
木々が色づき始め、国内外からの観光客でにぎわう京都。観光の楽しみのひとつにグルメがあるが、実は京都はレベルの高い名店がひしめき合うカレーの聖地!いま流行のスパイスカレーから、正統派欧風カレー、昭和レトロな喫茶店カレーまで、カレー好きな歌舞伎役者・市川九團次さんと元タカラジェンヌの千葉吉美さんと一緒に、通好みの人気店をガッツリ食べ歩きました!
◆歌舞伎役者・市川九團次さん
4代目市川九團次。現在は13代目市川團十郎一門として歌舞伎をはじめ、幅広く活躍。料理好き、食通としても知られ、独自のレシピで創作したカレー『クダンディアンカレー』を販売中。
◆千葉吉美さん
京都出身。元タカラジェンヌ。茶道の表千家の教授の娘で、本格的な茶道体験ができる『一真庵』を母と営む。新潟県の地酒『八海山』の特約店も経営し、京都の料理店などにも精通している。
京の都はスパイスカレー激戦地!スパイスカレーの名店7選
大阪から派生して、2010年代に京都にも広がったスパイスカレーブーム。いまや、スパイスカレーは京都の食文化のひとつとなり、和のだしを取り入れるなど、京都独自の進化を遂げています。
京都スパイスカレーブームの火付け役「スパイスチャンバー」

「スパイスチャンバー」は、2010年にオープンし、京都のスパイスカレーの土壌を形成した行列のできる人気店。「辛くてウマイ!」を追求し、17種類のスパイスを配合して刺激的な辛さに。以前はチキンカレーもあったが、改良を重ね、現在はキーマカレー1種で勝負中!
キーマカレー(中・1200円)は、玉ねぎやトマトなど野菜の甘みでベースを作り、あえてさっぱりした鶏胸肉を使用することで、スパイスをキリッと引き立てる。カリカリ梅がアクセント。

「食べるごとに味が変わって不思議!」(千葉さん)、「辛さがクセになる!スプーンが止まらない」(九團次さん)

店主・阿蘓慎太郎さんは「カレーと音楽を楽しんでください♪」と。

「スパイスチャンバー」
住所:京都市下京区室町通綾小路下ル白楽天町502
インドカレー×洋食のどこかホッとする一皿「カレー製作所カリル」

「カレー製作所カリル」は、カレーによってスパイスの配合を変え、サラッとしたルーは飽きのこない味に。しょうゆベースの玉ねぎのアチャールや、まろやかな酸味と食感がクセになるキャベツのアチャールなどで味変も楽しめる。
バターチキンカレー(1200円)。バターの風味香るカレーは、パクチー、紫キャベツ、きゅうり、玉ねぎ、トマトのアチャールと一緒に。スパイス玉子(150円)も絶品。

豆と野菜のカレー(1030円)は、大根、にんじん、かぼちゃなどの野菜と豆のみで作ったヘルシーカレー。濃厚ながら野菜と豆の甘みでマイルドな味。

料理長・芳賀好宏さんは「旨みと香りにこだわります」と。

「カレー製作所カリル」
住所:京都市上京区春帯町349-1
だし文化と融合したサラサラいける京風カレー「SPICE GATE」

「SPICE GATE」は、「一日のスタートを朝カレーで」と、早朝7時半から営業。だしとスパイスを絶妙に掛け合わせたカレーは、サラッと軽やかなだし茶漬けのよう。スパイスで体を温めて心地よく一日をスタートできる。だしとスパイスが香る昼カレーも人気。

お蕎麦屋さんのチキンカレー(並盛)(1280円)は、ひと口食べると、いりこやかつおだしの風味の後に、複雑なスパイスを感じる。軽やかなバスマティライスは祇園の日本茶専門店『北川半兵衛』の煎茶で炊きあげ、香りと旨みをプラス。

京風スパイス朝定食 カレーリーフ香る魚介出汁カレー(1380円)は、魚介だしが効いたスープカレーをかけてサラッと。あさりの佃煮や梅きくらげなどの副菜にもほんのりスパイスが効いている。

堀あゆみさん、川邑空音さんは「スパイスも約100種販売しています!」と。

「SPICE GATE」
住所:京都市下京区寺町通仏光寺下ル恵美須之町546-1 しきさい寺町ビル2F
辛いものが苦手な人でもHAPPYに!「ハッピーカレー」

「ハッピーカレー」は、京都を代表する景観地・嵯峨野に2021年オープン。京都のホテルで修業したオーナーが提供するのは唐辛子不使用の辛くないスパイスカレー。油も少なめで体にやさしい。
2種類を選ぶあいがけカレー(1300円)は、チキンカレー、豚バラ角煮カレーが半分ずつかかった欲張りカレー。きゅうりのぬか漬け、厚切りメンマ、パクチーをトッピング。

月替りのメニューはその時期の旬の食材などを使ったものを提供。写真は牛の希少部位サガリとパンプキンポタージュのカレー(1400円)※内容は月によって異なる。

デザートは、しっかり食感のかための純喫茶プリン(500円)も。

「ハッピーカレー」
住所:京都市右京区嵯峨野清水町1-5
名店の味を継いだ本格スパイスカレー「カマル」

「カマル」のカレーは、東京・原宿にあったカレーの名店『GHEE(ギー)』の味を引き継いだ北インドがベースのスパイスカレー。バターチキン、ビーフ、ほうれん草、なす、やさい、キーマなど種類が豊富で、ルーは素材の味を感じるような⽢めでさらりとした仕上がり。
コンビネーション(SSサイズ・1050円)は好きなカレーを2種類選べる。写真はいもなどがゴロッと入った「やさい」と、トマトの酸味がバターの香りを際立てる「バターチキン」。

白いカレー(SSサイズ 1050円)は、ココナッツミルクを加えたクリーミーかつスパイシーなチキンカレー。なす、しめじ、玉ねぎなど具材たっぷり。

「野菜ジュース」(左・400円)はフレッシュな小松菜、パイン、りんごをジューサーにかけたヘルシーな一杯。「ポテトサラダ」はカレーのとの相性が抜群。

オーナー・大島友恵さん、小室信弥さんは「作り方はすべて変えています」と。

「カマル」
住所:京都市中京区三条東洞院東入ル菱屋町32-1
玉ねぎの甘みとスパイスの刺激が食欲をそそる「Tandoori & Curry aBu」

「Tandoori & Curry aBu」は、海外を思わせるラグジュアリーな空間で、本格的なインド料理が味わえる。水切りヨーグルト、野菜のスパイス炒め、赤玉ねぎのアチャールなどの副菜がカレーの味を引き立てる。セットは香り高い高級インディカ米と日本米をブレンドしたライスか、職人が焼いたナンのいずれかを選んで。
本日のカレーセット(カレー1種類+野菜4種1300円〜)。野菜と豆の「チャナ・マサラ」はじっくり炒めた玉ねぎにトマトの酸味が加わり、「ラム・パサンダ」はフライドオニオンとアーモンドペーストのコクが効いている。「マドラスチキン」はココナッツミルクが入り、シャープな味わい。

南国の果実であるタマリンド、ヨーグルト、ミントのソースを使ったスナック「ダヒプリ」(2個・300円)は甘酸っぱさが後をひく。

窯担当 カラン・ビシュトさんは「ナンは焼きたて!」と。

「Tandoori & Curry aBu」
住所:京都市上京区藪之内町85-5
洗練された大人の本格インドカレー「MUGHAL」

「MUGHAL」は、1987年創業の、京都におけるインド料理の草分け的存在。平田幸秀さんは21才のときにインドに渡り、日本人が食べやすいカレーへと研究を重ねた。まずは、4種の味を楽しめるランチセットから始めて!

ターリーランチセット(2530円)は、マトンやムング豆のカレーなど、4つの味を選べる。ライタやチャツネなどを混ぜるとおいしさが無限に広がる。クラシックな店内はイギリスのインド料理店をイメージ。

「スパイスが絶妙で体にやさしい味だね」(九團次さん)

「マトンも食べやすくて感動!」(千葉さん)

オーナーシェフ・平田幸秀さんは「夜のカレーはお酒と合わせて」と。


「MUGHAL」
住所:京都市中京区上橅木町496 アイル竹嶋ビル2F
個性が光る! 京都の愛されカレー店
激辛ブームの先駆者!この辛さがやめられない!「ビィヤント」

1975年創業の『ビィヤント』は京都大学の近くにあり、京大生やカレー愛好家の密かな聖地。現店主の小峰雅秀さんの両親が開店した50年前は、激辛ブームが訪れる前。「父が作るカレーは当時辛すぎた」と小峰さんは笑う。フランス料理のシェフだった父仕込みのカレーは、ワインで煮込むのも特徴。豚カツはあえて叩いて薄くして、カレーに合うサクサク食感に!

ベジタブルカレー(880円)、ビーフカツカレー(1200円)(共に甘口)は、甘口でも汗が噴き出る辛さ。ベジタブルカレーは春夏秋冬で野菜が変わり、11月は舞茸などたっぷりのきのこと高野豆腐入り。

「キリッと目覚めるような辛さが刺激的で心地よく、添えたカツの厚さも絶妙!」(九團次さん)

『ビィヤント』のカレーのお供に欠かせないのが、スパイスが効いた本格的なチャイ(450円)。※混雑時は提供できない場合があります。

「チャイのスパイスがカレーによく合うね」(九團次さん)

店主・小峰雅秀さんと妻・有加さんは「初めての人は甘口がおすすめです」と。

『ビィヤント』
住所:京都市左京区東大路通丸太町上ル東側聖護院西町12
こだわりが光る京の欧風カレーの名店4選
まろやかで奥深い味わいが特徴の欧風カレーも、京風アレンジで独創的なひと皿に進化していました!
ワインとカレーのマリアージュ「太陽カレー」

「太陽カレー」。ソムリエの資格を持つオーナーが試行錯誤の末に生み出したコクのある欧風カレーはワインと相性抜群。ルーには赤ワインを加え、果実味と酸味を生かした味わいに。ライスは白ワインで炊き上げ、香りをつけている。
デラックスカレー(1550円)は、三元豚のロースカツ、エビフライ、魚フライ(11月下旬からかきを予定)などをトッピングしたシーフードフライカレー。

季節の有機野菜カレー(1000円)は、京都・大原の農家から仕入れた新鮮な有機野菜を季節に応じて約10種類トッピング。野菜の甘みや異なる食感を堪能して。


オーナー・脊戸昭宏さんは「カレーにはワインです」と。同店のカレーは、さっぱりとした白ワインにも芳醇な赤ワインにもマッチ!

「太陽カレー」
住所:京都市中京区壬生西土居ノ内町19 ボイスビル2F
トロトロな牛スジが溶け込む雅なカレー「KYOTO BISTRO」

「KYOTO BISTRO」は、二寧坂に佇む『パークハイアット京都』のカジュアルダイニング。牛スジは6時間かけてトロトロに煮込み、トマトや赤ワインで酸味を、りんごやバナナピューレで甘みを加え、複雑な味わいに。スパイスには山椒を使って京のエッセンスも感じられる。
和牛スジ カレーライス(2860円)は、宇治の『朝日焼』の器に贅沢に盛る。牛スジは、だしや牛骨、ルーなどを加えてさらに煮込み、ホロっと崩れるほどに。

「雅な味に癒されますね」(千葉さん)

「超高級なビーフシチューみたい」(九團次さん)

「KYOTO BISTRO」
住所:京都市東山区高台寺桝屋町360 パークハイアット京都1F
家庭的な焼きカレーは“お母さんの味”「Le bouchon t masako」

「Le bouchon t masako」は、千葉さんが「大好き」とオススメする嵐山の名店。「家から近くて7年ほど通っている大好きなお店。家庭的な味でほっとします」と話す。ご飯の上にトマトベースで味付けしたひき肉をのせ、野菜がたっぷり溶け込んだカレーをかけ、チーズをのせて焼く。サクサクのハムカツをトッピング!
焼きカレーセット(1300円)は、「グラタン風にしてみたら…」と着想を得て、チーズをのせた焼きカレーに。中に隠れたひき肉がアクセントに。ハムカツに加え、京ししとうなど季節の京野菜をトッピング。

「最後まで熱々で愛情たっぷり♡」(千葉さん)

「これぞ、男子が求めるカレー!ハムカツが最高!」(九團次さん)

店主・田中正子さん、娘 優衣さんは「シェフではなく“主婦”の味です」と。

「Le bouchon t masako」
住所:京都市右京区嵯峨天龍寺瀬戸川町17
新鮮食材×15種の特製スパイス×かつおだし「SOUP CURRY OHMIYA」

「SOUP CURRY OHMIYA」では、ブランド牛『京の肉』や『京赤地鶏』のほか、野菜は農家から直接仕入れたものを中心にパプリカ、オクラ、なす、ヤングコーンなど新鮮な食材をふんだんに使用。スープカレーのベースはかつおだしにトマトを加えて旨みたっぷり。
『京の肉』の赤ワイン煮込みスープカレー(1920円)は、牛肉を赤ワインで煮込み、余分な脂を落としてより濃厚な味わいに。「さくら小町のポテトサラダ」(350円)は大根の柴漬けがアクセント。

『京赤地鶏』の手羽元スープカレー(1550円)は、地鶏の手羽元は塩を振って寝かせ、旨みを引き立たせる。

オーナー・櫻井翔太さんは「京都を丸ごと味わえます」と。

「SOUP CURRY OHMIYA」
住所:京都市中京区裏寺町607-3 西川ビル2F
昭和レトロからニューカマーまで!人気の喫茶カレーの名店3選
喫茶店文化が色濃く残る京都では、看板メニューにカレーを据えた店舗も少なくない。昭和レトロな老舗と新進気鋭の新店の人気の一皿をお届け!
ジャズが流れる老舗喫茶の本格カレー「サイフォンコーヒーとカレーの店 nasu」

「サイフォンコーヒーとカレーの店 nasu」は、1965年創業のコーヒー専門店。カレーは、牛骨を10時間煮込んだスープに香味野菜や独自にブレンドしたスパイスを加えて、コクとまろやかさのある本格カレーに。

ビーフ・カレー(1100円)は、大きめに切ったビーフ×肉汁で、牛の旨みをアップ。
トッピングもさまざま。気分に合わせて。ポークカツ・カレー(1000円)。

店主・那須資平さんは「コーヒーは浅煎りです」と。

「サイフォンコーヒーとカレーの店 nasu」
住所:京都市下京区朱雀裏畑町32
淡路島産玉ねぎと和牛が溶け込む不動のおいしさ「喫茶チロル」

「喫茶チロル」は、1968年に現店主・秋岡誠さんの両親が創業。父母が作った味を守り続ける。ポイントは甘みの強い淡路島産玉ねぎと和牛を使うこと。20kgの玉ねぎを刻んでじっくり炒め、1〜2日寝かせ、3日かけて作りあげる。
淡路島産玉ねぎと国産和牛が溶け込んだカレーライス(800円)は、市販のルーもブレンドするため、どこか懐かしい味がする。目玉焼きやコロッケ(共に100円)などのトッピングも。

スタッフ・繁田麗子さんは「コーヒーと一緒にどうぞ♪」と


「喫茶チロル」
住所:京都市中京区門前町539-3
ヴィーガンとは思えぬコクと旨みが濃厚!「The Paddock Café」

「The Paddock Café」は、10月19日に南岩本公園内にオープンした開放感あふれるカフェ。グリル野菜カレーはヴィーガンに対応。「日本に来ていちばんおいしかった!」と海外観光客も大絶賛。
2種類のカレーをかけたあいがけカレー(バターチキン&グリル野菜)(1650円)。グリル野菜カレーは玉ねぎや野菜だしのコクや旨みで満足感のある味に。


店長・山本美幸さん。オーナー・林右典さんは「2つの味を食べ比べて」と。

「The Paddock Café」
住所:京都市南区東九条南岩本町21南岩本公園内
撮影/玉井幹郎、二村海、西琢也 取材/廉屋友美乃 取材・文/岸綾香
※女性セブン2025年12月4日号