健康・医療

“病気にならない体”のために「冷え」「夜ふかし」の改善が重要と医師が語る理由

長生きしたいなら早く寝る?

もう一つのポイントは「夜ふかし」を改善することです。中国の自然哲学では、自然界のことを陰と陽の相反する要素で考え、陰と陽が補い合ってバランスをとっていると考える。漢方医学は中国の自然哲学の考え方を応用したものであり、これを1日に置き換えると、22時から2時に「陰」のピークを迎え、この時間帯に眠ることが体調を整え、傷んだ体を治すという経験則的な考えになっているという。

22時に就寝する女性
長生きのためには夜更かしはNG(ph/photoAC)
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「その原則からいくと、病気の人は22時までに、健康な人でも0時までには寝ることがよいとされているのです。この理論は、漢方医学だけでなく、解剖生理学的に見ても理にかなった考えです」

眠っている間に酵素が体を修復

睡眠中は体のなかで酵素が組織を修復している。22時ごろから酵素が体のメンテナンスに入り、午前2時頃に、病気の原因となる活性酸素を中和してくれる抗酸化物質であるメラトニンの分泌が最も活発になる。

「同じ長さの睡眠時間だとしても、たとえば22時から午前2時までの4時間と、午前3時から7時までの4時間とでは、前者のほうが体によい睡眠がとれるということになります」

朝型生活は時間を有効活用できる

健康以外の観点でも、夜ふかしをしない朝型生活には、時間を効率的に使えるというメリットがある。川嶋さんは基本的に午前5時に起床し、そこから子どもたちが起きてくるまでの時間を執筆の時間に当てているそう。朝の時間は家族の起床や出社などタイムリミットがあり、夜のほうが時間を気にせず執筆がしやすそうだが、一方でその生活が際限なく続きやすく、体によくないためだ。

「私はタイムリミットというデメリットを逆に利用して、執筆の仕事はここからここまでという区切りが守れるように朝早く起きてやることにしているのです」

仕事に限らず、趣味など、つい長時間熱中して夜更かしにつながるような習慣がある人は、早起きして朝の時間を充てるなど、タイムリミットを有効に活用しよう。

◆教えてくれたのは:医師・川嶋朗さん

白いスーツを着た男性
医師の川嶋朗さん
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かわしま・あきら。神奈川歯科大学大学院統合医療学講座特任教授。統合医療SDMクリニック院長。北海道大学医学部卒業後、東京女子医科大学入局。ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院などを経て2022年から現職。漢方などの代替、伝統医療を取り入れ、西洋近代医学と統合した医療を担う。著書に『どうせ一度きりの人生だから 医師が教える後悔しない人生をおくるコツ』(アスコム)など。https://drs-net.com/profile/

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