季節を問わず、安価で購入できる豆苗は、家計の強い味方。「豆苗は手頃な価格で買える上に栄養もたっぷり。とくに肌の不調や更年期症状など、大人女性の悩みを解決する栄養素が多いのです」と語るのは、野菜ソムリエプロの福島玲子さん。どんな栄養素が含まれているのか、また、豆苗のほかにもあるスプラウト系の野菜について教えてもらった。
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女性にうれしい!美肌や更年期症状緩和が期待できる栄養素
豆苗は、美肌や更年期症状の緩和が期待できる栄養素を含んでいます。栄養価が高いのに、安価で食卓に取り入れやすいので積極的に食べていただきたい野菜です。
豆苗は美肌に導く栄養がたっぷり!
豆苗には、β-カロテンがたっぷり含まれています。β-カロテンは体内でビタミンAに変換され、肌のターンオーバーを促したり、シミの予防や改善効果を高めたりといったことが期待できます。加えて、抗酸化作用もあります。
血液凝固に関わるビタミンKも豊富。カルシウムの骨への取り込みを助ける働きもあります。さらに、肌のバリア機能を高め、ダメージを受けた肌の修復をサポートします。
ほかに、ビタミンCも多く含まれます。コラーゲンを生成し、肌にハリをもたらせたり、血管や粘膜、骨、筋肉などを丈夫にしたり、傷を修復したりといった効果があって、皮膚や骨の健康維持には欠かせない栄養素です。また、免疫系の働きにも作用するため、風邪の予防効果があるといわれています。
更年期症状の緩和に役立つ栄養素も豊富
豆苗は女性ホルモンの生成に関わる栄養素である、ビタミンEも含んでいます。ビタミンEはホルモンバランスを整えるので、更年期症状の対策にもよいとされています。血行を促し、栄養や酸素が全身に行き渡りやすくなることで美肌にもつながります。
さらに、葉酸も豊富です。DNAの調整や合成に関わる“造血のビタミン”で、貧血や骨粗しょう症の予防など、更年期以降に起こりやすい症状の緩和が期待されます。
さらに、ビタミンB群も含まれます。コラーゲンの生成やDNAの合成を助けるだけでなく、脳の神経伝達物質を作りだす過程にも関わっているビタミンB群。脳の伝達物質は、ストレスなどによって大量に消費されてしまうので、ビタミンB群は心身の健康のために不足してはならない栄養素です。
豆苗・かいわれ大根・ブロッコリースプラウトの違い
豆苗を含め、サラダのトッピングなどで見かけることが多いスプラウトは、野菜の種子や穀類、豆類を発芽させた新芽や若菜を指します。
豆苗はえんどう豆の若菜で、かいわれ大根は大根の新芽、ブロッコリースプラウトはブロッコリーの新芽です。それぞれの特徴をお話しします。
かいわれ大根は胃に優しい栄養素が豊富
かいわれ大根は、大根の種子が発芽したもの。茎が伸びるまで暗室で栽培され、その後光に当てて栽培される野菜です。生で食べたときのぴりっとした辛味がおいしく、加熱調理にも使えます。
β−カロテンが多く含まれ、ほかにもビタミンB群、ビタミンK、葉酸のほか、アリルイソチオシアネートという辛味成分が含まれています。アリルイソチオシアネートは大根などにも含まれている栄養素で、胃液の分泌を促し、胃の働きを正常化してくれる働きがあります。
ブロッコリースプラウトにはアンチエイジング効果!
ブロッコリースプラウトは、発芽してすぐのブロッコリーの新芽です。クセや辛味が少なくマイルドな味わいで、生でも食べやすい野菜です。β−カロテン、ビタミンC、ビタミンE、カリウムなどの栄養素が豊富です。
ブロッコリーよりも栄養価が高く、β−カロテンは3倍、カルシウムとビタミンEは3倍、ビタミンKは1.5倍近くブロッコリースプラウトのほうが多く含まれます。
ほかにも、胃腸薬にも配合されるキャベジンやスルフォラファンなど、アブラナ科特有の栄養素がたっぷりで、アンチエイジング効果などが期待されています。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ