
古今、人間関係におけるお金のトラブルは絶えない。ちょっとした金銭の貸し借りなど、はじめはごく単純なことでも、お金は人を狂わせ、「金の切れ目が縁の切れ目」となるケースが多い。だが、お金がなくても人との縁が切れない人もいる。
「お金がないと愛されない人」と「お金がなくても愛される人」の違いはどこにあるのだろうか。
お金でマウントを取る3つのタイプ
お金がないと愛されないというのはすなわち、「お金があるから愛されている」だけ。こうした人には共通のタイプがあるという。
「『お金がないと愛されない人』は、他人をお金で支配する傾向があります。わかりやすくいうと、マウントを取るタイプです」
そう語るのは、5月19日に『マウントを取らずにはいられない人』(PHP新書)を出版する精神科医の片田珠美さんだ。お金でマウントを取る人には、3つのタイプがあるという。
まずは、自慢ばかりして周囲の称賛を求める「自慢称賛型」だ。
「このタイプの人は、SNSに海外旅行の様子やブランドバッグなどをこれみよがしにアップします。なかには、“高い税金を取られるわが家は国のATM”“夫が海外出張ばかりで家事を手伝わないの”などと、困っているフリをして巧妙に自慢する人もいます」(片田さん・以下同)
2つ目は「操作支配型」。このタイプはお金があることを強調しながら、「あなたのために使うのだから、私の言うことを聞きなさい」と主張して、相手を支配しようとする。
片田さんの知人女性は、夫の両親から資金援助を受けて自宅を建てた。その後、夫の母(姑)がインテリアや家電のチョイスなどに口を挟むようになったという。
「姑としては、“私たちがお金を出してあげたのだから、思い通りにしてもいいよね”という感覚。ほかにも毎日家を訪れては家事や夫婦関係、そして孫の教育にまで“絶対に私立”などと口を出し始めた。立場上拒めない知人女性は、とうとう精神のバランスを崩して心療内科に通うようになりました」

操作支配型は序列が生じやすい特定のグループ内に現れることが少なくない。都内在住の主婦・Aさん(42才)が語る。
「お金持ちで食事などをおごってくれるけれど、ランチの場所やスケジュール、メンバーなど全部自分で仕切らないと気が済まないママ友がいます。二言目には“みんなのためよ”と恩着せがましい。おごってくれるから表向きは仲よくするけど、裏のグループLINEではみんなで彼女の悪口を言い合っています(笑い)」
3つ目の「価値否定型」は相手の価値を否定することで自身の優位性を高める。例えば、海外旅行に行った人に「私みたいに〇〇ホテルに泊まらないと旅行に行く価値がない」などと相手を侮辱するような言葉を平気で口にする人だ。
「自分がお金持ちだからと、周りを見下してバカにするタイプ。それがどれだけ相手を傷つけるか、想像できない」(片田さん・以下同)
それでもお金を持っているから、周囲はやさしく、一緒にいても楽しいそぶりを見せる。しかし、「権力の源泉」を失うと手痛いしっぺ返しを受ける。
「お金がなくなったり、介護が必要になってひとりで暮らせなくなったりすると、それまで従っていた周囲の人たちが一気に離れていく。まさに、お金がないと愛されない、お金があるから“愛されているように見える”人たちです」

30年以上の銀座歴を持ち、多数の富裕層と接してきた東京・銀座のクラブ「あや」のオーナー・進藤彩さんが言う。
「人の悪口を言う人や、いつも怒っていて笑顔がなく、目上の人にはこびるけど下の人にはこき使うような人も、銀座では“お金があれば”人は集まってきます。でも、お金がなければ見向きもされない人もいます。
銀座では知り合い同士がお店でバッタリ出会うことがありますが、そのとき“どうぞ広い席で飲んでください”と笑顔で譲ったのち、“何でおれが狭い席で飲まなきゃいけねえんだ”と小声で店の女の子に愚痴る人がいる。そうした裏表があるタイプは魅力的とは言えません」(彩さん・以下同)
もちろんお金があっても避けられる人もいる。財力をバックにしたセクハラやパワハラが論外なのはもちろんだが、意外にも銀座では“控えめすぎる人”の評判がよくないという。
「“どうせ自分は……”と卑下する人はどう接すればいいか難しい。おそらく、“そんなことないよ”と言ってほしいのでしょうが、マイナス思考が強くて精神力や情熱をあまり感じられないと思います」