【命を守る必読スキル】65才以上は特に熱中症になりやすいので要注意!熱中症対策の新常識「手のひら冷却」とは!?
熱中症で救急搬送された患者は65才以上が最多。いざというとき慌てないために、知っておくべき対処法を紹介する。
冷房の使用は治療の一環だと思うこと!
熱中症かもしれない――そう気づいたときは、どうしたらいいのか。
「意識が朦朧としている、自力でペットボトルのキャップが開けられない、会話が成立しないなどの状態は重症。すぐに病院を受診してください」
とは、前出の谷口さんだ。意識がはっきりしていて、自力で水分補給ができるのであれば、風通しがよく、涼しい場所へ移動しよう。
「室内にいても熱中症になります。症状が出たら冷房のきいた部屋で休んで。扇風機では湿気が除去できないので、治療の一環として優先的に冷房を使ってください」(谷口さん・以下同)
同時に水分補給を行う。スポーツドリンクや経口補水液など塩分や糖分を含むものが望ましい。
「それらがないときは水でもいいですが、大量の真水(1L以上)を飲むと水中毒(※血液中のナトリウム濃度が下がり、細胞間の水分量を調節できなくなる状態)を引き起こすことがあります。経口補水液などを冷蔵庫にストックしておくと安心です」
初期の脱水症状の場合は、冷やすよりも、むしろ水分補給を優先すべきだという。
特にシニア世代は体内の保水量が少ないので、元気な状態でも日常的に2時間に1回は、コップ1杯の水分補給を習慣化するとよい。
「手のひら」を冷やすと深部体温が下がる
熱中症対策としてスポーツ界を中心に、いま注目を集めているのが「手のひら冷却」だ。
「手のひらには、動脈と静脈が合わさったAVA血管(動静脈吻合血管)という体温を調節する特殊な血管があります。この血管を通る血液を冷やすことで、内側から体全体を効率よく冷やせることがわかっています」(前出・長谷川さん)
方法は簡単。手のひらを15~16℃の水にひたすか、冷えたペットボトルを手で持つだけでもよい。ぜひ覚えておこう。

◆医学博士・谷口英喜さん
済生会横浜市東部病院患者支援センター長。熱中症や脱水症に詳しい専門家として、テレビやラジオなど各メディアに多数出演。著書に『熱中症からいのちを守る』(評言社)など。
◆広島大学大学院人間社会科学研究科教授・長谷川博さん
熱中症予防、暑さ対策、身体冷却、体温調節、スポーツパフォーマンスをはじめ、スポーツ活動時における暑さ対策などの研究に取り組んでいる。主な著書に『スポーツ現場における暑さ対策~スポーツの安全とパフォーマンス向上のために』(ナップ)など。
取材・文/鳥居優美
※女性セブン2025年7月3・10日号