健康・医療

《ラーメンのスープが好きな医師が考案》中性脂肪・悪玉コレステロール値の低下に役立つ!簡単でおいしい“あぶらを落とすスープ”の作り方

マグカップに入ったスープ

中性脂肪やコレステロール対策に医師が考案したスープのレシピを紹介(写真/『血液と体の「あぶら」を落とすスープ』(アスコム)より)

体にたまると重篤な病気を引き起こす要因となる、中性脂肪やコレステロールが増える一因には食生活や運動不足にある。しかし、『血液と体の「あぶら」を落とすスープ』(アスコム)を上梓した医師の五藤良将さんは、健康のためといっても「長年続けてきた習慣を変えるのは、難しい」という。そこで、五藤さんが考案したおいしく続けられる「『あぶら』を落とすスープの素」のレシピや健康効果について教えてもらった。

* * *

おいしくて手軽だから続けられる「あぶら」を落とすスープ

好んでいたものを食べられなくなったり、運動習慣がないのに運動しなければいけなくなったりするのは難しいことだと話す五藤さん。しかし、医師の立場としては患者のために中性脂肪やコレステロールといった「悪魔のあぶら」をためないほうがいい、と考えている。

自身もラーメンのスープが好きで、がまんするつらさを知っているからこそ、なんとか続けられる方法を…と栄養士ともに考案したのが「あぶら」を落とすスープだ。

「スープなら、液体なので食べやすく、消化しやすいため、手軽に食生活にとり入ることができます。一度に大量に作っておけば、必要なぶんだけ食べて、残りは保存しておくこともできます」(五藤さん・以下同)

しかも、作り置きした素にお湯を注ぐだけでスープができるという手軽さも、五藤さんが重視したポイント。いろいろな食材との相性もいいため、アレンジしたり、料理の味付けに使ったりしてもいいのだという。

おいしさの5大要素を取り入れたバランスのよい味わい

吟味して選んだ食材だけで作ることで毎日安心して食べられ、体にうれしい栄養素を一度にとることができる、このスープ。ラーメン好きの五藤さんも納得の味に仕上がったという。

おいしさを決める5大要素の甘味・酸味・塩味・苦味・うま味を取り入れ、「舌で感じる味」のバランスがよいことがその秘訣だ。

かつお節

おいしさを決める5大要素のバランスを重視して考案(写真/Photo AC)

「人間にとって、五味を感じることは、食欲をわかせてしっかりと食事をとるためだったり、逆に危険なものを体に入れないという重要な意味をもちます」

「あぶら」を落とすスープは、かつおのうま味を生かしながら、ほかの4つの味のバランスを他の食材で補っている。その材料とは、しょうが、玉ねぎ、お酢、ごま、緑茶など、近所のスーパーで安価に買える食材を使っていることも五藤さんのこだわり。そのレシピを紹介しよう。

「『あぶら』を落とすスープ」のレシピ

1杯あたりの栄養成分は、エネルギー63kcal、たんぱく質4.7g、脂質3.5g、炭水化物2.3g、食塩相当量1.1g。

《材料》(10杯分)
かつお粉…50g 黒すりごま 大さじ3 (18g)エキストラバージンオリーブオイル…大さじ2(24g) りんご酢…大さじ1 (15g) 粉末緑茶… 大さじ2 (約7.2g) しょうゆ… 70g 玉ねぎ…1個(200g) しょうが… 20g

《作り方》

ボウルの中身を混ぜている

かつお粉、黒すりごま、エキストラバージンオリーブオイル、りんご酢、粉末緑茶、 しょうゆをボウルで混ぜる(写真/『血液と体の「あぶら」を落とすスープ』(アスコム)より)

【1】かつお粉、黒すりごま、エキストラバージンオリーブオイル、りんご酢、粉末緑茶、 しょうゆをボウルに入れてよく混ぜる。

【2】玉ねぎをすりおろし、さらにしょうがをすりおろす。

ボウルの中身を混ぜている

玉ねぎとしょうがを足してさらに混ぜる(写真/『血液と体の「あぶら」を落とすスープ』(アスコム)より)

【3】【1】に【2】を入れてよく混ぜる。

製氷皿に詰めたスープの素

1回分ずつ製氷皿に詰める(写真/『血液と体の「あぶら」を落とすスープ』(アスコム)より)

【4】【3】を製氷皿(1キューブ40gのもの)に詰めて冷凍庫へ (臭い移りが気になる場合は、ラップをかぶせる)。

まとめて作りたい場合や製氷器に詰めるのが面倒なときは、冷凍保存袋を使ってもOK。材料を冷凍保存袋に入れて平らにして凍らせ、使うときには割って取り出す。1杯あたり40gになるように量って使用する。

「あぶら」を落とすスープで体質改善

「あぶら」を落とすスープを飲み続けることで、悪魔のあぶらがたまらない体へ体質改善ができるという。「そのためにも、まずは2週間、『あぶら』を落とすスープを続けてみていただきたいと思っています」と五藤さん。

「あぶら」を落とすスープの成分が体に働きかけると、中性脂肪や悪玉 (LDL) コレステロールのせいであぶらをエネルギーに変換しづらくなっていた体の脂質代謝が改善され、エネルギーとしてうまく使えるようになる。すると、血液中の中性脂肪が少しずつ減っていき、悪玉 (LDL) コレステロール値の減少も期待できる。

「LDLコレステロールの数値が2週間で低下するのはなかなか大変ですが、中性脂肪の数値が改善しているということはLDLコレステロールにもよい影響が出ているといえます。なぜなら、脂質代謝が改善すると、LDLコレステロールの生成が抑制されるからです」

お腹を押さえる女性

効果を実感できる目安は2週間(写真/Photo AC)

血液中の数値は検査をしないとわからないものの、疲れにくくなった、おなかの調子が整ってきたなどの変化が感じられるようになってくるという。「体の変化を実感できると、続けるモチベーションになります」と五藤さんはいう。

「あぶら」を落とすパワフル食材の栄養効果

「あぶら」を落とすパワフル食材だと五藤さんがいう「あぶら」を落とすスープの材料について、その栄養素と期待できる効果について、最後に紹介する。

かつお粉

【EPA/DHA(オメガ3脂肪酸)】【たんぱく質】
かつお粉に含まれる EPA・DHAというオメガ3脂肪酸に分類されるあぶらには血液中の中性脂肪を低下させ、体脂肪を減らす作用がある。 また、 不足しがちなたんぱく質も豊富に含まれている。

玉ねぎ

【硫化アリル】【ケルセチン】
玉ねぎの刺激臭のもととなる成分である硫化アリルや、玉ねぎに多く含まれる抗酸化物質であるケルセチンには、 中性脂肪や悪玉コレステロールの代謝を促し、血液をサラサラにする効果がある。

ざるにのった玉ねぎ

抗酸化物質のケルセチンを多く含む玉ねぎ(写真/Photo AC)

しょうゆ

【サポニン】【イソフラボン】
しょうゆの主原料、 大豆に含まれているポリフェノールの一種であるイソフラボンとサポニンは、悪玉コレステロールの酸化を防ぎ、血液中の余分なあぶらをきれいに流してくれる。

黒すりごま

【セサミン】【ビタミンE】
ごまの成分であるゴマリグナンに含まれるセサミンには、 非常に強力な抗酸化物質であるビタミンEの活性を高める効果が。また、セサミンには血圧を下げる効果もある。

黒胡麻をすりばちですっている

ビタミンEの活性を高めるセサミンを摂ることができる(写真/Photo AC)

りんご酢

【酢酸】【クエン酸】【りんごポリフェノール】
りんご酢に含まれる酢酸は、急激な血糖値の上昇を抑えて高血糖や肥満の改善につながるほか、脂肪燃焼を促す。 また、りんごポリフェノールの抗酸化力はセサミンの約17倍といわれている。

エキストラバージンオリーブオイル

【オメガ9脂肪酸】【ポリフェノール】
エキストラバージンオリーブオイルに含まれる脂肪酸の約70〜80%は、 オメガ9脂肪酸に分類されるオレイン酸。 また、活性酸素の除去作用をもつポリフェノールもたっぷり含まれている。

しょうが

【ジンゲロール】
しょうがの辛み成分であるジンゲロール(加熱したときはショウガオール)は血行をよくし、代謝を高めて脂肪の分解や排出を促す。 また、 腸の働きをよくする作用もある。

粉末緑茶

【カテキン】
お茶の渋味や苦み成分であるポリフェノールの一種であるカテキンには、体の酸化を防ぐ、悪玉コレステロールを減らす、血糖値の上昇を抑えるなど、さまざまな健康効果があることが知られている。

◆教えてくれたのは:医師・五藤良将さん

白衣を着てマグカップをもた男性

医師の五藤良将さん

ごとう・よしまさ。医療法人社団五良会理事長。竹内内科小児科医院院長。1978年、 千葉県生まれ。 防衛医科大学校卒業後、自衛隊医官として勤務。その後、津田沼中央総合病院などを経て、2019年9月に竹内内科小児科医院を継承し院長となる。生活習慣病をはじめ、診療は多岐にわたる。https://www.youtube.com/channel/UCpJjtOyjF22s3NY5MEgeRbA

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