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がんの名医が考案した【健康を守る野菜スープ】「必須の10の食材」「発酵調味料との組み合わせで効果増」「ピリ辛が代謝を上げる」

スープ
がんの名医が考案した【健康を守る野菜スープ】(写真/PIXTA)
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ビタミン、カロテン、食物繊維など食材の持つ栄養素はさまざま。その栄養を余すことなく摂るために有効なのがスープだ。食事とがんについて研究した医師が、「抗酸化作用」や「免疫力向上」、「がん予防作用」といった、大きな健康効果が期待される成分・ファイトケミカルを豊富に含む食材を使った「最強スープ」を紹介する。

スープに含まれる「10の必須食材」

寒い冬、体を温めるために食事にスープを取り入れる人は多いだろう。みそ汁、ミネストローネ、ポタージュなどスープにもさまざまな種類があるが、食材と調味料を正しく選べば、病気から体を守る「食べる薬」となる。特に積極的に摂取したいのは、病気から体を守る作用を持つファイトケミカルという成分を多く含んだもの。これは野菜や果物が持つ色素や香り、苦味などといった天然の機能性成分だ。

がん専門医として世界中の医学研究を調べ、これまで1000例以上のがん患者を治療し、『がんにも勝てる長生きスープ』の著者でもある佐藤典宏さんが言う。

「スープで野菜を摂ると、かさが減って生の状態よりも多くの量や種類を食べられて、水に溶け出た栄養も逃さず摂取することができるなどメリットは多いです。また近年の研究で、良質な食事は、質の悪い食事に比べて、がん患者の死亡率を半減させることもわかっています。がんの予防に効果が期待される食材も最新研究から導き出され、それらをスープで食べることで健康長寿が叶うのです」

佐藤さんが考案したスープは、整腸作用や免疫力アップ、生活習慣病予防などの効果が期待できるばかりか、がんのリスクを下げることにもつながるという。佐藤さんが、スープに必須だというのが「10の抗がん食材」だ。

「世界中で日々報告されるがんの研究のなかで、近年では食事とがんの関係が注目されています。それらをひもとくと、“がんの予防に役立つ”抗がん食材がわかってきました。具体的には抗酸化作用や抗炎症作用、抗腫瘍作用などがある野菜です。バランスよく摂ることで、がんリスクを低下させる食材は、キャベツ、ブロッコリー、玉ねぎ、にんにく、大豆、きのこ、脂ののった魚、海藻、トマト、にんじん。これらのうち、できれば2種類以上を使ってスープを作るといいでしょう」(佐藤さん・以下同)

キャベツ
キャベツをはじめ抗がん食材をできれば2種以上取り入れて(写真/PIXTA)
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がんリスクを減らす「抗がん食材」

玉ねぎ、ブロッコリー、にんじん、大豆、海藻、キャベツ、トマト、きのこ、脂ののった魚、にんにく

にんにく
にんにく(写真/PIXTA)
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ファイトケミカルが豊富なブロッコリー

10種類の食材には、どのような健康効果、抗がん効果が期待されるのか。

「キャベツとブロッコリーはアブラナ科の食材で、有害なものから身を守るファイトケミカルを豊富に含みます。特にファイトケミカルの一種であるスルフォラファンが多く含まれ、これには強い抗酸化作用があり、がんの増殖や転移を抑える働きがあるといわれている。実際、9万人の日本人を対象とした研究で、アブラナ科の野菜をもっとも多く食べたグループでは全疾患の死亡率で男性が14%、女性が11%低下しました。

ブロッコリー
ブロッコリーは最強の抗がん野菜(写真/PIXTA)
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玉ねぎやにんにくに含まれるアリシンや、トマトに含まれるリコピンもまた抗酸化作用があり、にんにくはアメリカ国立がん研究所も“がん予防に効果がある食品”としています。また、大豆とがんの死亡リスクに関する複数の研究を解析した論文では、胃がん、大腸がん、卵巣がんの死亡リスクが50%前後低下したという報告もあります」

玉ねぎ
玉ねぎやにんにくに含まれるアリシンには抗酸化作用が(写真/PIXTA)
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トマト
トマトに含まれるリコピンも(写真/PIXTA)
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大切なのは、抗酸化作用だけではない。

「きのこ類に含まれるβ-グルカンという食物繊維には免疫力を高める効果があり、さばやいわしといったオメガ3脂肪酸が豊富な魚は体内の炎症を抑える働きがあるため、ともにがんや生活習慣病予防に効果的です。ぬめりのある海藻類はがん細胞の増殖を抑える抗腫瘍作用があるとされ、がんと闘う免疫細胞の活性化を助けます。

きのこ
きのこ類に含まれるβ-グルカンという食物繊維には免疫力を高める効果が(写真/PIXTA)
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さば
さばやいわしといったオメガ3脂肪酸が豊富な魚は体内の炎症を抑える(写真/PIXTA)
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にんじんは強い抗酸化作用があるだけでなく、カロテンが体内でビタミンAに変化し免疫力を高めるといわれ、がんのリスクを減らす作用も認められているのです」

にんじん
にんじんは強い抗酸化作用があるだけでなく、カロテンが体内でビタミンAに変化し免疫力を高める(写真/PIXTA)
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白い穀物より茶色の穀物

いざ、スープを作る際に意識したいのは「摂らない方がいい食材もある」ということ。

「使い勝手がよく、だしにもなるのでベーコンやハムなどの加工肉をスープに入れる人は多いですが、ほとんどの加工肉には発がん性が危惧される亜硝酸ナトリウムなどの食品添加物が含まれており、摂りすぎは大腸がんのリスクを高めるという研究もあるため多用しすぎない方がいいでしょう。WHOの専門機関も、加工肉をたばこなどと同じ“発がん性の充分な証拠があるグループ”に分類しています。ただし、肉類はたんぱく質が豊富なので健康維持には欠かせません。加工されていない、脂の少ない肉を取り入れましょう」

一杯で満足感が出るよう、ペンネやオートミールなど炭水化物を入れたい人もいるかもしれない。佐藤さんがすすめるのは全粒粉パスタなどの「精製されていない穀物」だ。

「糖質制限などのブームで、炭水化物を避ける人が増えていますが、健康のためにはしっかり摂った方がいい。ただし、白米や白いパンといった精製された白い穀物は、血糖値を高め血管に負荷をかけるため体内で慢性的な炎症が起こりやすく、かえってがんリスクを高めるという報告がいくつもあります。とはいえ、極端に炭水化物を制限すると、食物繊維などの栄養素が減ってしまうことも多い。

一方、玄米やライ麦パンなど、精製されていない茶色の穀物は栄養素が減ることなく、がんのリスクを下げるといわれています」

調味の仕方にも、留意点がある。組み合わせ方で、健康効果を上げることにも下げることにもなるからだ。

「みそやしょうゆといった発酵調味料は腸内環境を整える効果があるので、積極的に取り入れるといいですね。つまり、野菜たっぷりのみそ汁も最強スープといえます。ただし、みそには塩分が多く含まれるので、塩分過多にならないよう、だしをしっかり効かせる、豆乳などと組み合わせてコクを出すといった工夫を。

みそ
みそやしょうゆといった発酵調味料は腸内環境を整える効果がある(写真/PIXTA)
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チリペッパーなどを使ってピリ辛に仕上げるのも、汗が出て代謝がよくなる。チリペッパーを日常的に食事に取り入れるメキシコでは、がんリスクが減少しているという研究もあります。カレースープもいいですが、市販のルーではなくカレー粉を使ってください。カレー粉に含まれるクミンやターメリックなどのスパイスは抗酸化作用、抗炎症作用があり抗がん効果が期待されます。市販のルーには添加物が多く入っているので避けた方がいい」

味つけには、発酵調味料やスパイスを使おう
味つけには、発酵調味料やスパイスを使おう(写真/PIXTA)
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