健康・医療

「江戸の養生訓」に学ぶ“元気になる”食生活 「おにぎりにみそ」「冷やご飯」「朝食にお粥」

そこで、予防のために役立ったのが漬けものとみそ。

「特にぬか漬けはビタミンB1の宝庫で、乳酸菌も豊富。さらにカルシウムやカリウム、亜鉛、鉄、マグネシウムなどのミネラルが凝縮されています。みそはたんぱく質が豊富。オレイン酸やリノール酸といった不飽和脂肪酸による抗コレステロール作用や高血圧予防効果も期待できる。

“医者いらず”ともいわれたみそ汁は、あらゆる具材を入れて栄養の相乗効果が期待できるのがメリット。当時から、肥満予防や高血圧予防に効果的な海藻類のほか、ビタミンDが豊富なきのこなど、健康的な食材を具材としていました。豆腐のみそ汁に包丁で叩いた納豆を入れ、千切りした油揚げを入れる納豆汁は大人気でした」(小泉さん・以下同)

益軒
人生の集大成として『養生訓』を著した益軒は出版の翌年に亡くなったとされる(国立国会図書館デジタルコレクション)
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1782年には100種類の豆腐料理を紹介した『豆腐百珍』がベストセラーになるほど、豆腐をはじめとする大豆製品は当時から身近な栄養食だ。町人も武士も主婦も肉体労働が当たり前だった当時、肉を食べなくてもスタミナを維持できた秘訣が「大豆製品」だと、小泉さんは言う。

「和牛のたんぱく質量が100gあたり約18gなのに対して、大豆は約17gとほぼ同じ。おにぎりにみそを塗るだけで、充分なたんぱく質が摂れるのです」

幕末に江戸を訪れた外国人はみな「日本人は背丈が低いのに、誰もがギリシャ彫刻のように美しく引き締まった体をしている」と驚いたという。その秘訣が「おにぎり」だ。

「米は朝食の前にまとめて炊き、昼は持参したおにぎりを、夜は残りの冷やご飯を食べるのが一般的でした。冷えた炭水化物には食物繊維と同様の機能を持つ難消化性でんぷん『レジスタントスターチ』が増えることで、血糖値が上がりにくく、太りにくくなるのです」(浮代さん)

『養生訓』に〈朝早く粥をぬくめて、軟らかくして食べると、胃腸を養い、体を温め、唾液が出る。冬にいちばん良い〉とあるように、朝食にお粥を食べることも推奨された。

「寝起きのすきっ腹に消化のいいものを食べるのは理にかなっています。当時のお粥は、穀物や根菜を煮込んだり、いも粥が多かった。麦やあわ、ひえ、栃の実、大根、里いもなどで増量することもありました」(小泉さん)

※女性セブン2025年3月13日号

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