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「月5万円貯金」実現のための固定費見直し、最大の出費「家賃」を削るテクニック エアコン節電のカギは窓とカーテン、フィルターや室外機もポイント

家の模型とお金のイメージ
固定費最大の出費「家賃」を削るテクニックとは?(Ph/photoAC)
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死ぬまでに必要な「老後資金」が2000万円、4000万円ともいわれるが、あまりにも大きな金額に途方に暮れている人も多いはず。そんな境遇の人がまず目指したいのは1年に100万円貯めるという方法だ。

住宅ローンは金利上昇前に繰り上げ返済

東京・渋谷区で20〜40代女性向けの資産形成の勉強会「富女子会」を主宰する金融・投資コンサルタントの永田雄三さんは「1年で100万円を貯められない人は、それ以上のお金を貯めることはできない」と断言する。

「“1年で100万円”という金額は、貯蓄の最低ラインです。貯蓄は始めたての頃がいちばんお金が貯まりにくく、心が折れやすい。ですが、最初の100万円を達成すれば2年で200万円、5年で500万円……と、増えるごとに自信がつき、700万円を超える頃には“意識せずともどんどんお金が貯まっていく体質”になります」

月5万円以上の先取り貯蓄を無理なく続けるためには貯める努力が大切なのは言うまでもないが、余計な支出を抑える工夫も必須。必要な食費や光熱費を削りすぎて体調を崩しては元も子もない。まずは一度の工夫で大きく出費を減らすことができる「固定費」から見直そう。

「もっとも大きな固定費は『家賃』です。家賃が負担なら、いまより安い賃貸に引っ越すか、長年住んでいるなら家賃の交渉をする手もあります。不動産は資産になるので、何年も家賃を払い続けるくらいなら、思い切って家を買うのもいいでしょう」(永田さん)

すでに家を持っていてローンが残っているなら、いまが“最後のチャンス”かもしれない。

「余裕があるなら、住宅ローン金利が上がり始めているいまのうちに、夏のボーナスなどで繰り上げ返済することをおすすめします」(井戸さん・以下同)

スマホ購入時の不要な特約やサービスを解約

スマホ代やサブスクなどの通信費も重要だ。格安キャリアに乗り換える以外にも、できることがある。

「スマホショップでの購入時に加入した不要な特約やサービスを解約するだけでも、大幅に固定費を下げられる可能性があります。また、ネットフリックスやAmazonプライムなどのサブスクは、家族の誰か1人が入っていれば充分。重複がないかチェックして解約しましょう」

もはや夏の命綱となったエアコンの節電も必須。できるだけ電気代を抑えるためのカギを握るのは「窓」だと語るのは、消費生活アドバイザーの丸山晴美さんだ。

白いエアコン
エアコンの設定と掃除で節約ができる(写真/イマージマート)
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「遮熱効果のあるカーテンをつけて外の熱気を遮断するだけでも、エアコンの稼働量を抑えられます。特に西側の窓には欠かせません。また、扇風機やサーキュレーターで冷気を循環させるのも効果的。扇風機は消費電力の少ないDCモーターのものがおすすめです。それでもまだ暑ければ、設定温度を下げる前に、エアコンの風を水平に設定し、風量を上げてみてください。

“少しの外出ならエアコンをつけっぱなしの方がいい”という説もありますが、わが家の場合、2時間以上家を空ける場合は”設定温度を30℃に上げてカーテンを閉める“ことにしています」(丸山さん)

見落としがちなのが「フィルター」と「室外機」だ。家計再生コンサルタントの横山光昭さんが言う。

「フィルター掃除や、室外機に日よけをかけて日光で温められるのを防ぐことで、運転効率を高められます。また、エアコン以外では、わが家は災害対策としても注目される携帯用ソーラーパネルで充電するポータブル電源をスマホの充電などに日常使いしています。節電だけでなく、非常時のために使い方に慣れておくこともできます」(横山さん)

電気代とは反対に、暑い夏は給湯器の設定温度を下げたり、シャワーで済ませる日も増えるため、ガス代は安くなりがち。

「3人家族までなら、湯船よりシャワーの方が、ガス代も水道代も節約できます。追いだきはできるだけしない方が節約になるでしょう」(丸山さん・以下同)

夏に娯楽費を使ったなら9月の連休は節約モードに

夏は帰省やレジャーでどうしても出費が多くなりやすい。早割などを利用するには1か月以上前からの予約が必須だが、あえて遠出しない選択もある。

「とはいえ、節約したいからといって、どこにも行かず家に閉じこもるのはおすすめしません。“お土産を買いすぎない”“想定外の出費がないよう計画を立てる”“孫かわいさにお金を使いすぎない”など、メリハリをつけて家族で楽しい時間を過ごしてください」

夏に娯楽費を使いすぎてしまった人は、秋に調整を。夏休みを思い切り楽しんだら、9月の連休は少しだけ、節約モードに切り替える必要がある。

「9月に一気に切り詰めるのではなく、11月くらいまでかけて、少しずつ取り戻していけば大丈夫。日々の浪費を防ぐため、1週間に1日はお金を使わない『ノーマネーデー』にすると決めて、食事も家にある食材で工夫します。冷蔵庫の整理にもなって一石二鳥ですよ」(横山さん)

出典/横山光昭『90日で「貯める力」をつける本』
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買い物に行く回数を減らせば、必要のないものをついで買いしてしまうこともなくなる。ムダ遣いを減らすコツは、お金の「出口」を減らすことだ。社会保険労務士の井戸美枝さんが言う。

「お金には現金以外にも、クレジットカード、交通系ICカード、二次元バーコードなど、いろいろな支払い方法、すなわち『出口』があります。これを2、3種類に絞り込むことで、何にいくら使っているか、家計を把握しやすくする。そのうえで“食費は現金払い”“光熱費はクレジットカード払い”などと、使い方のルールを決めましょう」(井戸さん・以下同)

「ちょこちょこ買い」「まとめ買い」「自分へのご褒美」は、貯められない人が陥りがちな3大パターン。ほかにも、日々の当たり前の行動で損していることは少なくない。

「例えば、病院は予約して受診すると『選定療養費』が、調剤薬局は18時を過ぎると『時間外加算』が加算されます。つまり、病院は予約せず、薬局は日中に行く方が、金額的にはお得になるのです」

小さな出費を減らして、毎月の貯蓄はしっかり死守する。その努力はきっと、来年のあなたに100万円をもたらしてくれるはずだ。

1年で100万円を貯めるための金額と内訳の目安
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※女性セブン2024年9月5日号

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