
2025年10月、高市早苗氏は“三度目の正直”となった自民党総裁選で勝利し、「日本初の女性総理大臣」となった。衆議院において女性議員はたった15.7%、世襲議員も多い中、「一般家庭出身の女性」が叩き上げで国政のトップに立ったことは、日本の女性活躍を後押しすると、諸外国からも広く評価される出来事となった。
2025年時点でのわが国のジェンダー・ギャップ指数は、調査対象148か国中118位と、G7諸国中最下位。いまだに「男女不平等」が問題視される中、初の女性首相の誕生は国内でも「男女の賃金や労働環境の格差の是正につながるのではないか」「いまより少しでも、女性が働きやすい社会になるのではないか」と期待する声も聞こえる。
だが、たったひとりの女性リーダーの力だけでは、時代はすぐには動かない。そこで本誌は、社会で活躍し、企業や組織を率いたり、自らの腕で仕事や人生を切り開き、実際に働く女性を取り巻く環境に影響を与えてきた女性リーダーたちを調査。その中には日本を代表する企業の役員や投資家のほか、若き起業家や、家事や子育てをしながら出世していった女性、そして、専業主婦から上り詰めた女性も少なくない。
自ら成功をつかみ取った女性たちはどうやって働き、稼いできたのか。
「金持ち一族」より「叩き上げ」が増加
本誌・女性セブンは、東京商工リサーチの協力のもと、1億5000万円以上の役員報酬を得ている女性役員20名をピックアップ。成功をつかんだ女性たちの躍進や次世代への希望を深掘りする。
東京商工リサーチの坂田芳博さんはこのランキングについて「創業者一族や世襲役員よりも、一般の社員から出世してきた女性が多いのが印象的」と話す。

「例えば、3位の宇田川南欧氏は、ゲームや玩具などを手がけるバンダイナムコエンターテインメントの代表取締役で、1994年に前身であるバンダイに入社。グループ会社に転籍後、地道に出世コースを歩み、2018年に初の女性常務取締役に就任しています」(坂田さん)
かつては女性の重役といえば、未婚や子供を持たないことを選んで、いわゆる“男顔負け”に働く印象があったが、いまでは結婚、出産を経て、仕事と家庭を両立しながら働く女性役員も増えている。

7位の襟川恵子氏は、夫の起こしたコーエーテクモホールディングスを支えつつ、2人の娘を育て上げているほか、14位の柳澤花芽氏は、自身の出産を機に女性の働き方改革を実現し、現在は代表取締役社長を務める野村総合研究所の女性復職率をほぼ100%にしている。
このように、女性役員が増えれば、その下で働く女性社員のロールモデルになるばかりでなく、夫婦での育児休暇や時短勤務など、女性による、女性目線の環境整備が期待できる。そうすれば、優秀な女性が機会を失わず、活躍できる場が増えるかもしれない。

※女性セブン2025年12月25日・2026年1月1日日号