マイナ保険証、気になる8大疑問
移行が進んでもまだまだ疑問点も多いマイナ保険証。気になる疑問にファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに答えてもらった。
【Q1】紙の保険証はもう使えないの?
現行の保険証の新規発行は2024年12月2日で終了したものの、現時点で手元にある有効な健康保険証は、記載の有効期限まで、もしくは最長2025年12月1日まで使用できる。
「まだ猶予があるので、あわてる必要はなく、マイナ保険証の対応はじっくり検討できます。マイナ保険証を発行しても、紙の保険証の期限が残っている場合、どちらも使用可能です」。
【Q2】マイナ保険証には「マイナカード」が必要?
「マイナ保険証」というカードがあるわけではなく、マイナンバーカードに保険証機能が付く。
「マイナ保険証を発行するには、まずマイナンバーカードを作成する必要があります。『個人番号カード交付申請書』(※)を使用した郵便による申請や、オンライン申請、証明写真機による申請が可能です」
※マイナンバーが送られてきた際に同封されているもの。もしくは自治体の役所窓口で即日発行可能。
【Q3】マイナ保険証には何が記録される?
「カード自体にデータが記録されるわけではありませんが、利用者が同意することで過去の受診履歴や薬の処方履歴、注射歴、健診結果などの情報が連携できるようになります。緊急搬送時に有効なほか、どんな薬をのんでいるかなどを、医師や薬剤師と正確に共有することが目的です」
ただし、自分自身で服薬状況を把握しておくためにも、システム障害や災害発生時の備えとしても「お薬手帳」は大切。いまあるものも併用した方がいい。
裏面のICチップには氏名や住所などの情報が記録されている。電子証明書を利用すれば医療情報との連携も可能だ。
【Q4】病院窓口などで読み取りエラーになったらどうする?
現在、マイナ保険証の読み取り端末は9割以上の医療機関・薬局に設置済み。「対応が遅れている医療機関や、読み取りの不具合が生じた場合に備えて、『資格情報のお知らせ』を携帯しておきましょう。この書類は健康保険組合や役所(国民健康保険加入の場合)から送られてくるもので、マイナ保険証と併せて提示することで、読み取り不良のときに対応できます。マイナポータルからのダウンロードも可能です」。
【Q5】高齢の両親に代わって登録することはできる?
高齢の親がマイナンバーカードを持っていて、暗証番号がわかれば、実子など身内のスマホから親の「マイナポータル」にログインして、マイナ保険証の利用登録ができる。本人が操作できない場合は、家族が一緒に画面を見ながら操作をサポートすることも可能だ。
「そもそも親がマイナンバーカードを持っていない場合は、本人と代理人の本人確認書類など必要書類を役所に持参すれば、マイナンバーカードを代わりに受け取ることも可能です」
【Q6】一度登録したら、更新の必要はない?
マイナ保険証には有効期限がないものの、マイナンバーカード自体に期限が設けられている。「電子証明書としての有効期限(5年間)と、カード自体の有効期限(10年間)の2種類があります。期限が近づくと更新のお知らせが届くので、必ず更新してください。更新しないと、マイナ保険証として使用できません。マイナンバーカードを更新すれば、マイナ保険証はそのまま自動継続となるので、別途更新する必要はありません」
【Q7】紛失してしまったらどうすればいい?
24時間365日体制のマイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)に連絡すれば、利用を一時的に停止できる。「マイナ保険証は、暗証番号もしくは顔認証しなければ機能しないので、あわてなくて大丈夫。暗証番号をマイナカードにメモで書いて貼りつけているかたもいるようですが、危険なので別の場所に記録して」。再発行は、警察に届け出た被害届も持参し、住民票のある市区町村役場で手続きすれば、原則1週間で再交付される。
【Q8】どうしてもマイナ保険証を持ちたくない場合はどうすればいい?
マイナ保険証を保有していない人には、現行の保険証の有効期限が近づくと、左のような「資格確認書」が送られてくる。これをマイナ保険証の代わりに提示すれば、従来通りの保険診療を受けることができる。
「マイナ保険証を発行したものの『やっぱり解除したい』という人にも、解除後に資格確認書が送付されます。
高齢の両親やお子さんの対応が難しければ、当面、マイナ保険証を発行せず資格確認書を利用する手段はあります。
マイナ保険証を持っているものの認知症などで使用が難しい場合も、資格確認書が申請できます。資格確認書にも有効期限があるので更新は忘れずに行いましょう」