
人生100年時代、100才まで生きることは珍しくなくなった。一方で平均寿命と、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる」健康寿命との開きは、女性の場合12年ほどで、その差は超高齢社会において「長生きリスク」として不安視されている。がんや生活習慣病といった病気、転倒など事故の後のリハビリ、認知症や介護など、“想定外”の事態で“貧乏老後”を招かないために、備えておきたい“得する生命保険”の活用術を徹底解説。今回は、「認知症保険」に注目する。

軽度認知障害でも一時金がもらえる
生命保険文化センターによれば、何らかの保険商品に加入している人は、男性が77.6%なのに対し、女性は81.5%と、女性の方がやや多い傾向にある。女性の方が長生きしやすいため、夫が亡くなり「おひとりさま」になってからのリスクに備えようとしている人が多いといえる。
いま大きく不安視される「老後リスク」のひとつが認知症だ。発症者の数は増加傾向で、65才以上の5人に1人が認知症の時代。80代後半では女性の49%、男性の36%が発症するとされる。日常生活は送れるものの、認知機能が低下した状態にある「軽度認知障害(MCI)」を含めると3人に1人とも試算されている。
認知症の治療法や特効薬はいまだ研究の途上にあり、症状が出てしまったら「完治」は難しい。平均して5年間で約473万円、7年間で約643万円、10年間では約899万円と、長生きすればするだけお金がかかる。治療費はかかる一方、入院はしないことの方が多いため“民間の医療保険の対象外”で、進行の度合いによっては、公的介護保険が適用されないケースも少なくない。

「家族が同居していても、症状が進行すれば1日中つきっきりにならざるをえず、介護離職を選ぶ人も珍しくありません。同居する家族が高齢のパートナーのみ、もしくはいない場合は在宅での介護サービスや高齢者施設への入居が必要になるなど、金銭面の負担は大きく、当事者だけでなく家族の生活もひっ迫してしまうケースもあります」(ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん・以下同)
認知症になった場合も、がんや生活習慣病と同様に治療にかかるお金は高額療養費が適用され、要介護認定を受ければ度合いに応じた公的介護サービスを受けることはできる。しかし、自立した生活が困難になることから交通費や宅食サービスなどの利用が増え、生活全般への備えが必要になり、公的保険や介護サービスだけでは不安は解消できない。
「がんや生活習慣病以上に、関連費用が長期にわたって発生しやすいのが認知症です。また、要介護認定を受けたとしても、認定度合いに応じたサービスだけでは不充分なことも多く、結局持ち出しがかかってしまうことも少なくありません」
そこで、認知症にも万全に備えるために有効なのが、民間の認知症保険だ。
認知症と診断された場合に一時金としてお金が受け取れるほか、生涯にわたって「年金」として給付金を受け取ることができるものもある。
近年では軽度のうちに治療を始めれば進行をゆるやかにできる可能性があることからも、症状の早期発見が求められる。軽度認知障害でも一時金が受け取れる商品に加入しておけば、症状の進行を遅らせることが期待できるだろう。月々の保険料は数百円~数千円とリーズナブルなことも多く、加入している医療保険の「特約」としてつける商品もある。

介護保険とのW使いで介護する側の負担も軽減
認知症で介護が必要になった場合でも、前述の通り民間の介護保険も併用すれば、認定度合い以上のサービスを受けることも可能になる。体のリハビリと違って、日々の生活を介護サービスで支える場合、入浴介助や通所介護(デイサービス)は、多く受けられればそれだけ介護する側の負担も減り、介護疲れを軽減したり、場合によっては介護離職を避けることにもつながるはずだ。
「ただし、認知症保険は、受け取る際に自分は認知症を発症しているので、手続きができません。加入したら必ず家族に伝えておくか『指定代理人請求特約』をつけておくことをおすすめします」(ファイナンシャルプランナーの牧野寿和さん)
取材/小山内麗香、三好洋輝
※女性セブン2026年1月8・15日号