YouTubeチャンネル開設で寿命が延びた?
石川県白山市の元公民館館長の岡野重和さん(91才)は、2年前にYouTubeチャンネルを開設して「寿命が延びた」と話す。
「館長を務める前は、高校の物理教諭として定年まで働いていました。40代だった当時、NHKで流れていた教育番組に刺激を受け、自分でも教材になるような動画をつくるようになり、動画撮影と編集が趣味になったんです。個人で制作した動画はホームページに載せていましたが、思うようにアクセス数が伸びなかったので、思い切ってチャンネルを立ち上げました。
妻を亡くし、それ以来妻との思い出の動画を見るのが怖くなっていたのですが、“これも供養のひとつだ”と思い直し、再編集してYouTubeにアップしてみたんです。すると思いがけず閲覧数が増えて、いろいろな人に見てもらえるようになりました。
新しいことを始めるのもいいですが、私のように、昔から好きだったことを長く続けるのもいい。パソコン作業や動画編集は頭を使うので、この年まで元気でいられるのは、動画のおかげかもしれません」(岡野さん)
もちろん、SNSをはじめとしたネット社会についていけないと憂う人も多いだろう。福井県の愛さん(90才・仮名)もそのひとり。
「昭和の頃と比べて、家族の絆が薄れていますよね。一緒に暮らしている家族でも、みんな動画ばかり見ていて、お互いに無関心。一方でいつでもどこでも連絡が取れるようになったからでしょうか、スマホやネットでいつでもどこでも監視されているような気もして。
夫にも先立たれ、子供も巣立ち、年を取ったからこそ“つながり”から解放されて生きられる自由を実感しています」
(第2回に続く)
※女性セブン2025年1月2・9日号