【水虫】高温多湿な環境で活動が活発に
《原因》
水虫は白癬菌に感染することで起こる皮膚病。白癬菌は、高温多湿の環境を好むため、夏に悪化しやすい。
「夏に水虫になるというより、皮膚の奥に残っていた菌が夏に活発に活動して症状が出てくるため、気づく人が増えると考えられます」(吉木さん)
かゆみがなくても足指の間や足裏のただれ、皮むけ、爪が白く濁ったり、厚くなるなどの症状も。
《対処法》
【16】異常を感じたら皮膚科を受診。症状がなくなっても皮膚の奥に菌が残っていることがあるので、【17】処方薬は決められた期間使用し続けることが大切だ。
《予防法》
【18】通気性のいい靴や靴下を選び、蒸れた状態を放置しない。【19】温泉やプールでは素足歩行を避け、共用マットの使用を控える。
【20】使用後は特に足を念入りに洗い、しっかり乾かそう。
【乾燥】皮膚のバリア機能低下が炎症を!助長、かゆみがどんどん強くなる
《原因》
肌の乾燥は一年を通してかゆみの主因となる。
「乾燥といえば冬を思い浮かべると思いますが、冷房の効いた室内は乾燥しやすく、特に肌を露出している部分の乾燥は要注意。年を重ねると体内水分量が減ってしまうので、より気をつけた方がいいでしょう」(冨永さん・以下同)
乾燥して肌バリアが乱れると、ダニやほこりなどアレルゲンの影響を受けやすくなり、かゆみトラブルも生じやすくなるという。
「かくことで痛みが生じて一時的にかゆみが治まり、さらにかくと気持ちよくなり、脳内の『報酬系』と呼ばれる場所が活性化して多幸感が得られます。そのため、快楽をもっと得ようとかき続けることとなり、肌のバリアがさらに壊れていく結果、肌が過敏になって、炎症とかゆみを繰り返す悪循環(下図参照)に陥りがちです。乾燥は特に注意が必要で、改善しない限りかゆみから抜け出せません」
《対処法》
【21】冷やした保湿剤を患部にあてれば冷却効果も加わり、かゆみが治まりやすい。【22】かゆみの悪循環を断ち切るためには、充分な保湿が不可欠。自身の肌に合ったスキンケア用品を選ぶことが大切。
「【23】決してすりこまず、肌に置くように塗布してください。入浴後はタオルを押しあてるようにして水分を軽くとり、【24】少し濡れた状態から保湿剤を塗布して」
《予防法》
日頃からスキンケアをしっかり行うのはもちろん、乾燥させない生活も心がけて。

「かゆい」と思ったら、かく前にすべきこと
「かゆみが皮膚から脳へ伝わる際、信号は脊髄を通ります。この脊髄にはかゆみの信号を伝える回路と、痛みの信号を伝える回路があるのですが、最新の研究で、痛みの神経回路がかゆみの神経回路を抑えることがわかっています(下図参照)。

つまり、かゆいところをかくと、その刺激が痛みの神経回路を活性化させ、神経終末から抑制性の神経伝達物質が分泌されて、かゆみの信号が脳に伝わるのをブロックしてくれるのです。
冷やすとかゆみが治まるのも同じメカニズムです。
【25】蚊に刺されると爪で×印をつけるのも、痛みでかゆみを抑えようというものです。血が出るほど強くなければ問題ありません」(冨永さん)
【26】メントールのようにスースー感じるものもかゆみを治めるが、肌バリアが低下していると刺激が強すぎてヒリヒリすることがあるので注意して。
かゆみを悪化させない生活習慣4選
かゆみを感じていないときも、次の4つのポイントに気をつけていれば、かゆみが悪化しにくく、かゆみからの解放が早くなる。
【27】シャワーで汗を流す
汗をかいたら、外出先では汗拭きシートなどでやさしく拭き、帰宅後はぬるま湯シャワーで洗い流そう。
「ごしごし洗わず、ぬるま湯をかけるだけで充分。皮膚温が上がるとかゆみを感じやすくなるので、シャワーも湯船も湯温は38~40℃に」(吉木さん・以下同)
【28】ソープ類の使用を控える
汗を流したり、体を清潔に保つことは大切だが、石けんやシャンプーを使いすぎると肌に必要な皮脂膜まで落としてしまい、乾燥しやすくなる。
「ソープ類は1日1回まで。それでも多いくらいです」
【29】ゴシゴシこすらない
洗う際も、拭く際も、ゴシゴシこするのは厳禁。
「体を洗う際に硬いスポンジやブラシは避け、手のひらをやさしくすべらさせるように洗うこと。乾布摩擦も肌を傷つけるのでやめてください」(冨永さん)
【30】しっかり保湿する
洗った後は保湿剤を塗り、肌を健康な状態に保とう。
「かゆみがあるからと、保湿剤を奥まで浸透させようと肌をこすると、摩擦によってかゆみが誘発されるので注意して」(吉木さん)
「お風呂から出たら“洗い場”でタオルを押しあてるようにして水分を軽く拭きとり、肌が潤っている状態で保湿剤を塗り始める方が効果的です」(冨永さん)
取材・文/山下和恵
※女性セブン2025年8月21・28日号