
運動は嫌いだけど、やせたいし、いつまでも元気に動きたい──。そんな虫のいい話が、あったんです! 日常の動作にちょっとした工夫を加えて体を鍛えるメソッドを紹介する。
運動以外の生活動作で消費されるエネルギーも意外と侮れない
「運動が体にいいことは疑いの余地がありません。しかし、エネルギー消費の面でいえば、『NEAT(ニート)』(※「Non-Exercise-Activity Thermogenesis」の略で、運動だと意識しない身体活動で消費されるエネルギーのこと。日本では「非運動性熱産生」と呼ばれる)と呼ばれる、運動以外の生活動作で消費されるエネルギーも意外と侮れないと言われ始めています」と、医師でトレーナーの内田晃司さんは語る。
「運動をせず、必要量より1000kcal多い栄養を2か月間摂取した際の体の変化を調査した研究(※Levine JA et al., Science, 1999)では、運動をしなくても太らなかった人が複数いました。
彼らと太った人の大きな違いは、彼らの日常の活動量がかなり多かった点。活動の中には、落ち着きなく体を動かす動作も含まれていました。
つまり、ふだんの活動だけで1日1000kcal近く消費できたということです。消費カロリーに個人差はありますが、じっとしているより多少でも動いた方がいいのは間違いありません」(内田さん・以下同)
座りっぱなしの時間を減らし、立ち動くことで消費エネルギーは積み上がる。

「さすがに10分間大笑いを続けるのは大変ですが、無表情でいるよりも、笑ったり、ガムを噛んだり、歌ったりと何かしら動きをつけるのはとてもいいこと。掃除や洗濯など体を使う家事は、テキパキとやればやるほど効果が上がります」


日常的によく動くことを意識していれば、運動にも取り組みやすい。体力がつき、病気予防にもつながる。
「日常動作でカロリーは消費できますが、体力アップを目指すなら、週75分のやや息の上がる運動+週2回以上の筋トレを続けることで死亡率が40%低下したという調査結果(「Zhao M et al., BMJ, 2020」)もありますから、できれば運動をプラスしていただきたいですね。具体的には週2回40分の散歩+週2回のスクワットを行う程度です」
動ける体になるまで、まずはたくさん笑い、いつもより大きめに手足を動かすことから始めてみよう。
内田さん推奨《ズボラな人のためのトレーニング》
【1】10分間の“大笑い”で約23kcal
【2】“ガチ”のスポーツ観戦80分で80 kcal

【3】食後のガムでエネルギー消費量UP(ガムを噛みながら早歩きするとさらにGOOD)
【4】水やり20分で48kcal

【5】10分歌って17kcal(イラスト/あらいぴろよ)
※【1】【2】【4】【5】は「改訂版 身体活動のメッツ(METs)表」(国立健康・栄養研究所作成)をもとに、体重50㎏の場合で算定。※【3】は「食後のガム咀嚼がエネルギー消費と基質酸化に与える影響」(ロッテ・早稲田大学)より。
◆医師・医学博士、スポーツドクター・内田晃司さん
医師・医学博士、スポーツドクター。運動生理学・栄養学の研究経験を生かし、エビデンスに基づいたパーソナルトレーニングを行う「医者ジム」を開設。リモートパーソナルトレーニングも行っている。https://www.medscisportlab.com/
取材・文/佐藤有栄
※女性セブン2025年4月17日号