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都知事選後止まらない石丸伸二氏の“炎上騒動” 1年前からYouTubeで石丸氏をチェックしてきた67歳オバ記者はどう見たか

都知事選後、炎上が続く石丸氏(Ph/JIJI PRESS)
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東京都知事選で、166万票を獲得し小池百合子都知事(71才)に続く2位となった石丸伸二氏(41歳)。大躍進といえるが、投開票日のテレビ出演における言動をめぐって大炎上している。1年前から毎日のように石丸氏が市長を務めていた安芸高田市の議会の様子をYouTubeでチェックしてきた、オバ記者こと野原広子(67歳)はこの炎上騒動をどう見たかーー。

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石丸氏の落選が決まると「ダメだ。泣いちゃう」

「あ〜あ」と30代の仕事仲間、K子にLINEをしたら「石丸さん、意外にさっぱりした顔してるね」と返ってきたの。

「いや、私はめちゃ悔しそうに見えるよ。ダメだ。泣いちゃう」と私。

開票日の午後8時すぎ。小池百合子さんに当確が出て、最終的には小池さんが291万票、石丸伸二さんは166万票。彼に投票した人の「なあああーんだ、つまんねー」という声が東京中、いや、日本全国に鳴り響いた気がしたね。

今話題の石丸伸二さんとオバ記者
石丸氏とオバ記者(Ph/楠聖子)
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会いたいと思い続けていたあの人に会いに広島県へ行ってきたオバ記者
石丸氏の取材で広島県まで出向いたオバ記者
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5時間を超える長旅だけど鉄子の血が騒ぐ
5時間を超える長旅だった
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選挙終盤戦からアンチの罵倒

とはいえこれが現実。受け入れるしかないんだけど、どうしても受け入れられないのが、選挙戦終盤から激しくなったアンチの罵倒なの。

石丸さんの最後の街頭演説を聞きに、午後7時に東京駅丸の内北口に行ったら、まるでライブ会場のようで1万人が集まったらしい。で、私は選挙カーがよく見える位置を取ろうと動いていたら、隣りにいた40代女性と目が合ったの。どちらからともなく会釈して「すごい人ですね」と声をかけると「アンチのコメントがひどいことばかり書いてあったので、この目で彼がへこんでないか確かめたいと思ったんです」と。

オバ記者
街頭演説でたまたま一緒になった女性は石丸氏が心配で駆けつけたという
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見ず知らずの人と都会の真ん中で話す。これも選挙の面白さで、8年前に小池さんが「崖から飛び降りるつもりで」と、自民党を敵に回して都知事選に出馬した時もそう。選挙カーの前で親しくなった女性と喫茶店に入って「やっぱり小池さんよね」と言いあっていたっけ。あの時はネット環境も今ほどじゃなかったからか、アンチ小池なんて聞いたことがなかったわよ。

オバ記者
小池さんの時には聞かなかったアンチの罵倒
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石丸氏の大炎上で身近な人からアンチLINE

話を開票日の夜にもどすと、石丸さんがテレビで塩対応したとかで大炎上している。でも私がこたえたのは身近な人からのアンチLINEなの。

「ほーら、あれがパワハラ石丸の本性だよ。あなたも早く目を覚ましてよ」

「テレビにあの態度? 本気で政治やる気あんのか疑うわ」

というLINEにはとりあえず既読スルーして

石丸推しとアンチ石丸の違いを考えた私。

まずは「恥を知れ、恥を!」で有名になった安芸高田市の市長時代ね。彼と年配議員とのバトルを知人のO氏(72才)は見て、自分はアンチと確定したというんだわ。新入社員のとき自分を詰めた上司とダブるんだって。そうなると石丸さんがニコニコと笑っているのを見ても「わざとらしい」「あざとい」「裏表がある人」。オセロの黒は断固として黒なのよ。

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数日後、O氏からまた石丸憎しのLINEがきたんだけど、石丸がいつの間にか上司に対する恨みつらみに変わって、「あいつだけは許せない」って石丸さんはいいとばっちりよね。

”東京人”には理解できない?“田舎”にはびこるローカルルール

もうひとつ、三代前から”東京人”のO氏は都会のサラリーマンの常識が全国津々浦々まで通じると思っているのよ。ここ30年で衰退してシャッター街になった田舎の商店街や廃墟になって久しいパチンコ店なんか見たこともない。

「いづまでねでんだ(いつまで寝ている?)」と朝6時半に玄関の戸をガタガタさせられたり、下手したら寝室にまで入ってきて布団を揺らすご近所がいることなど、想像もつかないのよ。「ええ〜っ、そんなことされたら警察に通報じゃない」って、それができないのが田舎なの!

オバ記者
びっくりするようなルールが田舎にはある
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そういう田舎の議会はどうなるか。あの人とこの人だけが得をするローカルルールがはびこっていてどうにも動かない。

そこで正論をブチかましてその様子を世間に発信して世の中を変えていこうという石丸さんを、都会のインテリのO氏には理解できるわけがないんだよね。もっと穏やかに議論を尽くして? それができないからみんな田舎から逃げ出すんだよ。

でね、先日、O氏と電話で話したらまた石丸憎しで「ネットで世の中変えようとなんて考えが間違っているんだって」と言うから、「ネットの人気を票にしたのは17日間の選挙期間中、228回の街頭演説をしたことだよ。これってドブ板選挙って言わない?」と言い返してみたの。そしたら、「えっ、何それ。知らなかった」って。

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選挙が終わっても石丸氏が気になるオバ記者
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そういえばどんなアンチの人も石丸さんが歴史に残る数の街頭演説をしたことを「けしからん」という人はいないんだよね。炎天下、毎日10か所以上、選挙カーの上に登って演説するって、本気の本気じゃないとやれないって。その結果を「都民の総意です」と受け止めた石丸さんの心境やいかにと、8回、聞きに行った私は案じるわけ。

それもこれもあって、推しのいる選挙は感情が揺さぶられていいなと今は思っているの。

◆ライター・オバ記者(野原広子)

オバ記者イラスト
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1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。

【408】《7月7日投開票》東京都知事選、石丸伸二氏は「異質」 YouTubeで石丸氏を1年前からウォッチしてき67歳オバ記者がそう評する理由

【407】《都知事選ルポ》67歳オバ記者が迫る“石丸伸二氏の人気” 街頭演説に集まる意外な人たちと彼が聴衆に向かって訴えていること

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