マネー

《“もしも”の備えに》医療保険の「特約」の選び方と「介護保険」で長生きリスクに備える方法

《“もしも”の備えに》医療保険の「特約」の選び方と「介護保険」で長生きリスクに備える方法
《“もしも”の備えに》医療保険の「特約」の選び方と「介護保険」で長生きリスクに備える方法(写真/イメージマート)
写真4枚

医療費は誰でも原則3割負担、たとえ高額な治療を受けても限度額以上は「高額療養費制度」で返ってくる――「世界的に見て、日本の公的医療保険制度は充実している」といわれる。だが、その制度には、多くの人が知らない“落とし穴”がある。高額療養費制度にも“改悪”が加えられようとしているいま、公的保険だけで安心できたのはもはや昔の話。「医療保険」「生命保険」を賢く使いこなして、人生100年時代のあらゆる“もしも”に備えなくてはならない。そこで、医療保険の「特約」と「介護保険」について解説する。

一時金は非課税

医療技術の進歩により、必要な入院日数は年々短くなっており、病状によってはがん治療も通院で行えるケースが増えている。日帰り入院で検査や治療ができるケースもあるが、その場合でも医療保険ならまとまった一時金を受け取れるタイプの医療保険なら安心感が大きい。「日帰りを含む入院1回30万円が受け取れる」保障内容であれば、その後30日目に再び30万円、60日目でさらに30万円…と、30日ごとに給付金が受けられて、最大120万円まで受け取れる。

日帰り1日目から一時金を受け取れる
日帰り1日目から一時金を受け取れる(イラスト/大窪史乃)
写真4枚

例えば、40才で医療保険に加入し月額4274円を支払い、50才で乳がんに罹患。検査入院、手術のための入院でそれぞれ30万円ずつ給付を受ければ、支払額よりも給付額が上回る。

「入院一時金のほか、がんと診断されたときに受け取れる『がん診断一時金』などもあり、だいたい50万~100万円ほどが相場ですが、中には500万円以上受け取れる保険会社も。これらは加入者本人が受け取るのであれば非課税。まるまる受け取ることができ、何にでも使えます」(ファイナンシャルプランナーの松浦建二さん)

特約と組み合わせて安心度アップ

また、「外来手術」が給付金の対象になっていれば、ものもらいや内視鏡でのポリープ切除といった簡単な施術であっても、給付金が受け取れることもある。

「会社員の場合は病気やけがで働けなくなると『傷病手当金』(平均標準報酬月額を日割りした額の3分の2)が支給されますが、自営業やフリーランスなど国民健康保険のみに加入している人は受け取れません」(ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん)

体質や経済状況、年齢に合わせて「特約」をつけることで、より保障を手厚く、お得にすることも可能だ。

2人に1人ががんになる時代、“より新しく、効果の高い治療を受けたい”と先進医療を希望する人も多い。だが、先進医療は保険適用外のため、高額療養費制度ではカバーされない。そんなときに「先進医療特約」をつけておけば、「先進医療にかかる技術料と同額の先進医療給付金」を受け取ることができる。

「例えば、がん先進医療の1つである重粒子線治療は300万円以上かかるとされます」(松浦さん)

3大疾病など所定の状態になると、保障内容はそのままに、その後の保険料の支払いが免除される「保険料払込免除特約」もつけておけばさらに安心だ。

(イラスト/大窪史乃)
(イラスト/大窪史乃)
写真4枚

「乳がんなど、女性特有の病気になった際に保障が上乗せされる『女性疾病特約』は、帝王切開や切迫早産など妊娠、出産にかかわる症状でも給付金が出ます。

保険によっては、甲状腺系疾患などの“女性特有ではないが女性に多い病気”や、胃がんなど性別を問わないがんでも保障される場合があり、少ない保険料でも幅広くカバーされます」(飯村さん・以下同)

最近は入院ではなく通院で治療できる病気も増えているので「通院特約」も活用したい。また、病気やけがでの収入減に備えた「収入保障特約」なら、家族を守る心強い味方になってくれるだろう。

公的介護保険ではお金はもらえない

民間の保険が役に立つのは病気やけがのときばかりではない。「介護保険」も、公的保険よりはるかに“使い勝手がいい”といえる。

公的介護保険は40才以降に加入し、保障を受けられるのは65才以降と決まっているため、64才より前に要介護状態になっても特定の疾病しか適用されず、適用されたとしても、実質“現物支給”。一方、民間の介護保険なら年齢に関係なく、状態に応じて給付金という形で現金を受け取れる。

「例えば、介護のために2万円かかった場合、公的介護保険による自己負担額は1割の2000円で、残りは“1万8000円分の介護サービス”を受けることになります」

要支援度・要介護度に応じたものではあるものの、本当に自分が求めているものになるとは限らない。

核家族化が進み、家族が介護の担い手となることも難しくなっているいま、老老介護も増加している。

「介護には施設介護と在宅介護がありますが、公的介護保険を利用しても一部は自己負担が必要です。心配な人は備えとして民間の介護保険を検討するとよいでしょう。先進医療や女性特有の疾病などと同じく、介護もいつ必要になるかわからないもの。できるだけ幅広く備えてほしい」

保険をカスタム!つけるべき特約例
保険をカスタム!つけるべき特約例
写真4枚

※女性セブン2025年5月8・15日号

関連キーワード