健康・医療

40~50代女性は「子宮筋腫」に注意!閉経前の女性が実践したい「ながらエクササイズ」と積極的に摂りたい食材

お腹を押さえる人
閉経前の女性が気をつけたい子宮筋腫
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40~50代女性が発症することの多い子宮筋腫。とくに、閉経前の更年期女性は筋腫が大きくなりやすい傾向にあるため要注意です。筋腫が大きくなると、月経痛や貧血、頻尿などの症状があらわれる場合があります。そこで、薬剤師の碇純子さんに子宮筋腫の症状や原因、予防ついて教えてもらいました。

子宮筋腫は女性ホルモンの影響で大きくなりやすい

子宮筋腫は子宮の筋層に発生する良性の腫瘍で、粘膜下筋腫、筋層内筋腫、漿膜(しょうまく)下筋腫の3種類に分けられます。第一生命経済研究所「女性の病気の現状と検診受診の実態-乳がん・子宮がん・子宮筋腫・子宮内膜症の場合-」(https://www.dlri.co.jp/pdf/ld/01-14/notes0607b.pdf)によると、40~50代女性のおよそ4人に1人が子宮筋腫を疑われた、あるいは経験があると回答しています。

初期段階の小さな筋腫は自覚症状がほとんどなく、治療の緊急性は低いです。しかし、性成熟期~更年期の女性(20代前後から閉経前の40代、50代)は女性ホルモンの影響により筋腫が大きくなりやすい傾向があります。

筋腫が大きくなると、月経時の出血量の増加や不正出血、生理痛や腹痛、腰痛、頻尿、不妊といった症状を引き起こすことがあります。なお、筋腫が発生した箇所や数、大きさによって症状はさまざまです。小さな筋腫だからと放置せず、定期的に経過観察をすることが大切です。

子宮筋腫の原因

現在、子宮筋腫の具体的な原因はわかっていませんが、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)による影響が考えられています。

なぜなら、 小学生など極度にエストロゲンの分泌が少ない人には筋腫がほとんど存在しないことや、閉経によりエストロゲンの分泌が少なくなった女性では、ゆっくりと筋腫が小さくなっていく場合があるからです。このことから、子宮筋腫はエストロゲンによる影響が原因であるといわれています。

食事している人
子宮筋腫には生活習慣の乱れが原因になる可能性も
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また、子宮筋腫になりやすい人の特徴は、妊娠・出産回数が少ない、肥満や高血圧、多量の飲酒など生活習慣が乱れている人などが挙げられます。しかし、特徴に当てはまらなくても、女性であれば誰でもなり得る病気です。

子宮筋腫のセルフチェックと対策

まずは、子宮筋腫の簡単なセルフチェックをしてみましょう。

□貧血がある
□月経の量が多くなり、レバーのような血の塊が出る
□不正出血がある
□下腹部痛、腰痛ある
□トイレの回数が多い(1日8回以上)
□下腹部がぽっこりしてきた(下腹部に触れるとしこりを感じる)
□頻繁にめまいや立ちくらみがする

20代前後〜閉経前の50代で上記の症状のうち1つでも当てはまる場合は、婦人科の受診をおすすめします。

チェックリスト
定期的なセルフチェックで自分の体の異変を意識して
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定期的に上記のセルフチェックをおこない自身の体調を確認しましょう。自身の体調を知ることは子宮筋腫の予防や成長の防止に大切です。

ここからは、子宮筋腫の発生や成長に強く関連している「女性ホルモン」を整える方法を2つ紹介します。

運動不足を解消する

閉経前の女性は更年期に近づくにつれ、体に多くの変化が起こります。体調不良や更年期症状を緩和するためには、運動不足を解消することが重要です。運動をするとホルモンバランスが整うからです。

また、運動により血行が促進されると、健やかな生活に欠かせない心臓や血管の健康にもつながります。

手軽にできる運動として、ながらエクササイズを習慣にするとよいでしょう。おすすめは、歯磨きをする3分間、背筋を伸ばし、かかとの上げ下げを繰り返すことでふくらはぎを刺激するエクササイズです。

かかとを上げている足
かかとの上げ下げは簡単にできるながらエクササイズ
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ふくらはぎは第2の心臓とも呼ばれ、血液を上へと押し戻す役割を担っています。ふくらはぎを鍛えることで血流が改善され、心臓から送られる新鮮な血液が全身の毛細血管の隅々まで行き渡ります。

リラックスできる時間をつくる

乱れたホルモンバランスを整えるには、ストレス因子をなるべく減らすことが大切です。ストレスが長時間かかると自律神経が乱れ、ホルモンのバランスまで崩れてしまいます。

なるべく自分の時間を確保し、積極的にリラックスする方法を探っていくことが重要です。

子宮筋腫の予防におすすめの栄養素&食材

ホルモンバランスが乱れると血流が悪くなり「冷え」を招きます。とくに更年期の女性はのぼせやすいのに手足が冷えるといった特徴があります。

さらに、子宮が冷えると子宮筋腫を発生させたり、悪化させたりする危険があります。冷えを改善するには、上記の章で紹介した「ながらエクササイズ」をしたり、「血行を促進する」食べ物や飲み物を積極的にとったりするといいでしょう。

クコの実をスプーンですくっている
血流を改善し体を温める効果があるルチンやヘスペリジンを含むクコの実
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そこでおすすめなのが「クコの実」(ゴジベリー)です。「クコの実」に含まれるルチンやヘスペリジンには血流を改善し体を温める効果があります。そのため、子宮筋腫の原因となる子宮の冷えや更年期特有の冷えにアプローチすることができます。

また、ビタミンA・B群・C・E、アミノ酸や鉄分などの栄養素が豊富に含まれており、貧血予防や疲労回復、美肌・美白効果が期待できる食材とされています。

クコの実はドライフルーツとして手軽に食べることができますが、デザートにアレンジしてもおいしいです。

クコの実ヨーグルト
クコの実はスイーツにアレンジしても◎
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「クコの実ヨーグルト」のレシピ

【1】クコの実(無糖)10個、水大さじ1、砂糖小さじ1を耐熱容器に入れ、電子レンジ(150〜200W)で2分加熱する
【2】レンジから出して冷めたら、無糖のヨーグルトにのせて完成

杏仁豆腐やヨーグルト、パウンドケーキに混ぜたり、サラダのトッピングとして毎日の食事に取り入れてみてください。 適量は1日あたり3〜10粒です。

女性ホルモンを整えるのにおすすめの漢方薬

子宮筋腫の原因となる女性ホルモンの乱れを整えるには、婦人科でも自然由来の治療薬として処方され、心と体の不調の根本改善を得意とする漢方薬の活用もおすすめです。

漢方茶
子宮筋腫の原因となる女性ホルモンの乱れを整えるには漢方薬も有効
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処方では、「ストレスや冷えによるホルモンバランスや自律神経の乱れを改善する」「血流を改善して子宮や卵巣の機能を回復する」「消化・吸収機能を改善して体を元気にする」といった働きをもつ漢方薬が選ばれます。

女性ホルモンの乱れにおすすめの漢方薬3つ

・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

比較的体力があり、のぼせやすいのに足が冷える人に向いています。下腹部の張り、月経痛、月経異常、打撲、肩こり、めまい、のぼせなど多岐に用いられます。

→桂枝茯苓丸について詳しく知る

・通導散(つうどうさん)

下腹部に圧痛があって便秘がちの人に向いています。月経痛、月経不順、腰痛、高血圧によるめまい・頭痛・肩こりなど女性特有のさまざまな不調に用いられます。

→通導散について詳しく知る

・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

下半身の冷えや貧血傾向、むくみ、めまい、頭痛、肩こりがある人に向いています。 月経不順、月経痛、冷え、不妊症、更年期障害などのさまざまな女性疾患に用いられます。

→当帰芍薬散について詳しく知る

漢方薬を始めるときの注意点

漢方薬は食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。

ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。

◆教えてくれた人:薬剤師・碇純子さん

白衣を着た女性
薬剤師の碇純子さん
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いかり・すみこ。薬剤師。
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)で情報発信を行っている。

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