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北村一輝さん「歌舞伎を学ぶことで表現に深みが出せる」。京都・南座で普段は立ち入れないけれど、どうしても見学したかった場所

『reShine2025年秋号』に登場した北村一輝さん
京都・南座前で、北村一輝さん。
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確かな存在感と表現力で、多くの作品に深みを与えている俳優・北村一輝さん。今、そんな北村さんが惹かれているのが、日本の伝統芸能・歌舞伎といいます。初めて訪れた京都・南座では、舞台裏にも足を運び、歴史ある空間・空気に触れました。発売中の大人女性に向けたムックシリーズ『reShine2025年秋号』に掲載している記事から抜粋して紹介します。

歌舞伎を学ぶことで表現に深みが出せる

歌舞伎に対する興味は、俳優人生の中で自然と芽生えたという北村さん。背景には日本舞踊を習っていた経験や、歌舞伎俳優との共演があるといいます。

「歌舞伎を観劇するときは、内面の演技はもちろん、所作や構え、視線の運びといった“見せ方の技術”にも強く惹かれますね」

『reShine2025年秋号』に登場した北村一輝さん 「南座 歌舞伎鑑賞教室」の公演を終えた後の片岡千壽さん(右)、上村吉太朗さん(左)と舞台上で
「南座 歌舞伎鑑賞教室」の公演を終えた後の片岡千壽さん(右)、上村吉太朗さん(左)と舞台上で。
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今年は歌舞伎俳優の人生を描いた映画も話題になりましたが、北村さんが歌舞伎への関心を深めたのは、NHKドラマ『忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段』(2021年)といいます。

「主演の中村勘九郎さんに衝撃を受けました。歌舞伎俳優の方が歌舞伎の世界を演じると圧倒的に何かが違う。自分には完全な再現はできないけれど、たとえば時代劇では、そうした見せ方を学ぶことで、表現に深みが出ると思いました」

舞台は神聖な場所 南座で触れた歴史と重み

こうした気づきに、より敏感になったのは50代から。

「“もっとこうできるかも”という欲がますます出てきました。常に、インプットしたいという気持ちがとても強いです」

『reShine2025年秋号』に登場した北村一輝さん
舞台は神聖な場所 南座の歴史と重みに触れた北村一輝さん。ジャケット619,300円、ベスト132,000円、パンツ218,900円/ゼニア
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今回、そんな北村さんから、南座で見学したいという希望があったのが、舞台の床下に広がる「奈落」。舞台や花道の下にある地下室のことで、舞台装置が設置されているほか、俳優やスタッフの通路としても使われます。公演後、普段は立ち入れない場所を特別に見学させていただきました。

「奥行きが思っていた以上にあり、立体的なんですね」と、目を輝かせる北村さん。特に関心を寄せていたのが、舞台下から役者がせり上がるセリの装置です。地下3.3メートルの深さに驚きつつ、その構造を熱心に観察していました。

「古い劇場だから、天井は思ったより低いんですね」と、使い込まれた舞台装置の風合いや構造に目を配る一幕も。「ずっと昔から数々の役者たちがここで芝居をしていた様子が想像できますね」と感慨深そう。

「もともと古い建物や歴史のあるものが好きなんです。この空間で何世代にもわたる役者たちが芝居をしてきたと思うと、改めて舞台という場所は“神聖”なんだと実感しました」

◆俳優・北村一輝

1969年生まれ、大阪府出身。99年、映画『皆月』『日本黒社会 LEY LINES』で、キネマ旬報日本映画新人男優賞など各賞を受賞。映画『でっちあげ〜殺人教師と呼ばれた男』(2025年)、ドラマ『御上先生』(2025年)、『看守の流儀』(2025年)、映画『木挽町のあだ討ち』(2026年2月公開)など、幅広い役をこなす実力派俳優として、数多くの作品で活躍。

撮影/立松尚積 スタイリスト/Lim Lean Lee ヘアメイク/安井朋美 構成・文/坂本アヤノ

◆片岡千壽/かたおか・せんじゅ。1981年生まれ、兵庫県出身。大阪松竹座『仮かな名手でほん本忠ちゅうしんぐら臣蔵』で初舞台。後に人間国宝となる片岡秀太郎に入門し、片岡千壽郎を名乗る。2012 年、京都・南座『廓くるわぶんしょう文章』の仲居およしで片岡千壽と改名。『源げんぺい平布ぬのびき引滝のたき』葵御前、『京きょうにんぎょう人形』女房おとくなど、女方として存在感を強めている。

◆上村吉太朗/かみむら・きちたろう。2001年生まれ、大阪府出身。2007年、第三回「みよし会」で上村吉太朗を名乗り初舞台。2009年南座『時しへい平の七ななわらい笑』の稚児松乃丸で片岡我當の部屋子となる。近年は『ファイナルファンタジーX 』のリュックや『刀とうけん剣乱らんぶ舞』の膝丸など新作歌舞伎でも活躍。

◆南座 公演情報
南座「當る午歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎」。八代目尾上菊五郎、六代目尾上菊之助の襲名披露公演となる。12/1~25。詳細は歌舞伎公式サイト「歌舞伎美人」へ。
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kyoto/play/895

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『reShine2025秋号』では、気分が上がる美容・趣味・暮らしの実例やヒントを紹介。特集では“いくつになってもキレイ”の作り方や、ご機嫌でいるための秘訣を、reShine世代=(50~60代の女性たち)である、安田成美さん、高島礼子さん、南果歩さん、松本伊代さん、紫吹淳さん、鈴木砂羽さん、渡辺満里奈さんたちにインタビュー。誰もがおしゃれで粋に見える大人の着こなしについて、同世代の人気モデル、富岡佳子さん、前田典子さんがレクチャー。ほか、京都の大人旅や、白髪・薄毛対策、気になる美容医療など、役に立つトピックスをお伝えします。「付録付き限定版」では、3WAYに使えるマルチパウダー「レカルカ イルミネイトマルチ」の現品付き。

※『reShine』2025年秋号