
日頃パソコンにずっと向き合っているビジネスパーソンは多かれ少なかれ疲れを抱えている。それを少し抜く方法はないものだろうか。業界の超一流から、一般人にいたるまであらゆる世代のコンディショニングを支えてきたトレーナーによるストレッチよりも気持ちいいセルフケアメソッドを解説した体の声の翻訳家、コンディショニングトレーナー、柔道整復師・庄島義博さんの著書『朝起きてすぐに動きたくなる体』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。
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「パワースポットプレス」3つ
「パソコン作業で特に疲れたとき」におすすめしたい、ほぐしのアクションを3つご紹介します。
共通点は「ピンポイントで軽く圧をかけるだけで疲労回復へのスイッチが入ること」。その理由は、いずれも重要な筋肉を直接押せるからです。力をかける部位が非常にわかりやすいので、エクササイズを敬遠してきた方にもおすすめ。
もしこの3つを連続で行う際は、1~3の順序で取り組んでください。すると、前述した「体の脱力は末端から」という原則どおりにアプローチできます。
ある国民的な女性歌手の方にこのメソッドをお伝えしたところ、「目からウロコ!」と大変驚いて、その後も続けてくださっているそうです。
また私は、おかげさまで全国の企業からも講演会や研修の講師としてお招きいただき、よく登壇をしています。大手精密機器メーカー、金融系企業、飲料メーカーなど、職種はさまざま。そんなとき、ある大手企業で100名近くの方に「ふるふる」をいくつかやってもらったとき。
「ゴルフの飛距離が伸びた」
「肩こりがラクになった」
「デスクワークに集中して取り組めるようになった」
といった非常に大きな反響をいただきました。
みなさん“現役世代”ですから、常に多忙で運動を習慣化している方などごく少数派だったはず。でも予想に反して、評判は上々でした。
ふるふるは、「普段運動していない人」にも、ちゃんと効く。今では自信を持って、そうお伝えしています。
パワースポット1:「母指球プレス」

手のひらの「母指球(ぼしきゅう)」を、反対側の手を使って押すというメソッドです。
母指球とは、親指の付け根のふくらみのところ。「短母指屈筋」「母指対立筋」など重要な筋肉がいくつも集結した、キーポイントとなる部位です。
特に巻き肩の影響で手のひらが内旋している人にとっては、ここは必須のほぐしポイント。親指の向きが(スマホなどの影響で)常に内側に向かうことが、手のひら全体の内旋の「呼び水」になってしまっているわけですが、その「呼び水」のパワーを「なかったこと」に帳消ししてくれるのが、この「母指球プレス」です。
やり方は、超簡単。10秒間、母指球をギュッギュッと気持ちよく押しほぐします。
左右逆側も同じように行ってください。
パワースポット2:「ヒジの内側プレス」

ヒジの内側にある浅いくぼみ。上腕と前腕の移行部。この部位を正しくは「肘窩(ちゅうか)」といいますが、そこにある「腱(けん)」を反対側の手でつかみ、親指で圧をかけるメソッドです。
肘窩は、腕の前にある上腕二頭筋、いわゆる「力こぶ」の筋肉の端っこがくっついています。そして、この上腕二頭筋のもう一方の端っこは、体の前面にある「烏口突起(うこうとっき)」にくっついています。
そして、この「烏口突起」とは、じつは肩甲骨の一部。なので、ここを押すことで、遠く離れた肩甲骨をゆるめることに一役買ってくれるのです。そして腕も肩も首もラクになる、という流れです。
ヒジを45度くらいに曲げたとき、くぼみの内側にピンと硬く張った「腱」が現れます。これが力こぶの端っこです。やり方は「この腱を押すだけ」。10秒間、グッグッと気持ちよく押しほぐします。左右逆側も同じように行ってください。
パワースポット3:「小胸筋プレス」

これは「小胸筋」を押すメソッドです。聞き慣れない筋肉の名前かもしれませんが、鎖骨の下に斜めに位置する筋肉です。
多くの人が、硬くなっている筋肉です。巻き肩や猫背、肩こり、首こりの原因となっているため、うまくほぐしてあげたいポイントです。
場所を詳しくご説明しますね。「鎖骨」とはそもそも体幹と肩甲骨をつないでいるS字状の骨を指しますが、その下のエリアこそが体のパワースポットです。左右逆の腕でにぎりこぶしをつくり、ゆっくりと圧をかけてみてください。2~3本の指(どの指でもよい)を使ってもよいです。
同じように左右両方で10秒間、ギュッギュッと気持ちよく押しほぐします。
◆教えてくれたのは:体の声の翻訳家、コンディショニングトレーナー、柔道整復師・庄島義博さん

1978年、福岡県生まれ。五感を使った身体調整メソッド『BODY PREPARATION(ボディプリパレーション)』を開発・提唱し、アスリートのパフォーマンスをアップ、不調のある方々を改善へと導く。著名な歌手やトップアスリートからの信頼も厚く、サポートした人数はのべ3万人を超える。同メソッドは小学校、高等学校でカリキュラム化され、児童・学生の心身教育にも力を注ぐ。全国各地で後進育成のためのスクールや講演会も開催。海外からの指導要請も多い。また、「人生を健康で豊かにするための選択肢を増やす」をモットーに、健康関連商品の開発・監修やテレビショッピング出演等、多彩な活動を行う。