
仲野太賀(33才)が主演を務める大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合)。物語は小栗旬(43才)演じる織田信長と要潤(45才)演じる明智光秀との間に不穏な空気が流れ始め、いよいよ「本能寺の変」が近づいていることが感じられる。兄・秀吉(池松壮亮、35才)の天下統一を支えた「天下人の弟」である豊臣秀長(仲野)の今後の立ち廻りはより重要さを増すだろう。
4月26日放送の第16回では、光秀と室町幕府の第15代将軍・足利義昭(尾上右近、33才)が碁を打つ場面が登場した。陰のある“密談”シーンだが、盤面にも細かいこだわりがあった。『豊臣兄弟!』に囲碁指導として携わる棋士の河合将史氏(55才)が明かす。
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大河ドラマの囲碁指導に携わるのは、2017年の『おんな城主 直虎』以来2度目です。NHKから日本棋院に依頼があって、私くらいの中堅どころに「こんなお話しがありますけど、どうですか?」とオファーがおりてくるんです。
囲碁指導の柱は大きく2つ。1つは、俳優さんに打ち方を指導すること。碁石をどう入れ物(碁笥)から取り出すのか、どんな風に指で持ってどう碁盤に打つのかといった、基本的な話をします。と言っても、役柄上は「プロの棋士」ではありませんし、遊び半分で碁を打っているようなシーンでは、そこまで堅苦しくしなくてもいいと考えています。
もう1つの柱は「盤面」を作ることです。「今度こういうシーンを撮るんですけど、そのイメージの盤面を作っていただけますか?」とリクエストされることがあります。特に盤面がはっきりと映り込むシーンの撮影では、いい加減なものは作れません。

そもそも、碁は中国の方から伝わってきたとされています。平安時代の少し前くらいで、その時は、貴族とか僧侶といった、身分の高い人の嗜みだったようです。すごく簡単に言うと、白と黒の石を使った陣取り合戦ですね。今も昔もルールはさほど変わっていませんが、いわゆる“戦術レベル”が上がったのは江戸時代と言われています。ですから、ドラマの時代設定に合わせて、「盤面を現代風にしない方がいいかな」とか、そういう配慮をしながら考えます。これはもう私の勝手なこだわりですけど(笑い)。
今回の、光秀と足利義昭のシーンでも、事前に制作スタッフの方から「盤面の白の陣地に、黒の石が飛び込んでいく構図を作ってほしい」とリクエストがありました。義昭の命を受けて、光秀がまるで“スパイ”のように織田方に飛び込んでいくような会話のシーンとのことで。そういったやりとりをしている時の盤面で、怪しい印象の黒い石が、白の陣地に打たれるわけですから、ドラマの演出上とても重要だと思っています。

ただどうしても映し出すサイズに限界があります。今回のシーンでは、当初考えた盤面から半分くらいの面積になりました。とはいえただ縮小すればいいわけではありませんし、こちらも専門家ですから、「対局を続けていってこんな盤面になった」という意味が通るようにはさせてもらいました。
石がたくさん並んでいると、それだけで打ちにくいんですよ。慎重に置かないといけないけど、俳優さんは皆さん囲碁を打ちながらセリフを喋り、演技をしなきゃならない。そこの邪魔だけはしないように、配慮しながら盤面は作っています。