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東京都の「危害」相談、4件に3件は女性、カテゴリー別では美容医療が2位、最近5年合計を見ると20~40代の1位は美容医療、東京都消費生活総合センターが報告

東京都に寄せられる「危害」に関わる相談で、美容医療についての相談が依然として多くなっている(写真/イメージマート)
東京都に寄せられる「危害」に関わる相談で、美容医療についての相談が依然として多くなっている(写真/イメージマート)
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 東京都に寄せられる「危害」に関わる相談で、美容医療についての相談が依然として多くなっている。

 東京都の消費生活総合センターが2025年9月に報告している。

軽症中心だが、重症7.5%

・相談全体の傾向→東京都の消費生活総合センターに寄せられた「危害」相談は1938件(2024年度)で前年並み。女性が約75%を占めた。
・商品・役務別の内訳→「健康食品」(213件)が最多で、「美容医療」(210件)が続く。「基礎化粧品」「頭髪用化粧品」「整体」も上位に入った。
・主な相談内容→「その他の傷病及び諸症状」が最多で、美容医療後の腫れ・痛み・内出血などのトラブルが多い。健康食品や化粧品による皮膚症状も確認された。

 東京都は、都内の消費生活総合センターに寄せられた「危害」「危険」に関する最新の相談動向をまとめた。

 「危害」とは商品などにより、けがや病気などが生じたケース、「危険」とは危害は生じていないものの、その恐れがあるケースを指す。

 「危害」相談はここ数年2000件前後で推移し、2024年度も前年並みの1938件となった。女性が75.5%と、4件に3件を占めた。年代は70歳以上が20.4%で最多、次いで50代が19.3%だった。

 「商品・役務別」で見ると、最も多いのは「健康食品」で213件、それに次いで「美容医療」が2位の210件となっていた。「基礎化粧品」(160件)、「頭髪用化粧品」(96件)、「整体」(89件)が続いた。

 相談内容は「その他の傷病及び諸症状」が最多で、ここには美容医療などによる施術後の腫れ、痛み、内出血などが含まれるという。このほか、痩身サプリなどの健康食品や基礎化粧品による皮膚症状が報告されていた。

 危害の程度は、「医者にかからず」や「治療1週間未満」の軽症~中等症が79.1%を占めた一方で、1カ月以上の治療を要する重症例も7.5%確認された。

 別枠の「危険」相談は389件で3年連続増えているが、こちらは家電やデジタル機器の報告が中心だった。

説明や書面が実際と違うなどの問題が挙げられた

・年代別の傾向→2020~2024年度の合計で、10代後半以降に美容関連相談が増加。20~40代では「美容医療」が最も多かった。
・具体的事例→10代女性が知人紹介のクリニックで二重手術を受け、1カ月後に糸が露出。抜糸が必要と説明されたが、事前説明がなく不安から解約・返金を希望。
・注意が必要→美容医療では思わぬけがのリスクがあり、利用者自身が十分な理解と注意を持つことが重要。

 年代別の5年間の合計件数(2020~2024年度)では、10代後半以降で美容関連の相談が増え、20~40代では「美容医療」が1位となった。

 危害の事例として、10代女性の事例が紹介されている。

 知人に紹介されたクリニックで、二重まぶたの美容整形手術を受けた。施術から1カ月経った頃、両まぶたから固定していた糸が出てきてしまった。クリニックに電話したところ、抜糸が必要と説明を受けたが、事前にそのような説明はなかった。このクリニックでの再施術は不安なので、解約・返金してもらい別のクリニックで治療を受けたい。

 危害の可能性についての事前説明がなかったことが、トラブルの原因となった。

 美容医療では思わぬけがにつながるケースもあるため、利用者はリスクを理解し、注意を怠らないことが重要だ。

参考文献

「危害・危険」の消費生活相談の概要(東京都消費生活総合センター)

美容医療の危害関連の相談が増加、年間848件、女性が8割、「ヒアルロン酸注射で目の周りが腫れた」…など、国民生活センターが2023年度の危害関連の相談件数を公表

【プロフィール】 星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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