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「ちょっと、しんどい‥‥」1月31日放送の『ニノさん』(日本テレビ系)で、SixTONESの松村北斗(29才)はそうつぶやいて苦笑いを浮かべた。この言葉は、放送中のドラマ『アンサンブル』(同局)で共演する川口春奈(29才)の厚意に向けられたものだった。
「松村さんが川口さんから手作りおにぎりをすすめられたところ、“他人が握ったおにぎりは食べられない”と拒否したというエピソードで、松村さんの行為に対して“理解できない”“気持ちはわかる”“川口春奈でもお断り”といった意見がSNSにあふれました」(テレビ局関係者)
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同番組を見ていた小学生の子供を持つ40代の女性は、このエピソードを耳にして苦い思いが去来したという。
「新型コロナウイルス感染症の影響で見合わせていたお弁当持参の運動会が、息子の通う小学校で昨秋から復活したんです。そのときのランチタイムで、ママ友のひとりに、“よかったら1つどうぞ”と不揃いなおにぎりをすすめられた。仲のいいママ友なんだけど、他人が握ったおにぎりに抵抗がある私は、“いいよ、いいよ。気にしないで”って断ったんです。そしたら変な空気になっちゃって……ほかのママ友はなく食べていて、驚きました」
他人が握ったおにぎりを食べられない人の割合は増加中
「他人が握ったおにぎり食べられない論争」の歴史は古く、インターネットの掲示板やSNSを舞台に定期的に論争が起きている。背景にあるのは、松村や40代女性と同様の抵抗感を抱く人の増加だ。
本誌が2015年に行ったアンケートでは3割程度だったが、2023年にインターネット番組『ABEMA Prime』がアンケートを実施したところ、「他人が素手で握ったおにぎりはNG」が52%にものぼった。
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いつの時代も理由は衛生面への懸念などだが、「彼らに興味深い共通点があることがわかったんです」と話すのは、「他人が作ったおにぎりへの抵抗感」について研究をしている県立広島大学・地域創生学部の向居暁教授(認知心理学)だ。
「前提として個々の衛生意識は影響していますが、他者への信頼の低さが関連していることもわかりました。しかも、“握った特定の人への不信感”ではなく、そもそも“他人全般を信頼できない人”が、強い抵抗感を抱く傾向にありました。信頼度の低下は親子関係などに影響を受けます。また、あくまで可能性のひとつとして挙げるなら、SNSの普及による人間関係の構築が変化し、信頼度低下につながって手作りおにぎりに抵抗を感じる人が増加しているのではと推測します」
国民食をめぐる答えの出しにくい論争だが、その要因は時代とともに変化しているようだ。