国が異なれば、文化が異なるのは当たり前。それはカフェでも同様のようだ。韓国には他国にはない独特のカフェ文化があるという。現在韓国に語学留学中のライター田名部知子さんが、解説。さらにソウルならではの魅力があふれるスターバックスについても紹介する。
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世界一コーヒー好きな国のカフェ文化とは…
「韓国はカフェ大国」だと聞いたことはありませんか? ソウルに住んで1年10か月が経った今も、私は毎日、カフェの多さに驚いています。例えば私が住んでいるマンションの向かいのオフィスビルには大きなスターバックスがあり、そのほかに小さいカフェが5軒並んでいます。時々つぶれるカフェがあるもののすぐにまた別のカフェができるので、需要と供給のバランスがある程度合っているのだと思います。
2024年8月26日付けの毎日経済(韓国)によると、2022年の韓国のコーヒー輸入額は13億ドルです。米国と中国に次ぐ3位で、人口100万人あたりのコーヒー専門店数は韓国1384店、日本529店、英国386店、米国185店という数字から、韓国人がどれだけコーヒーを愛しているかがわかります。
韓国ならではのスターバックス文化
その中でも特にスターバックスの人気は凄まじく、店舗数は米国、中国、日本に次いで世界で4番目に多いそう。たとえば私が住んでいる地域はソウルの西側でテレビ局が立ち並ぶ新都市的な街で、駅から家まで徒歩15分。その途中にスーパーが1軒もないのが悩みなのですが、スターバックスは、なんと4軒もあるのです。
日本のスタバとの違いは?
韓国のスタバは日本と雰囲気やメニューなど似ている点も多いのですが、異なる点もあります。韓国では、日本で提供されている「ワンモアコーヒー」のサービス(ドリップコーヒーを購入した際に、同日中であれば2杯目を割引価格で楽しめる)は実施されていません。また通常、ショートサイズはメニューには表示されていませんが、ホットのカフェアメリカーノだけは、ほとんどの店舗でショートサイズを取り扱っています。
凍え死んでもアイス・アメリカ―ノ!?
私は現在、ソウルにある西江(ソガン)大学の語学堂(韓国語教育院)に通っていますが、最近の授業で習った韓国の新語に、「オロジュゴド・ア・ア/略してオルチュガ/凍え死んでもアイス・アメリカ―ノの意)」という表現があります。マイナス15℃の厳寒の中でもアイスコーヒーを好んで飲む韓国独特のコーヒー文化を表す言葉ですが、実際どんなに寒い日でも、アイスコーヒーを片手に歩く人の姿を簡単に見つけることができるんです。
韓国旅行であえておすすめしたいスターバックス
ふらりと旅行に出かけた海外でひと息つきたくなったとき、スターバックスの見慣れた看板を見つけてホッとしたことはありませんか。スタバならどこの国に行っても似通った雰囲気やメニューに異国の緊張が和らぐのを感じることができる、そんな理由からだと思います。
私が考えるソウルの魅力のひとつが、近代的で洗練された街並みと、山々をはじめとする雄大な自然が同時に楽しめる点にあります。「韓国にきてまでスタバ?」という声も聞こえてきそうですが、そんなソウルの魅力を兼ね備えたスターバックスを3店ご紹介したいと思います。
観光客に大人気!外界とのギャップが楽しい劇場型店舗「STARBUCKS COFFEE 京東1960店」
1960年代に始まったソウル最大の市場・京東市場(キョンドンシジャン)内にあった中型劇場を改装し、2022年にオープンしました。京東市場の喧騒の中にあるので、初めて行った人の誰もが「こんなところにスタバがあるの!?」と驚きます。劇場の重厚なドアを開けると、劇場の雰囲気をそのまま残しつつ、見事に洗練された新感覚の店舗に出会えるそのギャップが楽しいのです。舞台部分がキャッシャー、客席が座席になっていて、注文した商品が出来上がると、コンクリートの打ちっ放しの壁にプロジェクターを使って注文番号またはニックネームが映し出されます。
◆DATA
店名:STARBUCKS COFFEE 京東1960店
住所:ソウル特別市 京東市場内
アクセス:地下鉄1号線祭基洞(チェギドン)駅 2番出口 徒歩6分
美しいサンセットも楽しめる漢江に浮かぶスタバ「STARBUCKS COFFEE 望遠漢江公園店」
ソウルを東西に分ける漢江(ハンガン)に浮かぶ、望遠(マンウォン)漢江公園店の店内は広く開放的なワンフロアで、まさに漢江に浮かんでいるような感覚を味わえます。午後から望遠市場で食べ歩きを楽しんだ後、望遠市場付近で自転車をレンタルして、夕方の漢江サイクリングを楽しみながら、このスタバでサンセットを堪能するコースはいかがでしょう?
◆DATA
店名:STARBUCKS COFFEE 望遠漢江公園店
住所:ソウル特別市麻浦区望遠洞205-5 2F
アクセス:地下鉄6号線麻浦区庁(マポクチョン)駅または望遠(マンウォン)駅徒歩23分、またはマウルバス(コミュニティバス)で約20分
ソウルのシンボル北漢山を拝める「STARBUCKS COFFEE ザ北漢山店」
漢江と並ぶソウルのシンボル・北漢山(ブッカンサン)は市内の北側に位置し、頂上が鋭く尖った美しいシルエットが特徴です。この北漢山を間近で一望できる店舗の建物は3階建てになっていて、北漢山を眺める大きな窓はピカピカに磨かれ、コーヒーを飲みながら雄大な山並みを見ることができます。3階はルーフトップ席で、ここからの眺めはまさに圧巻。この店舗限定の北漢山に見立てたチョコレートケーキなどのスイーツも楽しみのひとつです。
◆DATA
店名:STARBUCKS COFFEEザ北漢山店
住所:ソウル特別市恩平区津寛洞277-11
アクセス:地下鉄3号線旧把撥(クパバル)駅2番出口から704番バスまたはタクシーで北漢山城入口(ブッカンサン入口)下車。旧把撥駅から約20分。
韓国に行く機会があったら、韓国独特のカフェ文化を楽しみながら、ソウルならではのスターバックスの魅力が織りなす特別な体験を楽しんでみてはいかがでしょうか。
◆ライター・田名部知子
『冬のソナタ』の時代からK-POP、韓国ドラマを追いかけるオタク記者。女性週刊誌やエンタメ誌を中心に執筆し、取材やプライベートで渡韓回数は100回超え。韓国の食や文化についても発信中。2023年1月から、韓国ソウルで留学生活と人生初めての一人暮らしをスタート。大学が集まる新村(シンチョン)にある西江(ソガン)大学の語学堂に通いながら韓国で就活中。twitter.com/t7joshi