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《1年で100万円を貯めるためのルール》基本は「毎月5万円を自分で給与から“天引き”」「ボーナスは“はじめからないもの”」 投資は新NISAよりiDeCo

1年で100万円を貯めるためのルールとは?(写真/PIXTA)
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国の調査によれば、50代世帯の貯蓄の中央値は「600万円」。これを聞いて、あなたは安心するだろうか、それとも焦るだろうか。たとえいまの貯蓄額が人より少なくても、不安になる必要はない。「1年で100万円」を叶える、今日からできる方法をお伝えする。

「1年で100万円」は投資の最低ライン

死ぬまでに必要な「老後資金」が2000万円、4000万円ともいわれる中、あまりにも大きな金額に途方に暮れている人は多いだろう。資産を増やす方法として脚光を浴びている投資にはリスクもあり、必要額に手が届く確証はない。実は、重要なのは「手段」よりも「期間と金額」。「1年で100万円を貯められるかどうか」にかかっているのだ。

東京・渋谷区で20〜40代女性向けの資産形成の勉強会「富女子会」を主宰する金融・投資コンサルタントの永田雄三さんは「1年で100万円を貯められない人は、それ以上のお金を貯めることはできない」と断言する。

「“1年で100万円”という金額は、貯蓄の最低ラインです。貯蓄は始めたての頃がいちばんお金が貯まりにくく、心が折れやすい。ですが、最初の100万円を達成すれば2年で200万円、5年で500万円……と、増えるごとに自信がつき、700万円を超える頃には“意識せずともどんどんお金が貯まっていく体質”になります。

“自分は人より収入が低いから無理”と、他人と比べるのではなく“去年より貯蓄が100万円増えた”と、過去の自分と比べましょう」(永田さん)

「余ったら貯めよう」という「残し貯め」はご法度

1年で100万円を達成する基本は「毎月5万円ずつ」「先取り貯蓄」すること。「余ったら貯めよう」という「残し貯め」はご法度だ。社会保険労務士の井戸美枝さんが言う。

「割合でいえば、手取りの20%は貯められますが、無理をしては続きません。子供の教育費がかかる時期でも、手取りの8〜10%は貯蓄に回してほしい。一見すると難しく思えますが“貯蓄分以外のお金はすべて使い切っていい”と考えれば、気が楽になるはずです」

「毎月5万円」は必ず貯める!
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月5万円を10か月と、夏冬のボーナス時にそれぞれ25万円ずつ貯めれば、合わせて100万円になる。

「給与が振り込まれると同時に5万円を自分で別の口座に“天引き”してください。ボーナスがない場合、月の貯蓄額は8万4000円ほどになりますが、ボーナスがなくても、また給与が少なくても『月に最低5万円』を達成できている人は多い。“収入が低いから3年で100万円貯めることにしよう”などと、ルールをゆるめてはいけません。

どうしても難しかったり、ボーナスがなければ、その分は出費を削るのではなく、副業などで収入そのものを増やすのがいちばんです」(永田さん)

ボーナスを“臨時収入”と捉えて贅沢するのではなく、はじめから“ないもの”と考えることが、貯蓄のコツになる。

「支給されたボーナスから天引き貯蓄をし、残りは生命保険料や自動車保険料、家賃の更新料などに充てるなど、月々の出費を抑えるために使いましょう」(井戸さん)

新NISAよりもiDeCoでの増額がおすすめの理由

先取りしたお金は、給与とは別の口座に貯めるのもいいが、いまは新NISAをはじめ、新たに投資を始める人も増えている。先取りしたお金を新NISAで運用するのは、「1年で100万円」の“近道”になるだろうか?

新NISA運用のコツは長く持ち続けること(写真/PIXTA)
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「新NISAは有効な資産運用ですが、50才を過ぎてからは、新NISAだけに頼るのはおすすめしません。災害や盗難に遭わない限り、預貯金が減ることはありませんが、投資は株価に応じて大きく減る可能性がゼロではなく、年を重ねてからでは取り返す時間と気力が足りません。たとえ投資について充分な知識があったとしても、暴落のタイミングはおろか、どんなペースでどれくらい増えていくかも自分で計画することは不可能。50代以上になって資産が暴落した際の精神的なダメージは計り知れません。

どうしても投資で増やしたいなら、普通預金より利率が高く、かつ元本が保証されている定期預金や債券など、ローリスク・ローリターンなものを選びましょう」(永田さん)

万が一マイナスになっても後悔しない金額だけを投資することも重要だ。家計再生コンサルタントの横山光昭さんが言う。

「投資は必ず余剰資金で行いましょう。生活費の7.5か月分を預貯金として確保し、毎月の先取り貯蓄をしたうえで余ったお金で行い、一度投資を始めたら少しくらい下がっても慌てて売ったりはせず、長く持ち続けること。先日の日経平均株価の暴落は、多くの新NISA初心者が焦って株を売ったことによるものだという見方もあります」

一方、井戸さんは新NISAよりもiDeCoでの増額をすすめる。

「iDeCoはそもそも、老後資金の上乗せのためのものなので、65才まで時間がないなら、掛け金を増やして運用益アップを狙って。ただし、運用は長期が前提なので、iDeCoに加入していない50代半ばの人がいまからわざわざ始めても、メリットは少ないでしょう」(井戸さん)

※女性セブン2024年9月5日号

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