
丁寧にしたためた文字には、その人の人となりが如実に表れる。かつて一世を風靡し、三浦友和(72才)との結婚を機に芸能界を引退した山口百恵さん(65才)の丁寧で思いやりあふれる人柄を、一世代後輩にあたる歌手・荻野目洋子(55才)が明かした。
関係者伝いに手紙「私にもそういう時が」
11月21日放送の『ぽかぽか』(フジテレビ系)にゲスト出演した荻野目は、デビュー間もない1980年代後半、当時既に芸能界を引退していた百恵さんから手紙をもらった際のエピソードを披露した。
当時、荻野目はまだ10代後半。アイドル歌手としてドラマやコンサートといった仕事に追われ、睡眠不足のあまり顔にたくさんのニキビができてしまい、思い悩んでいた。その様子をテレビ画面越しに見た百恵さんは、わざわざ関係者伝いに手紙を送ってくれたという。
「私にもそういう時がありました。よかったらこの漢方をお使いになってみてはいかがですか」
手紙にはそう綴られていた。一緒に送られてきた漢方の効能と、百恵さんの優しさに癒されて、ニキビは無事治ったそうだ。

桜田淳子や森昌子とは手紙のやり取りを続ける
荻野目に限らず、百恵さんの「優しさを綴った手紙」に救われた人は少なくない。百恵さんとともに「花の中三トリオ」と呼ばれた桜田淳子(66才)や森昌子(66才)とは、互いが50才の節目を過ぎても、手紙のやりとりを続けていた。
《私が更年期障害になって一番辛かった時期、百恵ちゃんから毎日のようにお手紙や電話、メールがありました。“大丈夫? みんな、この年になれば同じよ。1人じゃないから、何かあったら連絡を頂戴”というお手紙で、今更ながら、友達っていいなあって思いましたね》
森は2013年、「週刊新潮」のインタビューにそう語っていた。百恵さんが芸能界を引退してから四半世紀以上も会っていないにもかかわらず、手紙を通して励まし合い、密な交流が続いているという。
その姿勢は、芸能界の大御所相手にも変わらなかった。
「黒柳徹子さん(91才)が番組内で百恵さんの話題を出すと、いつも本人から感謝の言葉が並んだ礼状が届くそうです」(芸能関係者)
近年、年賀状のやりとりを卒業する「年賀状じまい」が話題だ。だが百恵さんは年始の挨拶も重要視していて、近所の友人からお世話になった仕事相手まで、綺麗なきっちりした字で書く、シンプルな年賀状を送っていたという。

脳裏に焼き付く、真摯に筆を持つ母の姿
百恵さんの「筆まめぶり」は、実の母譲り。百恵さんの母も筆まめで、かつては百恵さんのファンに対し、母が手紙を書いていた。
「14才でデビューし、多忙すぎる毎日を過ごしていた百恵さんを見かねて、ファンレターの返事をお母さんが代わりに書いていた時期があるそうです。
経済的に余裕がない時期も、デビューしてからのめまぐるしい日々も、母と2人で支え合って過ごしてきた百恵さん。そんなときに、お母さんが真摯に筆を持つ姿が、百恵さんの脳裏にしっかりと焼き付いているんだと思います」(前出・芸能関係者)
百恵さんは芸能界引退直前の著書『蒼い時』(集英社刊)で、母にこんな“手紙”を送っている。
《先日、アムステルダム美術館で、『レンブラントの母』という絵に目がとまりました。一本一本細かく描きこまれた(右手の)皺が、この女の人の人生そのものを語っているかのようで、あなたの手と同じだと思いました。そんな手を持ったあなたのようなひとに、私はなりたいと思います》
その手で数々の言葉を紡いできたように、百恵さんも、手紙を通して多くの人を励ましている。手紙を綴るその手には、きっとあの日の母のように、美しい皺が刻まれているのだろう。


