《更年期に指に不調が生じたら…》「曲がったまま戻らない」「第一関節が変形」「付け根が腫れる」は早めの適切なケアがカギ 50代以上の女性がなりやすい手指の病気の症状と治療法
朝15分のこわばりを軽視しないこと!
手指のケアや治療は早ければ早いほどいいが、どの段階から始めたらよいのだろうか。
「たとえば40代半ば以降で、朝起きたときに手指にこわばりなどの違和感が15分ほど続く、手指が痛む日もあれば痛まない日もある、といった症状が出たときに手外科を受診すれば、不調は解消され、重症化を避けられるはずです。近くの手外科専門医は、日本手外科学会のホームページから検索できます」
また、血流の悪さが症状を悪化させるため、日頃から就寝時に手を冷やさないように手袋をしたり、血行を改善するビタミンEのサプリメントを摂ったりするセルフケアは、症状の有無に関係なく早めに行っておくのがおすすめだという。
年齢は手に出やすいともいわれる。早めのケアと正しい治療で、健康で美しい手指を維持したい。
初期はエクオールで改善!50代以上の女性がなりやすい手指の病気
50代以上の女性がなりやすい手指の病気の症状と治療法を紹介する。初期はエクオールで改善できることが多い。
ばね指
症状:腱と腱鞘の間で炎症が起こり、指が曲がったまま伸びにくくなる。進行すると指を伸ばそうとしたときに引っ掛かり、ばねのように急に伸びる。
治療法:初期はエクオールで改善するが、一般的に腱鞘内にステロイド注射をする。注射ができるのは3回まで。その後は腱鞘の一部を切る手術を。
ヘバーデン結節
症状:指の第一関節の軟骨が摩耗することで、そこが腫れてこぶのようになって曲がる。強い痛みがあり、水ぶくれのような粘液嚢腫が生じることも。
治療法:初期はエクオールを服用し、テーピングをして薬物療法、アイシングなどを行う。痛い場合は関節内にステロイド注射。悪化したら手術も。
ブシャール結節
症状:第二関節の軟骨が摩耗することで、そこが腫れてこぶのようになって曲がる。ペンや箸をうまく使えないなど日常生活に不便さを感じることも。
治療法:初期はエクオールを服用しつつ、関節内にステロイド注射をする。悪化したら、腱の一部を切除する手術や人工関節を入れる手術などを行う。
手根管症候群
症状:手首にある手根管を通る正中神経が圧迫されて神経まひを起こす。進行すると上図の斜線部に痛みやしびれを感じ、ペンや箸を使うのが困難に。
治療法:2~3か月おきに手根管にステロイド注射を行う。改善が見られない場合は手術で、神経を圧迫している靱帯を切開してまひを解消する。
ドケルバン病
症状:短母指伸筋腱と長母指外転筋腱が腱鞘部分で炎症を起こし、腱の動きが悪くなる。親指の付け根あたりが腫れて痛み、親指が伸ばしにくくなる。
治療法:腱鞘内へのステロイド注射を行う。改善しない場合は腱鞘を切って、2本の腱を開放する手術をする。傷は小さくて済み、10分程度で終わる。
母指CM関節症
症状:母指CM関節を支える靱帯がゆるくなったり、関節が変形してズレたりすると、親指の付け根が腫れて痛み、瓶の蓋などが開けられなくなる。
治療法:関節を保護する装具を装着。痛みがある場合は、関節内にステロイド注射を行う。痛みが取れない、変形がひどい場合は手術をする。
◆教えてくれたのは:四谷メディカルキューブ 手の外科・マイクロサージャリーセンター・平瀬雄一さん
米国デービスメディカルセンター客員教授、慈恵医大柏病院形成外科医長、埼玉成恵会病院形成外科部長を経て、現クリニックのセンター長に就任。著書に『私の手はなぜ痛いのか、しびれるのか、曲がっているのか』(幻冬舎)など。
取材・文/上村久留美
※女性セブン2024年12月5日号