「一気に老けて見える」「暗い印象になる」など、シミにはマイナスイメージがあり、美容医療の中でもシミ取りは人気が高い治療。しかし、思うような結果が出ないというお悩みもあるようです。そこで、R.O.clinic院長の呂秀彦先生にシミ治療について伺いました。
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【お悩み】シミ治療後に肌の色が濃くなったけど大丈夫?
「あるクリニックでレーザーのシミ治療の施術を行いました。手術後2週間ですが、肌の色が濃くなりました。これは消えていくのでしょうか? 消えない場合、どんなリカバリー方法があるのでしょうか?」(50才・会社員)
一般的なシミ取りレーザーに比べ、優しくアプローチする「ピコレーザー」
年齢を問わず多くの女性が悩むシミ。ターンオーバーが乱れやすくなる40代以上ともなると特に深刻ですが、気になるシミのレーザー治療にはどんなものがあるのでしょうか。
「当院でシミのレーザー治療として行っているのは、ピコレーザーです。一般的なシミ取りレーザーに比べ、肌に優しくアプローチしますが、目立つシミや薄いシミ、そばかす、肝斑、毛穴、ニキビ跡などの肌改善に効果が期待できます。かさぶたになりにくく、色素沈着のリスクが少ない治療です」(呂先生・以下同)
レーザー後に色素沈着が起こり、シミが一時的に濃くなることも
ピコレーザーは近年人気の高い治療ですが、施術後にシミや肌が濃くなってしまうことはあるのでしょうか。
「シミには色々な種類があり、症状によって適切な治療法が異なるため、シミの治療は、実は判断が難しいんです。レーザー治療も複数あり、適した治療でないとシミが薄くならなかったり、以前より濃くなってしまったりする場合もあります。適切な判断をするには医師の経験値も必要になってくるので、経験豊富なクリニックを選ぶことも大切です。
レーザーを照射すると肌のメラノサイトがダメージを受けてメラニンを生成し、一時的に色素沈着が起こり、シミが赤黒くなることがあります。炎症後の色素沈着を言いますが、落ち着くのに3か月ほどかかります。それによって肌の色が濃く見えてしまうこともあるでしょう。
炎症後の色素沈着は肌のターンオーバーによって徐々に薄くなっていきますが、適切な薬の使用やスキンケアを行うことも必要です」
レーザー治療に加え、シミに効果的な薬やコスメを併用する
シミをキレイにするにはレーザー治療に加えて、薬の服用やスキンケアが必要ということですが、どんな薬を服用したり、スキンケアを行ったりするといいのでしょうか。
「生成されたメラニンは、本来、肌のターンオーバーによって排出されますが、ターンオーバーが乱れていると排出がうまくできません。そこで、ハイドロキノンやトレチノインなどシミに有効な外用薬や、同成分が入った化粧品などを患者さまの肌の状態に合わせて処方します」
有効成分の入ったコスメを使い続ける
シミに有効な成分の入った化粧品は、長く使い続けることでメリットもあるそうです。
「最低3か月は使い続けることをおすすめしています。それ以上使い続けることで、シミの予防効果は高まります。もちろん、市販のコスメを使っていただいでもいいと思いますが、気になることがあれば医師や看護師に相談するといいですよ」
シミの予防や再発防止には紫外線対策と正しいスキンケアが重要
「シミができる部分は、そもそも細胞が老化しているため、肌の乾燥や摩擦、紫外線、ストレスなどの影響を受けやすく、レーザー治療を行っても再発する可能性があります。
ですから、新しいシミを作らない、シミを再発させないためにはレーザー治療に頼るだけでなく、日焼け止めをしっかり塗って紫外線からガードすることも重要。また、肌の保湿やターンオーバーを正常にするためのスキンケアをきちんと行うことが大切です」
◆教えてくれたのは:R.O.clinic院長・呂秀彦先生
日本形成外科学会専門医。医学博士。日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本美容医療協会所属。順天堂医学部卒業後、昭和大学形成外科・美容外科、大手美容クリニックを経て、2020年にR.O.clinicを開院。患者一人ひとりに真摯に向き合った、丁寧なカウンセリングとオーダーメイドの治療が好評。https://ro-clinic.com
撮影/黒石あみ 取材・文/青山貴子