
世の人々が嫌悪感を抱くようなニュースも多い昨今。女性セブンの名物ライター“オバ記者”こと野原広子氏が、2026年の初めに目を疑った、「いじめ」と「セクハラ」に関する事件についてつづります。
真岡市のいじめ動画騒動での“正義の人たち”
「『まおか』ってオバの田舎の近く? たしか栃木県生まれだったよね?」
新年早々、何人かにこんなことを言われた。説明するまでもない。SNS上で拡散された、栃木県真岡市の高校で起きたトイレでの暴行事件のことだけど、そのたびに私は、「『まおか』じゃなくて、『もおか』。私は栃木県出身ではなくて、お隣の茨城県!」と訂正している。
とはいえ、茨城県桜川市出身の私にとって、真岡は県外というにはあまりに近く、私が高2のときに真岡市にできた「一万人プール」には数え切れないほど通った。また、茨城も栃木も肥沃な土地に支えられてか、穏やかな人が多い。のんびり屋で競争意識が薄く、むしろ人との争いを好まない人たちだ(と私は思う)。だから、暴行の動画を見たときは「なんで?」と言ったきり、次の言葉が見つからなかったわよ。
無抵抗の同級生を殴る蹴ることからして論外だけど、それを囃し立てる集団と、それを動画に撮って拡散した連中。そしていまは、加害者やその場にいた生徒のプライバシーがネットで晒され、世間からある種の“集団暴行”を受けているというではないの。せめてもの救いは、警察、学校、教育委員会がこうした事件にありがちな“時間稼ぎ”をしなかったことだ。加害者の高校生もすでに反省して謝罪していると聞く。

なら一件落着かというと、そうはいかないのがネット社会なんだよね。
私が理解できないのは、今回のことで、ここぞとばかり学校に電話をかけた“正義の人たち”よ。私は子供の頃、テレビドラマを見ると「どっちが良い方?」と大人によく聞いた。人は良い方と悪い方に分かれていて、悪い方は悪事を働いたあげく、良い方にとことんやっつけられる。めでたし、めでたしと思いたかったんだよね。白黒ハッキリの勧善懲悪ドラマ。
けど、現実はそんなに単純じゃない。良い方と悪い方なんて二分できないし、良かれと思ってしたことが非難されることだってある。
動画の再生回数は1億回超。関係したとされる生徒の氏名・住所・保護者名などが拡散され、同県によると、「いろいろなかたが学校や学校関係者の自宅などにも来ている」という。
そうそう。いま、ネットでは「いじめ」とは言わず、「い○め」と表するんだって。最初、なんのことかわからなかったけど、「いじめ」と聞くとそれだけで平常心でいられなくなる人がいるから、らしい。
福井県セクハラ前知事の摩訶不思議
そしてもう1つ。
どこをどうしてもアウトなことってあるんだなと思い知らされたのが、前福井県知事・杉本達治氏の約18年にわたるセクハラ事件。こんなに胸糞の悪いニュースってあったかしら。
誰しも若いときの過ちの一つや二つ、いや、三つや四つ、いやいや、私はもっとあるかな……でも、損得勘定が立つようになった中年以降、人は誰しも、顔から火が出るようなことはやりたくてもできなくなる──そう思っていたら、東大法学部卒のキャリア官僚だった杉本氏は、56才で知事になってから大暴走よ。
女性職員に深夜や休日を問わず、「○○ちゃんのことを考えると体が熱くなるの」「キスしちゃう!?」「〇〇ちゃんはエッチなことは好き?」「もう起きたの? それともおしっこ」などといった“エロメッセージ”を送ること1000通以上! あのさ、それ、自分で声に出して読み上げられる? そればかりか実際には、背後からスカートの中に手を入れて太ももや尻を触ったり、足を絡めたりする痴漢行為もしていたっていうんだから!
でもって、杉本氏の摩訶不思議なのが、やったことはエグいのに、記者会見のなんとまぁ紳士的なこと! カメラをまっすぐ見据えて淡々と「被害者には心からお詫び申し上げます」って、その瞳に一点の曇りもない。「これからの楽しみは?」と聞かれたら、うれしそうに「妻に海外旅行に行こうと言ってます」だって。
この人、本人はもちろん政治家の妻は、たとえ夫が辞職しても隠れようがないってこと、どのくらいわかってるのかしら。しかもこんなハレンチなことで辞めたのに、冬の期末手当が325万2000円と退職金が6162万円也。私が彼の身内だったら、「受け取れません」と潔く言って全額返納した方がいい、とアドバイスするけど、この人、それでも返さないだろうなぁ。
【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。