《100年長持ちする「目」を実現するためにすべきこと》「老眼」になったらすぐに老眼鏡、「白内障」の手術は急がずに、「緑内障」は目薬をきちんと点眼していれば失明はまれ

全身の健康に大きく影響するのが、「目」の健康だ。一生使う「目」を100年長持ちさせるために、さまざまな目の病気への対処法を専門家に聞いた。【全3回の第2回。第1回から読む】
老眼・45才以上はICLを避ける
老眼の対処法は、老眼鏡を早く作ることだと二本松眼科病院副院長の平松類さんは言う。
「老眼鏡をかけると老眼が進行しやすいと誤解している人もいますが、老眼の進行と老眼鏡の有無は関係ありません。目が見えやすい状態にしておくことで得られるメリットの方が大きいです」
目の中に専用のレンズを挿入して、近視・遠視・乱視を矯正する視力回復手術「ICL(眼内コンタクトレンズ)」が注目されているが、45才を超えたら慎重に。札幌かとう眼科院長の加藤祐司さんが解説する。

「推奨年齢は20〜45才前後です。45才以上は老眼や白内障が進行しやすいので、慎重に考えて。自費で高額なICLの治療を受けても、白内障の手術時に取り出すことになるので、費用対効果が悪い。そもそも、ICLを受けると白内障になるリスクが高くなると指摘されています」
老眼用ICLも同様だ。
「白内障の手術時に老眼も矯正できるので、ある程度の年齢になって白内障手術を受けるときに1回で済ませた方がいい」(平松さん)
白内障の手術は急がなくていい
その白内障の手術は急がずに、不自由を感じたタイミングで受けるのがいい。
「放置しても失明することはまれですし、手術で治ります。『かすむ』『だぶって見える』『まぶしい』の3つの症状を不快に感じたら手術を受けるといいでしょう。単焦点、多焦点などレンズの種類が複数あるので、しっかり相談して決めてください。
白内障の進行を遅らせる目薬もありますがエビデンスは弱いです」(加藤さん・以下同)
特定の距離だけが見える「単焦点レンズ」、近距離から遠距離まで合うようつくられた「多焦点レンズ」は保険適用のものから自由診療まで多岐にわたり、価格も数万〜100万円以上とピンキリだ。

緑内障は早期発見がカギになる。
「初期は自覚症状がほとんどないので1、2年に1回、眼科で視野検査、眼圧検査、眼底検査の3つを受けてください。そのうえで、片目ずつ手で隠して左右の見え方をチェックするのもおすすめです。視野が欠けているなど見え方に違いがあれば、すぐに病院を受診してください」
早期発見とともに早期治療も必要になるが、初期の状態で行う低侵襲緑内障手術や濾過(ろか)手術などは受けた方がいいのだろうか。
「基本的に手術は必要ありません。緊急性が高い場合を除いて、早めに発見して目薬をきちんと点眼すれば失明することはまれです」(平松さん)
ただし、途中で点眼をやめる人が少なくないという。「自覚症状があまりないため面倒くさがって、点眼をサボったり、勝手にやめる患者が多く、問題になっています」(加藤さん)
“目の生活習慣病”ともいわれる加齢黄斑変性は、生活習慣を見直せばリスクを下げることができる。
「日常生活では白内障と同様に紫外線を浴びすぎないようにすること。禁煙はもちろん、副流煙も避けてください」(平松さん)
検査を受け、片目で見え方をチェックすることで早期発見につながる。
「『アムスラーチャート』と呼ばれる格子状のまっすぐな線がゆがんで見える場合は要注意です」(加藤さん)


(第3回に続く)
※女性セブン2025年11月6日号