
「脱出ゲーム」や「謎解き街歩き」といった「謎解きゲーム」がブームとなっている。“若者の遊び”だと思ったら大間違い! 実は脳活に効果的なのだとか。クイズと違ってひらめきで解けて、どの年齢でも楽しめる謎解きとはどんなものなのか――。リアルレポート!

脳のワーキングメモリを活性化
「謎解きゲーム」では、設定やルールなどを記憶した上で考えたり行動したりするケースが多いが、これがまさに認知機能の向上につながると、脳科学者の篠原菊紀さんは言う。
「記憶や情報を一度脳にメモした後に処理する能力を“ワーキングメモリ”といいます。これは18~25才をピークに衰え、ど忘れや物忘れに結びつきます。とはいえ、トレーニング次第で回復しやすい。『謎解きゲーム』ではこのワーキングメモリが鍛えられるのです」(篠原さん・以下同)
制限時間があったり、恐怖体験をさせられたりするタイプのゲームは、より脳を活性化させる。
「高齢者が認知症を発症する要因のひとつに社会的孤立があります。ですから、ただ謎を解くだけでなく、仲間と協力できるタイプの謎解きは脳活に向いています。さらに楽しんで取り組めれば、やる気に関係する脳の線条体(※大脳基底核の一部をなす脳の領域)が活性化し、記憶効率を高めます」
挑戦しない手はない!
謎解きゲームの制作に携わる企業や団体は100を超え、その内容も多様化している。中でも50代以上&初心者が楽しめるゲームとは?
自宅でも屋外でも選んで遊べる
謎解きゲームは2000年代後半から開催され、徐々に人気を獲得していった。当初は「脱出ゲーム」がメインだったが、現在ではさまざまな謎解きイベントが開催されるようになり、市場規模は500億円超、年間参加者数は500万人以上と推定される。
「現在は主に、オンラインを活用するなどして自宅で遊べるタイプと、会場や現場に足を運ぶリアルイベントタイプの2種類に大別されます」(リアル脱出ゲームを企画・運営する「SCRAP」広報担当者)
オンラインや実店舗などでゲームキットを購入して自宅で謎を解くタイプは、コロナ禍の自粛期間に楽しめるようにと誕生し、定着。好きな時間に自分のペースでできるのが魅力だ。
一方、特定の会場や屋外などで行われるリアルイベントには、脱出ゲームや謎解き街歩きなどがある。
仲間と挑戦すると意外なひらめきが!
40代以上の参加者は全体の2割ほどだが、SCRAPが企画制作する『地下謎への招待状2025』では「段差なしコース」を設けるなど、年齢や体力に関係なく幅広い世代が楽しめるよう作られている。
50代以上の初心者の場合、制限時間がある脱出ゲームなどは難易度が高いので、自分のペースでできる「自宅で遊べるタイプ」か「リアルイベントタイプ」の中の謎解き街歩きがおすすめだという。特に後者は、観光もできるとあって全世代から好評だ。
「謎解きはクイズと違い、予備知識がなくても柔軟な発想とひらめきで解けるので、小・中学生のお子さんやお孫さんとも楽しめます。ですから、謎解き街歩きはぜひ、家族や友達と挑戦してください。ひとりでは思いつかなかったひらめきが仲間となら得られ、楽しさも倍増します」(謎解き制作団体「よだかのレコード」コンテンツディレクターの中野洋太さん)
【謎解き初心者記者が挑戦】やって実感!「謎が解けるって気持ちいい!!」
【初心者用】自宅で挑戦!(1人用)

異世界転生からの脱出「イタズラ妖精ピーナッツの冒険」
【内容】ゲームブック形式のストーリーを読み進め、アイテムを駆使して謎を解き明かす。
1500円/よだかのレコード
※LINEが利用できる通信機器が必要(通信料等は自己負担)。

●突然のひらめきに新鮮な喜びが!
謎解きゲーム初挑戦の60代本誌記者。「いちばん簡単なものを」とお願いして紹介されたのが、制限時間がない謎解きゲーム、異世界転生からの脱出「イタズラ妖精ピーナッツの冒険」。ゲームキットを購入し、自宅でゆっくり解くタイプだ。しかも、わからないときは、LINEを通してヒントがもらえるので心強い。
「1時間程度で解けます」と中野さんに言われたものの、実際は3時間かかっったが、ヒントなしで解けたときの快感といったらない。これはハマりそう。

※上記キットを購入できるのはこちら /ドラマチック謎解きゲーム3号店-ESCAPE-(東京都新宿区北新宿1-8-17ヒジカタビル2F)
【中級者用】街歩きに挑戦!(1人用~)

ナゾトキ街歩きゲーム『横浜謎解き街歩き』
【内容】謎を解きながら横浜の旅のガイドマップを作り、興味のあるルートで街を案内してもらえる。
当日販売2700円/SCRAP ※LINEが利用できる通信機器が必要(通信料等は自己負担)。
●当日思いついてもすぐに始められる
仲間と謎を解きながら街を歩くため、脳活にも運動にもなる、50代以上に最適なゲームとしてイチオシされたのが「ナゾトキ街歩きゲーム」。50代・60代の記者2人が挑戦したのは『横浜謎解き街歩き』。よく行く場所なので謎も解きやすいだろうという目論見だ。

みなとみらい線「元町・中華街駅」近くにあるSCRAPの実店舗に行き、参加者1人につき1キット購入すると、その場でゲームが始められるので、当日に思いついてもすぐできる。
キットを受け取り、まずは近くの喫茶店で作戦会議。アイテムの量が多く、やりがいがありそう。
※上記キットを購入できるのはこちら/リアル脱出ゲーム横浜店(神奈川県横浜市中区山下町78-8 横浜イーストゲートビル 6F)


「謎解き街歩き」は一日中楽しめるタイプが多いので、たっぷり時間をとって挑もう。最初は簡単な謎解きから始め、少しずつ難易度を上げていくのがおすすめ。夫婦で挑めば、会話も弾む!
問い合わせ先/SCRAP(https://www.scrapmagazine.com)、よだかのレコード(https://www.yodaka.info)
※「リアル脱出ゲーム」「ナゾトキ街歩きゲーム」「地下謎」は株式会社SCRAPの登録商標。
◆教えてくれたのは:脳科学者・篠原菊紀さん
公立諏訪東京理科大学特任教授。専門は応用健康科学、脳科学。メディアでわかりやすく脳についての研究結果を紹介。監修に『あたまがよくなる!寝る前 ナゾとき366日』(西東社)など著書多数。
取材・文/上村久留美
※女性セブン2025年11月27日号