健康・医療

ビタミンに関する間違った常識 「風邪予防になる」「レンチンで破壊される」…正し知って効率よく摂取する方法を専門家が解説

【間違い】ビタミンCで風邪が予防できる

免疫力は強化できても風邪予防には効果なし

「ビタミンCが風邪の予防や治療に有効という科学的根拠はありません。ただし、免疫力を強化する働きがあるのは事実です」(小林さん)

【間違い】ビタミンC配合の化粧品は朝使うとシミやしわの原因になる

朝に使用してもシミができることはない

「紫外線に反応して肌に影響を与えるのはレモンなどに含まれるソラレンという物質で、ビタミンCとは無関係です」(落合さん)

【間違い】ビタミンKが豊富な納豆や青汁は毎日摂るとよい

抗凝固薬を服用している人はダメ!

納豆のパックから箸で納豆をすくっている
納豆は毎日摂るとよい?(写真/イメージマート)
写真7枚

「心筋梗塞や脳血栓症の予防や治療用の抗凝固薬をのんでいる人は、ビタミンKが豊富な納豆や青汁は薬効が薄れるので禁止されています」(小林さん)

【間違い】ビタミンCを摂りたいならやっぱりレモン

レモンよりピーマンやパプリカがおすすめ。

「レモンよりブロッコリー、ほうれん草、黄色いキウイフルーツの方が豊富。ビタミンCは毎食摂るのが理想。食べやすい食材で摂って」(赤石さん)

【間違い】加齢とともにビタミンの吸収率は下がる

ビタミンB12だけ注意して摂ろう!

「基本的には変わりませんが、ビタミンB12は吸収率が低下すると指摘されています。欠乏すると認知症の発症リスクを高めるので要注意」(小林さん)

【間違い】花粉症対策といえば“乳酸菌”!ビタミンは関係ない

ビタミンA・C・Eが花粉症に克つ。

「免疫力低下でアレルギーを発症しやすい。ビタミンA・C・Eで予防を」(小林さん)

【間違い】レチノール(ビタミンAの主成分)配合の化粧品でしわが目立たなくなる

トレチノイン(※)ほど効果なし。
(※)レチノールの誘導体で、レチノールの100倍の効果がある。アメリカではしわやニキビの治療薬として認可されており、皮膚の若返り薬として使用されている。

「ただし、手軽にケアするなら副作用が少ないレチノールも◎」(落合さん)

【間違い】美容に最適なビタミンAはサプリメントで毎日摂りたい

適切な食事で充分サプリメントは不要

「ビタミンAの主要成分はレチノール。これは肌のターンオーバーを促すなど美容効果が注目されていますが、脂溶性なので摂りすぎはNG」(落合さん)

この時期おすすめの食べるビタミンサプリメントは“鍋”

「バランスのよい食事というのは、主食・たんぱく質・野菜が揃っているものを指します。鍋は、食材の種類も豊富で、これらの食材が全部入っています。ゆで汁に流れた栄養も、最後におじやでシメれば、無駄なく摂れます。

ただし、鍋だと緑黄色野菜だけ不足しがち。小松菜、ほうれん草、春菊、ブロッコリーなどを意識して入れましょう。また、トマトを入れると栄養バランスが整うだけでなく旨みが増すのでおすすめです」(赤石さん)

◆教えてくれたのは:大妻女子大学家政学部食物学科教授・小林実夏さん

管理栄養士・博士(医学)。専門は栄養疫学。食事評価法に関する研究、食習慣や栄養摂取と慢性疲労、周産期のメンタルヘルス、がん予防との関連に関する疫学研究を行っている。共著に『よくわかる栄養学【マンガと図解で身につく】』(自由国民社)など。

◆教えてくれたのは:東京慈恵会医科大学附属病院栄養部・赤石定典さん

管理栄養士。食生活を通して、生活習慣病予防や栄養の摂り方などの指導を行う。著書・監修本に『完全版 その調理、9割の栄養捨ててます!』(世界文化社)など多数。

◆教えてくれたのは:東京医療センター形成外科科長・落合博子さん

再生医療研究室室長。日本抗加齢医学会専門医。約30年以上にわたって多くの患者の肌の悩みを解決。著書に『美容常識の9割はウソ』(PHP研究所)。

取材・文/鳥居優美

※女性セブン2025年1月1日号

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