床やテーブル、家具の上など、拭き掃除をするとき、最初から濡れた布きんや濡れぞうきん使って拭いている人も多いのではないでしょうか。実はこの方法は、かえって汚れを塗り広げてしまい不衛生なのだそうです。
著書『病院清掃35年のプロが教える 最新科学でわかった病気にならない掃除術』(幻冬舎)が話題を集めている松本忠男さんに、35年間総合病院の清掃作業や衛生管理に携わってきた経験をもとに、教えてもらいました。
拭き掃除の順番は乾拭きから始めるのが大原則
松本さんは、拭き掃除の順番は、乾拭きからスタートし、表面の汚れを取り除いたあとに、べたつきなどの汚れを水拭きする方法を推奨しています。
「いきなり水拭きをしたり、アルコールをテーブルや布きんなどに吹きかけて拭くアルコール拭きをするのはNG。水拭きやアルコール拭きは、乾拭きでは汚れが取り切れなかったときの次の手段と心得てください。よく、外出先のテーブルをアルコール入り除菌シートで拭いている人を見かけますが、アルコール除菌は汚れが少ない状態で行うのが大原則なのです」(松本さん・以下同)
汚れには水に溶けるものと溶けないものがある
床やテーブルの上に食べかすやホコリなどがふんわりと乗っていれば、まずは乾いたキッチンペーパーなどを使って拭き取ります。
「汚れには、水に溶けるものと、ホコリのように水には溶けないものがあります。溶けないものに水を振りかけても、汚れが悪化することはあってもきれいになることはありません。ただ、時間が経った食べかすは固まって取れにくいことがあるため、その場合はピンポイントでの水拭きが必要です」
乾拭き、水拭き、洗剤拭きの使い分けは?
そもそも、拭き掃除は汚れに種類によって使い分けることがポイントだと松本さんは説明します。
「種類は大きくわけて4つ。乾拭き、水拭き、洗剤拭き、アルコール拭きです。まず、汚れを広げないように、一方向に乾拭きします。乾拭きでは落ちない、例えばお茶をこぼしたときは、水拭きの出番です」
では、洗剤拭きをするのはどんなとき?
「食事をこぼしたときなど、油汚れに活躍します。油汚れは、当然水には溶けませんから、界面活性剤が含まれた洗剤を使って水拭きした方がいいのです。
水や洗剤では落としきれないときは、アルコールを。アルコールは溶剤なので、油を溶かしてくれますし、水や洗剤よりも汚れがよく取れます。界面活性剤やエタノール(アルコールの一種)が含まれた使い捨てのウエットクロスを使うのもいいでしょう」