健康・医療

【アップデートしておきたい大腸がんに関する知識】「人工肛門になる確率はそこまで高くない」「ネギ属の野菜でリスク減」…治療に関する最新情報と予防のための食生活

ネギ属の野菜でリスク8割減

がん予防の食事や生活習慣については玉石混交の情報が入り乱れているが、何が正しいのか。年を重ねると、たんぱく質を摂ろうと赤身肉を積極的に食べたり、腸活のためにヨーグルトを習慣的に食べることがすすめられるが過剰摂取は禁物。松生さんがアドバイスする。

「大腸がんのリスクを上げると確実にわかっているのは赤身肉、加工肉、アルコール、肥満、喫煙です。予防におすすめなのは地中海食です。果物や野菜をたくさん食べて、たんぱく質は乳製品や肉からよりも魚から多く摂る。オリーブオイルやナッツ、豆類、全粒粉など未精製の穀物を使います。オリーブオイルを毎日スプーン1杯飲むだけで、便通は改善されます」

地中海食は大腸がんのリスクを下げる(写真/PIXTA)
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玉ねぎやにら、にんにくなどのネギ属の野菜もリスクを下げると話すのは室井さんだ。

「2019年に発表された中国の研究では、ネギ属の野菜を多く食べていた人は、摂取量が最も少ない人に比べて、がんのリスクが約8割低くなると報告されています。ネギ属の野菜に豊富な有機硫黄化合物が、がんのリスクを下げるからだと考えられています。ただし、たくさん食べるときは必ず充分に加熱すること。生で大量に食べると抗菌作用のあるアリシンが腸内の善玉菌を殺して、腸内環境が悪化します」

玉ねぎは大腸がんのリスクを下げる(写真/PIXTA)
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カルシウムやこんにゃくが大腸がんのリスクを下げるという研究もあるが、中村さんは一部否定する。

「バランスの取れた健康的な食事はがんを遠ざけると思いますが、こんにゃくやカルシウムで大腸がんのリスクが減少するといった研究はエビデンスの蓄積が今後必要であると考えます」

昨日の常識は今日の非常識かもしれない。常に情報をアップデートして、大腸がんに向き合おう。

(前編から読む)

約1.5mあるとされる大腸の8割が結腸で、2割が直腸。ただ、大腸がんの罹患率は直腸がんが3~4割。結腸の方が長いことを考えれば結腸がんの方がよりなりやすいといえる。「人工肛門」は直腸がん治療の選択肢のひとつだが、ぎりぎりまで肛門を温存する術式が一般化しているという。
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※女性セブン2025年2月13日号

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