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《冬眠明けのクマ、目撃情報相次ぐ》今春はさらなる被害の懸念「冬の間に人間の出入りが少なかった農機具小屋」「放置されたビニールハウス」が危険スポットに 

目撃情報が相次ぐ、冬眠明けのクマ(写真/PIXTA、AI生成画像)
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「冬眠から目覚めたと思われるクマの目撃情報が、各地で相次いでいます。冬眠明けの個体は餌を求めて活発に活動するケースが多く、不慮の事故につながることもあります。2月中旬には、岩手県花巻市で街に現れたクマを追い払おうとしたハンターが、反撃にあって重傷を負いました。昨年の状況を振り返ると、この春はより注意が必要と言えます」 

 こう警鐘を鳴らすのは、クマの生態に詳しい岩手大学農学部准教授の山内貴義氏。昨年はクマの餌となるブナの実の不作などが影響し、秋口から市街地への出没が急増。人慣れしたアーバンベアの被害が、社会問題となっている。 

 環境省の発表によれば、2025年度の全国のクマ出没件数は4万9916件(3月9日時点)で、これまで最多だった2023年度の2万4348件を大幅に更新中。クマによる被害人数も237人にのぼり、13人が命を落とした(3月9日時点)。こうした異常事態のなか、今春にはさらなる被害が懸念されている。 

「街に出た個体のなかには、人間の生活エリアに依存して、市街地に近い場所で冬眠したクマがいるかもしれません。静かな山とは違い、街中の騒音で目を覚ましてしまうクマもいます。そのタイミングで不意に人間と出くわせば、驚いて襲ってくることがある。空き家や冬の間は人間の出入りが少なかった農機具小屋、放置されたビニールハウスなどは、クマが潜んでいるかもしれず危険スポットと言えます。 

 秋は畑に農作物や庭先に柿などがありますが、冬を経た春先のいまは“餌がない”状態。目覚めたクマは人間が出した生活ゴミや犬の餌などをあさることになり、クマと人間との距離は冬眠前に比べてぐっと近くなります」(山内氏・以下同) 

 昨年は東京都の青梅市や八王子市での目撃も相次ぎ、多摩川沿いを移動して世田谷区内にクマが出る可能性も指摘された。餌を求めたクマがそのまま都会に居つき、冬眠していることもあり得るという。そして2年ぶりの暖冬も、懸念要素の1つになっているのだ。 

「山中で冬眠したクマが、気温の上昇で例年よりも早く目を覚ましているようです。通常、冬眠明けのクマは新芽や草を食べるのですが、山の中ではそれらがまだ繁茂していないんです。こうした状況なので、今後、餌を求めて人里に下りる個体が増えるとみています」 

 より一層の注意が必要だ。 

※女性セブン2026年3月26日・4月2日号