
日曜劇場ドラマ『御上先生』に出演中で話題の俳優・窪塚愛流。写真セレクトから、内容、カバーデザインなど、全てにおいて本人が制作に携わった1st写真集『Lila』がいよいよ3月5日に発売される。そこで、窪塚本人が写真集に込めた思いを余すところなく語った。写真集を何倍も楽しむことが出来る独占インタビューを、4回にわたってお届けする。
伝記のような写真集がいいなと思いました
――写真集を出すことを聞いた時の気持ちを教えてください。
窪塚:写真集を出すという発想が一切頭になくて。例えば、アイドルの方とかはよく出されたりすると思うのですが、なんとなく自分には縁遠いイメージでした。僕の中にある写真集のイメージは、ファンの方が欲しい写真がギュッと詰め込まれている感じなのですが、僕はそういうキラキラした感じでもないし……。
お話をいただいてめちゃくちゃ嬉しかったのですが、現実味がなくて。ですがせっかくこういう機会をいただいたので、自分なりに考え始めて…少しだけ現実味を帯びてきた時に、『ファンの皆さん、写真集できました!』というよりは、自分にとって大事な一冊にしたいなって思うようになりました。
もっと大人に、30歳くらいになって見返した時に、ウルってくるくらいのエモーショナルな本になったらいいなって。僕のカッコいい、イケメンショットがあるというよりは、窪塚愛流の伝記を読んでいるような、自分の過去を覗き見出来るような、そういう写真集がいいと思いました。お話をいただいたことをきっかけに、これまでは、考えてこなかったことを考え始めて、ウキウキしていました。
――自ら方向性を提案しましたか?
窪塚:マネージャーさんとお話して、自分の意見もたくさん受け入れていただきました。”これが理想”という写真集の形を伝えて、これだけは譲れないポイントも伝えました。狙って作り上げた写真ばかりになるのが嫌で、偽りのない自分でいたくて。もちろんカッコもつけるし、それも僕なのですが、そういう作り上げた自分だけの写真集では終われないな、と。自己紹介になるようなものにしたいと決意し、写真集を出すことに対して、熱い想いが込み上げてきました。

本当に自分の作りたいものが出来た
――実際に出来上がってきたものを見て、いかがですか?
窪塚:(デザインなどを見ながら)素直に嬉しいです。実際、あまり想像がつかなくて、どの写真が表紙になるとかも全く計算してなかったですし。ただ、撮っていただいた写真はどれも素敵で、自分のありのままの表情で、全ての写真にその瞬間の自分が滲み出ていました。構成には、ただ僕が好きだからこれ、という訳ではなくて、本当にたくさんの方が関わって、色々な提案をして下さって。窪塚愛流はこういう方が好きなのではないかなど、みなさんが僕のことを想って、ただ写真を選んで並べるだけではなくて、一つ一つ配置も考えて下さった。そういう部分を経て、僕が求めていたものにどんどん近づいていきましたし、僕のことを想って作って下さったことが、写真の一枚一枚から伝わることが、すごく嬉しかったです。
『わ!このちょっと端に寄せている感じとか最高!』『そうそう、これこれ!』みたいな理想はあったのですが、僕は作り方など、全然わからないので、ニュアンスというか、モヤモヤとした雰囲気でしかなかったものを、現実にしてくれた感じがあります。本当に自分の作りたいものが出来たと思っています。もちろん応援して下さっている方にも見ていただきたいのですが、何よりも自分にとって大事な一冊になったと、改めて思います。

シワシワのパジャマで外出していた
――タイトルはご自身が考えたそうですが、『Lila』に込めた思いはなんでしょう?
窪塚:ずっと飼っていたワンちゃんの名前で、中学3年生の時に、天国に行ってしまったのですが、そこから僕の人生が変わりました。中3は、僕の中ではすごく子供で……今でももちろん子供なのですが(笑)。でも、高1になってから、今の自分に繋がる基盤ができていきました。
中3までは、僕自身というよりは、両親や学校、地域などを通していろいろなものが形成されてきた感じがあったのですが、高校からは全部自分。自分で高校を選んで、自分から積極的に友達を作って……全て自分発信で進めていきました。当然のことなのですが、僕にとっては、大きな変化だったのです。友達を作るのも、単純に学校が一緒だから、なんとなく仲良くなったではなく、自分で決めて行動したからこそ、直接繋がっているというか…。
今の友達関係も、性格も考え方も、全部そこからです。オシャレが好きになったのもそう。それまでは、『どうやったらそんなにシワになるん?』っていうくらいのシワシワのパジャマみたいな服で遊びに行ったりしていました。オシャレの”お”の字もないくらい(笑)。シワシワのパーカーとジャージで、スヌーピーのポップコーンケースをかけて、ユニバ(ユニバーサルスタジオジャパン)に行ったりとか。母親にも『それで行くん!?』と言われて爆笑されても、『ユニバごときにオシャレしやん!』と言っていたらしくて(笑)。当時はそれくらい捻くれていました(笑)。でも、Lilaが亡くなってから捻くれがちょっと治ったというか。
振り返ってみると色々な分岐点が、全部そこなんです。ずっと一緒にいて、兄弟のように育ったワンちゃんで、タヌキみたいでめちゃくちゃ可愛い子で。亡くなって、悲しいというよりは、守護神みたいに見守ってくれているような気がしています。Lilaというタイトルを付けたのは、Lilaにもこの写真集を、これまでの自分を見てほしいという思いを込めて。今でもふと思い出します。母親も誕生日に『Lilaも見てるわー』と、僕も『ふふふ』って笑って会話してたりして。ずっと心の中にいます。この写真集に唯一写っていない、今の僕を作った、僕の一番大事なもののひとつなので、(タイトルは)『Lila』がいいなって。これ以外は、思いつかなかったです。
* * *
写真集に込めた熱い思いを語ってくれた第1回。次回は、実際の撮影中の裏話などに迫っていきます。

◆「窪塚愛流 写真集 お渡し会」イベントを開催!
3月15日(土)13:00~ 代官山 蔦屋書店3号館 2階 SHARE LOUNGEにて。
詳細はこちら
【プロフィール】
窪塚愛流/くぼづか・あいる2003年、神奈川県横須賀市生まれ。2021年から本格的に俳優活動を開始。2024年には映画『ハピネス』で初主演。最近の出演作に日曜劇場ドラマ『御上先生』、映画『恋を知らない僕たちは』など。初舞台となる『ボクの穴、彼の穴。W』にも出演。その瑞々しい存在感と演技を着実に成長させている。
撮影/田中智久