
深夜ドラマに似つかわしくない豪華キャストの中でも抜群の存在感を発揮するはずだったIKKO。しかし、下積み時代をハードワークで乗り切ったことでも知られる“美のカリスマ”がまさかのダウン。話題のドラマ現場で勃発した降板騒動の全内幕。【全文公開】
仕事に妥協を許さない自称“超完璧主義者”にとっては、苦渋の決断だったに違いない。11月下旬、美容家兼タレントのIKKO(63才)が、体調不良を訴えて緊急入院。出演を楽しみにしていた連続ドラマを降板していたことがわかった。
近年、俳優としても活動するIKKOが出演する予定だったドラマは、来年1月に放送予定の『こちら予備自衛隊英雄補!?(仮題)』(日本テレビ系)。極楽とんぼの加藤浩次(56才)が初めてテレビドラマの監督を務めることでも注目を集める話題作だった。
「自衛隊をモチーフにしたいわゆる戦隊モノで、キャストは深夜枠とは思えないほど豪華な顔ぶれです。すでにtimeleszの菊池風磨さん(30才)やのんさん(32才)が出演することが報じられていますが、意外なところでは加藤さんの相方の山本圭壱さん(57才)が、同作で20年ぶりにドラマ復帰を果たすことが決まっているそうです」(芸能関係者)
多様なキャストの中でひと際異才を放つ存在がIKKOだった。
「物語の核心部分に触れるため詳細は伏せられていますが、IKKOさんが演じる予定だったのはドラマの中でも強烈なインパクトを残す役。加藤さんはもとより共演者もIKKOさんの登場シーンを楽しみにしていたのですが……」(テレビ局関係者)
ドラマのスタッフからほかのキャストにスケジュールの変更が通達されたのは、撮影が大詰めに入った11月下旬。その際にIKKOが入院したことや、ドラマを降板することが伝えられたという。
「病状などの詳しい説明はなく、現場に緊張が走ったそうです。すでに撮影は佳境に差しかかり、クランクアップを目前に控えた段階で降板するのはよほどのこと。共演者たちは戸惑いを隠せず、誰もがIKKOさんの身を案じていました」(前出・テレビ局関係者)

底抜けに明るいキャラクターで人気を博し、美容家として多くの女優やファンに支持されるIKKOに何があったのか──。実業家の顔も持ち“推定年収3億円”と報じられたこともあるIKKOだが、成功を手にするまでの道のりは苦難の連続だった。
「4人きょうだいの長男として生まれ、物心がついた頃から自分の性を女性と認識していたそうです。当時はまだジェンダーレスや多様性という言葉もない時代。周りの子供たちに『オカマ』、『気持ち悪い』と言われたときのナイフで胸をえぐられるような感情はいまもトラウマとして残り、あの頃の自分には二度と戻りたくないと語ったこともあります」(別の芸能関係者)
キャビンアテンダントになる夢を諦め、美容学校に進学。女性を美しく輝かせることに喜びを見出し、卒業後はヘアサロンに住み込みで勤務した。
「8年間の厳しい下積みを経てフリーのへアメイクとして活動したものの、はじめのうちはほとんど仕事がなかったそうです。次第に和装メイクの仕事などを通じて多くの女優から指名されるようになり、ヘアメイクアップアーティストとして独立。IKKO流『女優メイク』が高い評価を受け、“どんだけ〜!”のフレーズでテレビでも引っ張りだこの人気者になりました」(美容関係者)
作り笑いでいいからなるべく笑う
原因不明のパニック障害の発作に悩まされるようになったのもその頃のことだ。自ら会社を経営し、多くの弟子を抱えるようになったIKKOは、自分でも気づかないうちに責任の重さからくる不安に押しつぶされそうになっていたという。
「若い頃から息苦しさや喉が締め付けられるような感覚があったそうです。初めて発作が起きたのは39才のとき。タクシーでの移動中に渋滞に巻き込まれ、外に出られない不安から脈拍数と血圧が上昇し、駆け付けた病院でパニック障害と診断されたそうです」(前出・美容関係者)
パニック障害は突然、動悸や呼吸困難、めまいなどの発作が起こる病で、日本では100人に1人の割合で発症するともいわれる。IKKOは診断された日から1週間入院したが、退院してからが“地獄のはじまり”だった。

「繊細な人なので……極度の不安から飛行機や新幹線に乗れず、建物の高層階や地下に行くこともままならない。夜になると発作の不安が募るため、当時は毎晩のように救急病院に駆け込んでいたそうです」(前出・芸能関係者)
それまでは「仕事がない日は不安になる」と言っていたIKKOも、さすがに働くペースを落とすしかなかった。発症前は睡眠時間を削って1日に5本以上の仕事をこなしていたが、倒れてからは8時間以上睡眠をとるようになったという。
「最終的には“もう仕事がなくなってもいいや”と吹っ切れた気持ちになり、周囲に病気をカミングアウトしたことでようやく楽になれたそうです。症状が出ていたときは笑顔が消えていたことを思い出し、作り笑いでもいいからとなるべく笑うようにしたり、さまざまな工夫をして病を乗り越えてきました」(前出・美容関係者)
それでも、いざ仕事となると手を抜くことができないのがIKKOの性分。今年も美容関係の仕事の合間にドラマのゲスト出演や、バラエティー番組の出演をこなす目まぐるしい日々を送っていた。
10月には大規模なディナーショーを開催し、11月上旬にもトークイベントを行った矢先の突然のダウン。またも無理がたたってしまったのか。所属事務所に現状を尋ねるとIKKOがドラマを降板したことを認めた上でこう答えた。

「詳細までお伝えすることは控えさせていただきたいのですが、11月末には退院して、12月から通常通り仕事復帰させていただきます。ドラマの初監督、演出の加藤浩次様はじめ、制作スタッフ様、共演者様にはご迷惑とご心配をおかけしてしまいました。今後はより一層体調管理をしっかりして、また元気にお仕事させていただきたく思っております」
前出のテレビ局関係者が続ける。
「IKKOさんの降板による影響は関係者の努力によって最小限に抑えられ、代役もすぐに決まったそうです。当初の予定通りドラマは11月末にクランクアップする見込み。出演者やスタッフもIKKOさんが回復することを祈っています」
また“どんだけ〜!”な笑顔をみせてほしい。
※女性セブン2025年12月11日号