける粘膜の層や深さが異なるので、月に1回、交互に受けることで万遍なく全体的に若返ることができます。モナリザタッチはかゆみや乾燥といった更年期以降の不調を解決してくれて、インティマレーザーはコラーゲン生成や尿漏れ対策にいい。7年ほど前からずっと続けている施術です」(惣流さん)

美容医療はレーザーや光照射など必ずしもマシンを使うものばかりではない。点滴で体の内部から、全身の若返りを図るのは美容皮膚科医の田中優子さんだ。

美容皮膚科医の田中優子さん
美容皮膚科医の田中優子さん
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「定期的に受けているのはNMN点滴とビタミンC点滴です。NMNは長寿遺伝子を活性化させるとブームになっていますが、それ以前からクリニックでも行っていますし、私自身も継続しています。シミやしわという部分的なことだけでなく、思考がクリアになる、集中力がアップする、肌のハリが増す、など外面的にも内面的にも若返りを実感します。サプリメントもありますが、点滴の方が効果が出やすいです。

高濃度ビタミンCは通常の50~100倍くらいのビタミンCを入れていて、肌の色が抜けるように白く、クリアになってしわも改善されます」

美容医療の施術を受ける際のクリニックの選び方

気になる美容医療が見つかったら、次に吟味したいのは「どこで施術を受けるか」というクリニック選び。

「いまクリニック数が急激に増えていて、正直怪しいクリニックも多い。営業や押し売りが強いクリニックは絶対に選んではいけません。美容医療は多くが自由診療で値段もさまざまですから、医師と話しながら、自分に必要なものをじっくり選べるクリニックがいいですね。カウンセリングに行ってその日のうちに希望していない施術を無理やりすすめるようなクリニックは避けた方がいい。また、医師が自分の名前や経歴、顔をきちんと出して、どんなふうに情報発信をしているかどうかも大きなポイントになると思います」(鶴田さん)

患者と話す日本人女性医師
「どこで施術を受けるか」というクリニック選びは大切(Ph/イメージマート)
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医師によって技量も異なるのが美容医療の特徴だ。

「誰がやっても同じ、というのは大きな間違いです。ボトックスは筋肉の動きを止めてしまうので、薬剤の量や打つ位置によって大きく顔が変わってしまいます。目が開けづらくなるなどリスクもあるので、医師の実績はしっかり調べた方がいいですね。またレーザー系で出力が高いほど効果があると思う人がいるのですが、照射の出力は一人ひとり違うので、しっかりとカウンセリングをして丁寧に調整してくれる医師を選んでください」(岩砂さん)

美容医療が“大人のたしなみ”となったいま、情報を精査し信頼できる医師を見つけて美しく年を重ねよう。

美容のブロがやっている美容医療解説

ボトックス

筋肉の動きに関与する神経伝達物質の分泌を抑制し、一時的に筋肉を麻痺させる効果があるボツリヌス菌の毒素(ボツリヌストキシン)から抽出した成分を投与する。しわ改善効果や、エラ張りを抑え小顔効果がある。

HIFU(ハイフ)

High Intensity Focused Ultrasound(高密度焦点式超音波)の略で、超音波を皮膚の深層に照射し肌の引き締め、リフトアップ効果が得られる。皮膚層のみに熱を与えるので皮膚表面へのやけどやダウンタイムはほとんどない。

サーマクール

深部に浸透する高周波を皮下組織の繊維や真皮層に浸透させ、肌を引き締めてたるみを改善する。また、組織が修復する過程でコラーゲンが生成され、肌にハリやツヤを与え、毛穴引き締めやしわ改善効果も期待。

ケミカルピーリング

顔全体に薬剤を塗って皮膚表面の汚れや古い角質を除去しながら肌のターンオーバーを促し、肌荒れや肌のトラブルを改善。毛穴の開き、シミ、しわ、そばかす、肌のくすみなどに効果。

フォトフェイシャル(IPLなど)

広域波長の光を照射し、シミやそばかすを改善。コラーゲンの生成を促し、肌のハリやキメを整え、しわや毛穴の引き締め、トーンアップに効果。痛みや、肌へのダメージ、腫れや内出血なども比較的少ない。

フォトフェイシャルを受ける日本人女性
フォトフェイシャル(Ph/イメージマート)
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糸リフト

針を使用し、糸を顔の組織内に挿入。糸についている立体が組織を引き上げ、たるみ改善、フェイスラインのリフトアップ効果をもたらす。糸は数か月で溶けるタイプのものが多い。コラーゲンを生成して肌にハリやツヤをもたらす効果も。

腟レーザー(モナリザタッチなど)

腟内粘膜にレーザーを照射して細胞や筋肉に直接アプローチすることで組織の再生を促し、腟内を引き締め、厚みや弾力、潤いを取り戻す。においやかゆみのほか、尿漏れ改善効果も期待できる。

ウルセラ

HIFUと同様に超音波を照射してリフトアップ効果をもたらすが、ウルセラは皮下組織のさらに深部まで届いて肌のたるみやしわを改善。効果が強い分、術後の赤みなどもHIFUに比べるとやや強く出ることがある。

スネコス注射

加工なしの「非架橋ヒアルロン酸」と6種類のアミノ酸を配合した製剤を注射で真皮層に注入。コラーゲンとエラスチン(たんぱく質)を生成し、肌のハリや弾力を回復させる。皮膚に厚みや潤いが出て目の下のクマ治療に効果。

プロファイロ注射

皮膚の深層や脂肪に作用する次世代ヒアルロン酸を注入。気になる部位に直接注入するヒアルロン酸とは異なり、皮膚内部でコラーゲンとエラスチンを生成し皮膚全体を若返らせ、しわやほうれい線および皮膚のたるみやもたつきを改善する。

次世代ヒアルロン酸を注入(Ph/イメージマート)
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ビタミンC点滴

高濃度のビタミンCを全身に行き渡らせ、老化を予防。抗酸化作用が高く酸化による細胞の劣化を予防し、コラーゲンを生成して肌のハリやツヤの改善など美肌効果にもつながる。

ジェネシス

肌の表皮、角質層、真皮層の上層にレーザーで熱を加え、肌の代謝を促す。古い角質を除去し、コラーゲンの生成を促進して肌を引き締め弾力をもたらす。毛細血管にも作用し、クマや赤ら顔改善効果もある。

NMN点滴

サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)を活性化させるNMNを体内に吸収させて、身体機能の衰えをゆるやかにしたり、睡眠の質向上、疲労回復、肌質改善、薄毛予防などのさまざまな若返り効果が得られる。

ライムライト

シミの原因となるメラニンに反応する光をあててシミを浮き上がらせ、かさぶたとして剝がし落とす。シミのほか、そばかすやくすみなどの肌トラブルを改善し肌質を向上させる。レーザーよりも肌への負担が少ない。

◆教えてくれたのは:
美容家・飯塚美香さん
美容皮膚科医・田中優子さん
フェムケア・スパジャーナリスト・惣流マリコさん
美容皮膚科医・慶田朋子さん
美容外科医・田中亜希子さん
美容外科医・岩砂里美さん
美容外科医・鶴田優希さん

※『女性セブン』2024年7月18日号

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