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《老後の心配事をなくすために知っておきたい》老後資金を有効に使う「老後資産三分法」と、老後のお金の危機をもたらす「3つの波」

封筒とお金
老後資金の心配をなくすためのポイントをプロが指南(写真/photoAC)
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自分が亡くなった後に、残された人の負担や苦労を減らすことにつながる終活。さらに、さまざまなことをきちんと整理しておくことで、自分の老後の心配事を減らすことにもつながる。そこで、『終活1年目の教科書 後悔のない人生を送るための新しい終活法』(アスコム)を上梓した1級FP技能士の黒田尚子さんに、老後の心配事をなくす終活のポイントについて詳しく教えてもらった。

老後のお金の心配をなくす老後資金三分法

老後の大きな心配事の1つである「お金」。十分な資産があっても、足りなくなることを恐れて、過剰に家計を締めつけてしまう人は多い。そこで黒田さんがすすめているのは、年金生活者世帯の資産を、「残す」お金、「備える」お金、「使う」お金の3種類に分けてこの先10年を考える「老後資産三分法」だ。

「老後資金三分法は、自分の手持ちのお金を3枚の封筒に分けると考えるとイメージしやすいかもしれません。そして、この『老後資金三分法』で最も肝心なのは、分ける順番です」(黒田さん・以下同)

老後資金三分法では、手持ちの資産から、まず自分が死んだ後に残しておきたいお金である、「残す」お金を差し引く。財産を誰にも残す必要がなければ、最低限の葬式費用などを確保しておけば問題ない。あるいは、ほかの2つのお金が予想以上にかさんだときの「保険」として残しておくのもいいという。

次に、差し引くのは「備える」お金だ。リタイア後の生活では、これをしっかり確保することが心配事の解消につながる。医療保険やがん保険、介護保険など、保険商品を活用するのもおすすめだ。そして、最後に残った分が、これから「使う」お金となる。

封筒とお札
「残す」お金、「備える」お金を差し引いた残りが「使う」お金になる(写真/photoAC)
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「あなたが、3つのお金をどう分けるかは自由です。ぜひ、いろいろと考えてみてくださいね」

老後のお金の危機をもたらす「3つの波」

老後のお金の心配をなくすためにもう1つ押さえておきたいのが、老後のお金の危機をもたらす「3つの波」。その3つとは、60歳代前半の「定年退職から年金受給まで」、80歳代前後の「配偶者に先立たれた後」、そして80歳代後半以降の「予想以上に長生きした場合」だ。

「これさえ乗り越えれば、あるいは見通しがつけば、安心と言えるでしょう」

最初の波では「働くこと」と「家計のスリム化」が重要

公的年金の支給開始は65歳からだが、60歳の就業率は約7割で、貯蓄の取り崩し時期が早まることで、気持ち的な「プチ貧乏」から「リアル貧乏」が現実味を帯びてくる。ここでの効果的な対策は、「できるだけ長く安定して働く」ことと、「家計をスリム化させる」ことだ。

電卓とお金
最初の波をしのぐポイントは「働くこと」と「家計のスリム化」(写真/photoAC)
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「趣味や楽しみそのものではなく、その方法をどうスリム化するか。生活水準を下げずに、いかに生活コストを抑えるかを考えてみると、これまで気づかなかった楽しみ方を発見できるかもしれません」

2つ目の波の対策は「夫婦仲良く長生きすること」

2つ目の波の問題は、配偶者が亡くなると、世帯の収入が激減してしまうこと。ここでの対策は、「夫婦仲良く元気に長生きすること」だ。

老夫婦
夫婦で長生きすることも大切(写真/photoAC)
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「単純なことのように感じるかもしれませんが、これがなかなか容易ではなく、しかも気づきにくいことなのです。つまり、日頃から健康に気をつけて生活するだけで、未来へのお金の備えになっているということになります」

最後の波は、最初と2つ目の波をどう越えたか次第

最後の波は、長生きによって老後資金が枯渇してしまう「長生きリスク」によるものだ。

「ここでの効果的な対策は、前述の2つの波(危機)をどのように乗り越えてきたか、対策を実行したか次第です」と黒田さんは言う。

「年を取れば、行動範囲も狭まって、それほどお金も使わなくなるという傾向はありますが、それでも、貯蓄が底をつき、年金だけでは生活できなくなったら、迷わず、行政や福祉サービスを頼ってください」

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