玄関にリビング、台所、浴室と1年の汚れをごっそり落とす季節がやってきた。どうせなら、今年こそは夫に“大掃除デビュー”を! 年末の大掃除は、日常的な掃除に比べてイベント性が高く、家族で協力し合うにはいいタイミング。夫にどこをどう掃除してもらうのがいいのか、専門家に具体的な役割分担法を聞いた。
夫にとって愛着のある場所を任せよう
「初心者でも簡単にきれいにでき、達成感が得られやすいのが、ほこり取りです」とは、家事代行サービス「CaSy」スタッフの河野依香さんだ(「」内、以下同)。
ほこりはどこにでもあるので掃除場所に事欠かない。そのうえ、水垢や黒ずみ、油汚れなどと違い、洗剤などの特別な道具が必要なく、拭くだけできれいにできる。細々と教える必要がなく、掃除用不織布やマイクロファイバークロスなどを渡しておけばすむ。あとは、どこの場所を任せるかだ。
「ご主人にやりたい場所があれば別ですが、どこでもいいなら、自室やリビングなど、ご主人がいちばん長い時間を過ごす愛着のある場所がおすすめ。テレビまわりなど、普段から目につきやすい場所、趣味のコレクションがあって、きれいにすることで満足感が得られる場所もいいでしょう」
面倒な風呂場などの水回りを任せたいところだが、水垢取りなどはスキルが必要。任せたところで仕上がりに妻が満足しないケースが多いため、おすすめしないという。垢や毛髪で詰まった排水口を見せるのも、掃除のモチベーションが下がるのでやめた方がいい。
「妻が掃除するには脚立などが必要な高い場所で、手間がかかる照明器具のほこり取りも、ご主人に任せるといいでしょう。妻が普段掃除しづらい部分なので文句も言いにくいうえ、身長の高さといった男性の身体的特徴が生かせます」
寒い・冷たいを避け、数回に分けて習慣化
1日ですべての場所を終わらせようとすると集中力が続かず、疲れるので、週末ごとなど数回に分けて行った方が、年末の大掃除以降も習慣化しやすいという。
「大掃除の時期は寒いので、暖かい室内でできて冷水を使わない場所の掃除も、モチベーションを下げないという意味でおすすめです」
以下から場所ごとの詳しい掃除方法は紹介する。
レベル1 :“ほこり取り大臣”に任命する
【リビング】作業する面積が広く、ほこりもたっぷりでやりがいあり
迷ったらリビング1室を任せておけば間違いはないという。
「リビングの汚れはほぼ“ほこり”ですから、掃除が簡単です。とはいえ、面積が広いため、ほこりがたまりやすい場所がたくさんあり、意外と手間。照明など妻が普段掃除しづらいアイテムもあり、まさに掃除初心者のご主人にはうってつけの場所です」(河野さん・以下同)
柄が伸びるハンディワイパーを渡しておけば、高い場所から、家具の裏の狭い場所まで掃除しやすい。
「やり方のポイントをひとつ教えるなら、“ほこり取りは上から”と伝えましょう。カーテンレールや家具の裏、コード類のほこりを見逃しがちなので、様子を見ながら適宜アドバイスしてみましょう」
掃除は番号順がおすすめだ。
【1】照明
【2】テレビとそのまわり
【3】趣味などの棚
【4】ゲーム機
【5】家具の裏
【6】フローリング
【玄関】掃き掃除だけでも充分きれいに
意外とほこりがたまりやすいのが玄関。
「基本的には掃き掃除だけできれいになります。靴や傘立てを一度よけて、四隅のほこりやゴミを取るように伝えるのがポイント。難易度が高い靴箱の中は免除でOK。やる気があるようなら掃除してもらいましょう」
【ベランダ】外&水を使うので暖かい晴れた日に
大きなゴミやほこりをほうきとちりとりで取ったら水をまき、デッキブラシでコケやカビなどの汚れをこすり落とすのが基本。
「寒い上に水も使うので、モチベーションを落とさないよう暖かい晴れた日を見計らって頼むのがおすすめ」
【廊下】リビングや玄関とセットで
廊下は、リビングや玄関の掃除と併せてお願いしてしまうといい。
「掃除機やフローリングワイパーでほこりやゴミを取り、汚れはウエットタイプのフローリングワイパーで拭いてもらいましょう。観葉植物などが置いてある場合は一度よけて、裏まで掃除を」
【窓】ベランダとセットで依頼。サッシまでできたら◎
窓→窓枠→ゴムパッキンの順で拭けば充分。サッシまで期待しないこと。
「窓は専用のスプレー洗剤をかけて、から拭きを。ベランダとセットで頼みたいですが、寒くてやる気が出ないようなら、室内からできる内窓だけ任せ、外窓は暖かい別の日にするのも手」
レベル2:1か所に集中してもらう 最適は【トイレ】
【トイレ】狭いので一室丸ごと任せられる
ほこり取りだけでなく、洗剤を使った掃除が必要。とはいえ、空間が狭いので、この一室を集中して任せるのは手。
「トイレもほこりがたまりやすい場所。リビング同様、高いところから順にほこりを取り、トイレシートで便器まわりや床を拭いてもらいましょう。便器の中やフチは洗剤を使ってこすり洗いを。塩素系漂白剤と酸性洗剤を混ぜると塩素ガスが発生するので注意してあげましょう」
掃除は番号順がおすすめ。
【1】棚の上
【2】ペーパーホルダーの上
【3】便器まわり
【4】便器の中やフチ
【5】床
【エアコン】高い場所こそ夫に甘えよう
脚立が必要なエアコン掃除は、照明同様、夫に任せるのがおすすめ。掃除する場所は主にエアコン上部と中のフィルター。それ以上は故障の原因となるので専門業者に任せて。
「フィルターを外したら掃除機でほこりを取り、水洗いをしたらしっかり乾かします。エアコンの上は、かなりほこりがたまっているのでしっかり拭いてもらいましょう」
《やり方》
【1】上部のほこりを取る
【2】フィルターを外し、ほこりを取って水洗い
【3】拭いて乾かす
【換気扇】油汚れとほこり汚れたっぷりで達成感は抜群
ほこりと油にまみれた換気扇は難易度が上がるが、掃除後の達成感が大きく、洗剤の効果を実感できるので、やりがいやおもしろみを感じる男性は多いという。ここ1か所だけを存分に任せるのもおすすめだ。
「部品を分解しなければならないうえ、油汚れはつけ置きが必要なケースもあるので、予定時間に終わらなくても気楽に捉えてあげましょう」
《やり方》
【1】フィルターを外す
【2】ファンを外す
【3】部品を洗剤につけ置いて洗う
◆教えてくれたのは:家事代行サービス「CaSy」 スタッフ・河野依香さん
家事代行サービス「CaSy(カジー)」の約1万5000人のスタッフの中で、特にスキルや経験値が高いプロフェッショナル10名のうちの1人。後進の育成にも尽力。
取材・文/番匠郁
※女性セブン2024年12月19日号