どこへ行っても人・人・人。オーバーツーリズムが問題になっていますが、探せば人気の観光地でも、ゆったり過ごせるスポットや方法はあると言う。今回は旅行ジャーナリストの村田和子さんに、「オーバーツーリズムに負けない!東京・大阪・京都など人気観光地をゆったり楽しむ穴場スポット」を紹介してもらった。
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オーバーツーリズムが問題となり、混雑やホテル代高騰など、国内旅行を楽しむのにも工夫が必要になってきています。穴場へ旅をするのもおすすめですが、混雑を覚悟してでも人気観光地へ旅をしたいというかたも多いことでしょう。夏の暑さも厳しくなる中、人気観光地に訪れる際には、確実にゆったりと過ごせる時間を確保したいもの。今回はインバウンドで混雑する東京・大阪・京都で、宿泊・食・体験をゆったり楽しめるスポットや方法をご紹介します。
東京:今、五反田が穴場&面白い!隠れた名店と夜景を堪能~OMO5東京五反田 by 星野リゾート
インバウンド旅行者が多く都内もホテル代が高騰しています。そんな中、周辺(恵比寿、渋谷、品川)と比較し宿泊が手ごろな穴場が「五反田」。JR山手線、都営浅草線、東急池上線の3路線が利用でき、新幹線や飛行機利用はもちろん、観光にも便利な立地です。地元の人に愛される隠れた名店が多く、食を楽しむのにももってこい。
地上60mにあるOMOカフェ&バルは、日帰りも利用OK
そんな五反田の街に今年4月にオープンしたのが、五反田JPビルディング。1階には地元の人気店や東京初出店のお店もあるオシャレなフードホールがあり、そして注目なのが14階にフロントロビーがある「OMO5東京五反田(おも) by 星野リゾート」。地上60mにあるロビーは別世界に迷い込んだよう。
街を一望する開放感あふれるロビーには「OMOカフェ&バル」が併設されており、日帰りでの利用もOK。ティータイムやランチ、夜にはバーとして利用でき、刻一刻と変わる空や街の景色を楽しめます。
テンション上がる客室。窓際には寛げるソファーも
気になる客室は、入った瞬間に思わず「すごい!」と声がもれるほど、テンションがあがります。床から天井まである大きな窓からは空と眼下に東京の街を望む絶景が広がります。
お腹を満たす魅力満載の五反田を味わい尽くす
旅といえば食も楽しみのひとつ。なんでもある東京は、逆に何を食べるのか迷うことも多いもの。五反田は地元に根付く知る人ぞ知る名店が多いのですが、入りにくかったり、そもそもガイドブックなどにも情報がなかったり。そんな街こそ、OMOの力が発揮されます。ロビーには、スタッフが足で稼いだおすすめ情報満載のご近所マップがあり、五反田のマップは食に特化したもの。ジャンルも多彩で、比較的リーズナブルなお店が多いのもこの町の特徴です。
また、夕方にはスタッフが気になるお店の解説をしてくれる「五反田ご馳走レセプション(無料)」がオープン。「ひとさら de ご馳走パス」は、人気店の名物メニュー1品とドリンクを30分間でいただけるチケットで、なかなか予約がとれないお店、しかも名物料理をさくっと頂けてしまうといううれしいチケットです(2000円~3000円、数量限定)。
■OMO5東京五反田 by 星野リゾート https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/omo5tokyogotanda/
大阪:大阪ミナミの賑わい道頓堀で、ゆったりと優雅なランチ「TERRACE & DINING ZERO」
道頓堀は、グリコの看板にあるように「これぞ大阪」の雰囲気が漂い、ミニクルーズなども楽しめる観光スポット。また大阪松竹座や国立文楽劇場などもあり、観劇に訪れる人も多い場所ですが、混雑もあり、落ち着いてランチやお茶をできるスポットが少ないと感じます。
大阪ミナミの穴場。平日は早めに訪れ15時までランチ&お茶を堪能
そんな大阪ミナミの道頓堀近辺でみつけたのが、外の喧騒は無縁の世界が広がるクロスホテル大阪の「TERRACE & DINING ZERO」。「アーバンネイチャー」がコンセプトの店内は、緑豊かでモノクロの絵画など大人の女性好みのステキ空間が広がります。
ランチは、選べるメイン料理やパスタに、前菜やスープ、サラダ、パン、ソフトドリンクやデザートなどはビュッフェ形式で好きなものを好きなだけ頂けるスタイル。ソフトドリンクには大阪名物のミックスジュースがあり、料理も地域素材を多く利用。しかも平日は時間の制限がなく、15時のクローズまでのんびりと寛げるというのもポイント(土日祝は90分制)。価格は4種類のメインから選べるセットが3850円(税・サ込)~、選べるパスタセットが3300円(税・サ込)
夏の街歩きは体力を消耗するので、日中の暑い時間帯は、優雅にランチをしながら過ごすというのもいいものです。観劇の前後のゆったりランチや久しぶりの同窓会ランチ、ひとりのご褒美ランチにもおすすめです。
特別イベントで地域の文化をゆったり楽しむ
街や人とのつながりを大切にするコンセプトのクロスホテル大阪では、地元とつながり五感で感じる季節のイベントも定期的に開催。この夏は7月27日(土)に、「OZASHIKI ASOBI meets SAKE at CROSS HOTEL OSAKA」と題して、大阪・ミナミで唯一のお茶屋「たに川」と1673年創業、京都伏見の酒蔵「玉乃光酒造」とのコラボレーションイベントが開催されています(ひとり1万5000円)。
■クロスホテル大阪 https://cross-osaka.orixhotelsandresorts.com/
京都:ここだけの特別感のある体験が満載「京都の5つの癒し旅」~JR東海:EX旅先予約
私も親族がいるので時々京都に行きますが、コロナ明けの混雑ぶりはすさまじく観光をせずに早々に帰宅することも多くなりました。そんな時に目に入ったのが「京都の5つの癒し旅」。
JR東海が手掛ける「そうだ京都、行こう」が、この夏に提案する、さまざまな角度から京都を楽しむ体験プログラムは、個人では難しい貴重な体験が多く、それでいて値段は数千円からと手頃。私もプライベートで「五龍閣レトロ建築で癒しのカフェタイムと京都市内の眺望を楽しむプラン」(2300円)へ申し込んでみました。
「京都5つの癒し旅」を実際に体験してみた
土曜日とあって五龍閣までの道のりは、予想はしていたもののかなり混雑していて大変。それでも清水坂から一本入った五龍閣を目にしたとたん、大変さもなんのその。
大正レトロ感が漂う五龍閣は、有形文化財に登録される名建築。今回はプラン参加者の貸切というのもあり、外の喧騒がうそのような静かな落ち着いた時間を満喫できました。
まずは、外観、非公開の最上階の望楼を含めたレトロ建築を、解説を聞きながら見学します。五龍閣は清水焼窯元を国際的な事業に発展させた明治の起業家「松風嘉定氏」の邸宅で、おもに迎賓館として利用されていたとあって壮観です。
そのあとは、1階の夢二カフェで老舗豆腐店「順正」の特別スイーツを堪能。ご夫婦や女性同士、私のようにひとり参加のかたも多くいらっしゃり、約2時間のプレミアムな体験を思い思いに過ごしていました。
私は大好きなレトロ建築での優雅な時間に、たまっていた疲れもすっきり。心が満たされて元気に。現在、五龍閣はカフェも含め休館中のため、よりプレミアムな体験となりました。(※五龍閣・夢二カフェの開館状況は、ホームページhttps://www.goryukaku.com/index.htmlでご確認ください。なお外観は見学可能です)
他にも「京都の5つの癒し旅」には、冷抹茶(季節の和菓子付き)と法話、案内付きでの時間外貸切拝観ののち、坐禅を体験できる「妙心寺退蔵院夕涼み坐禅会(4100円)」、「重要文化財に指定されている京都府庁旧本館内のカフェ「salon de 1904」で選べるお食事とドリンクのセット(1500円)」など魅力的なプランが満載。何れも開催日や参加人数は限られるので、好みを見つけたら早めに予約をしましょう。
これらはJR東海の東海道・山陽・九州新幹線のネット予約&チケットレス乗車サービス「エクスプレス予約(年会費1100円/税込)」会員、ならびに「スマートEX会員(年会費無料)」が予約できる「EX旅先予約」の一部。レアな体験が手軽にできるプログラムが満載で、関西なら京都の他、奈良や大阪などもプログラムが充実しています。東海道新幹線エリアに旅をするときにはチェックしてみるといいですよ。
■そうだ京都、行こう。「京都の5つの癒し旅」https://souda-kyoto.jp/other/summer2024/
■JR東海:EX旅先予約 https://jr-central.co.jp/ex/travel-portal/
いかがでしたか? 夏の暑さも年々厳しくなってきています。「ゆったりと過ごせる時間」をぜひ確保しておでかけください。素敵な旅になりますように。
◆教えてくれたのは:旅行ジャーナリスト・村田和子さん
旅行ジャーナリスト。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、旅の魅力を媒体で発信。宿のアドバイザー・講演なども行う。子どもと47都道府県を踏破した経験から「旅育メソッド(R)」を提唱、著書に「旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ(日本実業出版社・2018)」。現在は50歳を迎え、子どもも大学生となり、人生100年時代を楽しむ旅を研究中。資格に総合旅行業務取扱管理者、1級販売士、クルーズアドバイザーなど。2016年より7年間、NHKラジオ『Nらじ』月一レギュラーを