医療の進歩により確実に生存率は上がっているがんだが、かつては死に至る病という印象が強かった。実際に自分ががんと告知されたら、家族や大切な人にどう伝えるべきか。2016年、2021年に基底細胞皮膚がんの手術を受けた、タレントのキャシー中島(72才)は、自分の恐怖心とは裏腹の家族の反応が力になったという。
息子は「おかんはチャーミングだから、傷もポイントになるよ」
いまでこそ根治が可能になったが、かつては「死に至る病」として恐れられたがん。2016年に「基底細胞皮膚がん」と診断された中島は、告知されたときに感じた「恐怖心」を忘れることができないと話す。
「当時はがんの知識が浅く、皮膚がんであれば治療のために皮膚をたくさん切除しなければならないという思い込みがあり、ショックや悲しさよりも怖さが大きかった。目の下にできたので、デリケートな部分の皮膚をごっそりと剥ぎ取られる恐ろしさで足が震えました」(中島・以下同)
告知後、医師から基底細胞皮膚がんは皮膚の表面のがんなので命に別状はなく、切除するのはわずかな範囲だと説明されて胸をなでおろした。
「帰りの車中で家族にどう伝えようかと考えた末、“がんだった”と割とあっさり話しました。ただ顔に傷が残ることが心配だと話したら、息子が“おかんは大丈夫だよ。チャーミングだから、傷もポイントになるよ”と訳のわからないことを言いました(笑い)。でも、家族に悲壮感が一切なかったことが大いに私の力になりましたね」
家族のサポートもあって切除手術は成功したが、5年後に同じがんが再発。幸いなことに初期中の初期で見つかり、手術で切り取って24針縫った。
知識を得た家族は強い
そんな彼女には現在、怪しいと思っている「赤いしみ」がある。皮膚科の主治医からは様子を見るよう進言されたが、家族にはすでに伝えてあるという。
「1回目に手術した患部の横にある赤いしみで、主治医からは“ものすごく小さく、自然治癒する可能性もあるので少し待ちましょう”と言われました。家族にも伝えましたが、もう慣れたもので“あっそう”という感じ。実は1回目のときに基底細胞皮膚がんについて家族でけっこう調べたことがあって、海外には何度も手術している患者がいることも知っている。だから手術で切っちゃえば大丈夫と、息子もパパ(夫)も思っているはずです。知識を得た家族は強いんです」
長女ががんに侵され他界…日頃から家族関係が大切
自身のがんを受け入れながらも長女が肺がんに侵され、闘病生活に寄り添った末、2009年に見送った中島。それゆえがんの種類やステージなどでケースバイケースとしつつ、がんになった際の対応について、「ひとつだけ言えることがある」と語る。
「家族との関係は大切にしておいた方がいい。いざがんになってからではなく、普段からの家族関係によって、がんをどう伝えるかは変わってきます。もしもお互いを尊重して家族に心配をかけたくなければ、伝えないという選択肢でもいい。日常の家族との関係をもとに、自分で設計図を描けばいいと思います」
◆タレント・キルト作家・キャシー中島
1952年ハワイ・マウイ島出身。1969年にモデルとして芸能界デビュー。国内でハワイアンキルトを紹介した第一人者でもある。2016年、2021年に基底細胞皮膚がんの手術を受ける。https://ameblo.jp/kathy-nakajima/
キルトのお祭り「WORLD QUILT FESTIVAL 2024 in YOKOHAMA」が11月7~9日の10~17時(最終日は16時閉場)に開催。会場はパシフィコ横浜展示場Bホール。キャシー中島の作品も出展される。
※女性セブン2024年9月12日号