《専門医10人が回答“本当にのんでいる市販薬・処方薬”》ランキング1位は解熱鎮痛薬「ロキソプロフェン」 2位、3位には「五苓散」「葛根湯」、多数の医師が漢方薬を愛用

お正月ムードも終わり、感染症大流行がやってきた。インフルエンザの感染者数は7週ぶりに増加し、厚労省の報告によると、1月11日までの1週間での感染者数は1医療機関あたり10・54人にもなる。冷え込みや空気の乾燥で誰もが体調を崩しやすい時期にもっとも忙しいのは、人々の健康を守る医師たち。多忙を極めながら自分の健康を保つには、名医たちにも「頼る薬」があるはず。さまざまな分野の名医10名に「本当にのんでいる・常備している・頼っている薬」を聞いてランキングにまとめた。【前後編の前編】
【以下10人の医師に、「使っている薬」「頼れる薬」を挙げて10点満点で採点してもらい、基本的に1位を10点、2位を9点、3位を8点、4位を7点、5位を6点、6位を5点、7位を4点、8位を3点、9位を2点、10位を1点とし、集計。石原新菜さん(内科医、イシハラクリニック副院長)/井上留美子さん(松浦整形外科内科院長)/大谷義夫さん(池袋大谷クリニック院長)/奥村歩さん(おくむらメモリークリニック理事長)/坪田聡さん(睡眠専門医、雨晴クリニック院長)/東丸貴信さん(循環器専門医、東邦大学名誉教授)/日比野佐和子さん(医療法人社団康梓会グループ統括院長)/平松類さん(二本松眼科病院副院長)/松田史彦さん(松田医院和漢堂院長)/松村圭子さん(成城松村クリニック院長)】
痛みには「市販薬」、かぜや疲労には「漢方」
今回、もっとも多くの医師が名前を挙げ、1位となったのは解熱鎮痛薬の「ロキソプロフェン」。頭痛や発熱のほか、歯痛や関節痛、のどの痛みなど、幅広い痛みに使われている。効果が強い分負担も大きく、長期間の服用は推奨されない。だが“いざというとき”のために手元に置いておく医師は多い。おくむらメモリークリニック理事長の奥村歩さんが言う。
「常用はよくないので、痛みや熱があって本当につらいときだけのんでいます。
新型コロナウイルスを含め、どんなかぜでも熱を下げる力が強い。ただし、インフルエンザの場合はインフルエンザ脳症などを引き起こすケースがあるので、『アセトアミノフェン』(10位)を使います」
薬には病院で処方してもらう「処方薬」とドラッグストアなどで購入できる「市販薬」がある。一般的に処方薬の方が有効成分が多いとされるが、ロキソプロフェンやアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬は「まったく同じ」。東邦大学名誉教授で循環器専門医の東丸貴信さんが説明する。
「処方薬と市販薬で有効成分やその含有量が異なる薬がある一方、ロキソプロフェンとアセトアミノフェンは、処方薬と市販薬で成分や含有量に違いはありません。病院で処方してもらわなくても同じ効果のものをすぐ購入できるのも、手に取る理由の1つです」
ただし、価格には差がある。成城松村クリニック院長の松村圭子さんが言う。
「一時的な症状の改善を目的に使うなら、すぐに手に入る市販薬で充分です。ただし慢性的な痛みに対処したいなど頻繁に使うなら、病院で処方してもらう方が安くすみますし、使用頻度が高い場合には安心です」

続いて2位、3位にランクインしたのは、漢方の「五苓散(ごれいさん)」と「葛根湯(かっこんとう)」だ。体内の余分な水分を排出する五苓散は、二日酔いや下痢などの改善に役立つ。
「私は、晩酌をする際に二日酔い対策として予防的に使うことが多いです。空腹時にのむ方が効きやすいので、夕食前や朝起きてすぐの服用がベストです」(松村さん)
また、体内の水分バランスを調節する作用から、むくみや食べすぎ、飲みすぎ対策にもなるという。
「長距離移動での足のむくみや乗り物酔いなどにも効くので、旅行や出張に持っていきます」(奥村さん)
かぜのひきはじめに欠かせない葛根湯を愛用する医師が多く、寒気がするときは多めに服用するという医師や、常に自宅にストックしているという医師もいた。だが、ほかの薬との併用には注意が必要だ。イシハラクリニック副院長の石原新菜さんが指摘する。
「葛根湯に含まれる麻黄には動悸や胃痛などの副作用があります。葛根湯だけを使う場合は問題ありませんが、麻黄はいろいろな漢方薬に入っているので、複数の漢方薬をのむと麻黄の量が増え、副作用が出やすくなる可能性がある。自分で薬を選ぶ際は成分をよく確認してください」
今回、足のつりに即効性がある「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」(4位)のほか、胃腸の働きを整えて免疫力を底上げする「補中益気湯(ほちゅうえつきとう)」(8位)、つらい鼻水や花粉症の症状を和らげてくれる「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」(11位)と、漢方薬のランクインが多かった。漢方薬は単体の使用なら、予防として使っても副作用や依存性が出にくいため、愛用する医師が多いようだ。だが、漢方薬ならなんでもいいというわけではない。
同じ名前の漢方薬でも、メーカーによって効果に差があることも。松田医院和漢堂院長の松田史彦さんが解説する。
「漢方薬の成分は自然の生薬なので、製薬会社によっては有効成分量や品質に差が出ることがある。やはり、良質な生薬を安定的に仕入れることができる大手製薬会社のものが比較的安心です」


(後編につづく)
※女性セブン2026年2月5日号