
日本人では「やせているのに糖尿病」でといった人が少なくないという。さまざまな合併症も怖い糖尿病だが、気づいたら深刻なことになっていた──そのようなことがないよう糖尿病について理解する必要がある。【前後編の後編。前編から読む】
健康診断で見逃される“隠れ糖尿病”
糖尿病には主に自己免疫性疾患の1型と、遺伝的素因に生活習慣が影響する2型の2つに分類される。日本では患者全体の約95%を占めているのが2型だ。2型糖尿病は肥満の方がかかりやすく「太っている人がなる病気」と思われがちだが、日本人はやせていても糖尿病にかかっている可能性がある。岡本内科クリニック院長で、『女性なら知っておきたい“女性の糖尿病”』の著者である糖尿病専門医の岡本亜紀さんが指摘する。
「BMIが21や22でやせているように見える人でも、エコー検査をすると内臓脂肪がついている。日本人はもともと、欧米人に比べてインスリンの分泌量が半分から4分の3ぐらいしかありません。そのため内臓脂肪がつきやすく、太っていないのに脂肪肝の人もたくさんいます。肝臓は血糖値を管理する大切な臓器なので、脂肪肝は糖尿病の前段階になります」(岡本さん)
エストロゲンの減少は内臓脂肪の増加も招きやすくなる。50代以降の女性は、体形にかかわらず、やせていても糖尿病に要注意だ。
「体脂肪率は体脂肪計で普通に測れますが、内臓脂肪はCTを撮らなければわかりません。CT以外では、まず目安になるのは腹囲。女性なら90cm以上は要注意です」(市原さん)
健診にも内臓脂肪の状態を知るヒントになる項目がある。
「血液検査で見てほしいのが、ALT(GPT)とAST(GOT)の数値。ALTの方が高めの人は、内臓脂肪が多い可能性があります。特に数値が『30』を超えている人は、健康診断の正常範囲であっても、内臓脂肪量に注意しましょう」(岡本さん)

健診でヘモグロビンAlcや空腹時の血糖値が正常でも、決して安心はできない。「隠れ糖尿病」について高木さんはこう話す。
「隠れ糖尿病とは、一般的に空腹時の血糖値は平常値でも、食後だけ血糖値が高い状態をいいます。健康診断は空腹時に測ることが多いため見つかりにくく、数年に1度しか健康診断を受けないという場合などは、気づかないうちに進行していることがあります」
隠れ糖尿病になっていた場合、糖尿病はすぐに発症するのだろうか。
「隠れ糖尿病の人がどのくらいの率で糖尿病になるか、正確な数値は出ていません。ただ、女性の場合は閉経のタイミングで血糖値があがること、また加齢とともに臓器の筋肉も衰え糖代謝が悪くなることを理解して、定期的に採血に行くなどして数値を把握しておきましょう。そうしないと、隠れ糖尿病は気づかぬうちに糖尿病に移行してしまいます」(岡本さん)
自分が糖尿病予備群、あるいは隠れ糖尿病かどうかは日々の生活習慣からもチェックできる。気になる習慣をチェックリストにまとめたので確認してみてほしい。
また、こんな自覚症状があったら要注意だ。 eatLIFEクリニック院長で糖尿病専門医の市原由美江さんが言う。
「食後に血糖値が一気にあがる血糖値スパイクが起きると、眠気や体のだるさが起こります。反応性低血糖と言って、食後にインスリンが大量に分泌されると、今度は一気に血糖値が下がります。頭がボーッとする、夕方急に眠くなる、何か食べ物を口に入れたくなる……こうした症状がある人は、一度医師に相談してみましょう」
血糖値スパイクは糖尿病だけでなく、メンタルにも影響を与えることが指摘されている。