健康・医療

《脳年齢のターニングポイント》「後期老化」が始まる83才 同世代と病気の話ばかりすると老化が進むので注意、「昔のアルバムを見返す」「懐かしい曲を歌う」で脳に刺激を 

83才を過ぎると脳の最終段階「後期老化」が始まる(写真/イメージマート)
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 人間の脳には4つの大きな転換点がある──そんな研究結果を英ケンブリッジ大学が発表した。昨年11月、学術誌『Nature Communications』に掲載された論文によると、人間の脳には生涯を通じて「幼少期」「思春期」「安定した成人期」「前期老化」「後期老化」という5つの段階があり、そこには「9才」「32才」「66才」「83才」という4つの重要なターニングポイントがあるという。最終回となる第4回では83才のターニングポイントについて解説する。【全4回の第4回。第1回から読む】 

83才からは昔のアルバムを見てドーパミンを分泌させる 

 脳年齢からみて“最後の壁”となるのが83才。この年齢を過ぎるといよいよ脳の最終段階である「後期老化」が始まる。『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』の著者で、脳科学者の西剛志さんが指摘する。 

「この段階に突入すると脳全体のネットワークが前期老化以上に分断されます。脳全体の連携が大幅に低下し、同じ部分しか使わなくなるというイメージです」 

 この時期は体の活動量が低下するが、できる限り動くことを意識したい。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが言う。 

「激しい運動よりも無理のない活動が適切です。散歩や読書、パズルゲームやインターネットなど、体への負担を考慮した脳刺激活動が好ましい」 

 記憶力も低下するものの、昔を思い出すことで脳を刺激できる。 

「昔のアルバムを見ると懐かしさがこみあげてドーパミンが分泌され、脳が刺激されます。若い頃によく聴いていた曲をカラオケで歌うことも脳を活性化し、ストレス発散にもなります」(西さん・以下同) 

 病院で同世代と病気の暗い話ばかりすると、老化が進むので気をつけたい。食事にも要注意だ。 

「83才以降はメニューが単調になりがちで、新鮮味を持たせるためにも食事のバリエーションが必須です。特に脂質のオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)は認知機能や記憶力を向上させるので、回転ずしを食べる場合は中トロ2貫を忘れずに」 

いつまでも脳を成長させる食べ方
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 エネルギー源となるブドウ糖や神経細胞の情報伝達を円滑にするカルシウムなどもできるだけ口にしたい。 

 食事、運動、生活習慣と日々の行動に気を配りながら、やはり最後にものを言うのは気の持ちようだ。金町駅前脳神経内科院長で脳神経内科医の内野勝行さんは「嫌なことは全部やめて、やりたいことを全部やる」ことをすすめる。 

「80代になったら少しでも嫌なことを記憶に残す必要はなく、やりたいことを全部やるべきです。医師が反対しても旅行したければすればいいし、食べたいものを食べればいい。 

 身を滅ぼすまでは遊べないだろうから、ギャンブルが好きな人はギャンブルをすればいい。大切なのは脳にストレスをかけないことです」 

 今回紹介した脳年齢には個人差があり、「壁を越えることはできない」とさじを投げてはいけない。脳内科医の加藤俊徳さんがこうアドバイスする。 

「もう66才になるからと悲観しないでほしい。その年齢になってからでも予防したらその分だけ脳機能の低下のリスクが下がり、認知症になりにくくなります。予防することは幸せな老後に近づく一歩です」 

 むしろ人間の脳が変化することに希望を見出し、4つの曲がり角に備えてストレスを減らし、なるべくポジティブに生きることで壁はぐっと低くなるはずだ。うまく壁を越えたその先には健康長寿への道が開けている。 

いつまでも脳を成長させる食べ物
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(第1回から読む) 

※女性セブン2026年3月19日号 

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