
今年も花粉症シーズンがすでに始まり、3月中旬にはスギ花粉の飛散量がピークに。今後、寒暖差により飛散量が急増する見込みだという。対策は万全だと思っていても、症状がきつい場合、もしかすると「対策を知ったつもり」になっているだけかもしれない。正しい知識を知って、憂鬱なシーズンを乗り切るにはどうしたらいいのだろうか。花粉症やアレルギーに関する研究は日進月歩。常に最新情報を取り入れ、より適した方法で対策しよう。今日から始められる「免疫力を上げる食事法」「薬選び」「生活習慣」を紹介する。
- ヨーグルト、食物繊維は当然必須!
- トマトやキウイなど食べると危険な食品も
- 市販薬より処方薬の方がよく効く→【×】市販薬も処方薬と同量の成分が配合
- 眠気が強い薬の方がよく効く→【△】臨床的には第一世代の方が効果は強め
- 薬は早めにのみ始めないと効きづらい→【△】飛散後でも効果はあるがなるべく早めの服用を
- 同じ薬をのみ続けると効き目が弱くなる→【×】花粉の飛散量によって効きづらいと感じるだけ
- とりあえずマスクをする→【△】花粉対策なら不織布素材がおすすめ
- 換気はしない方がいい→【×】カビやダニが発生するリスクも
- 鼻がつまるたびに鼻炎スプレーを使用→【×】血管収縮剤配合薬は要注意
- 鼻うがいはこまめに→【△】やりすぎは逆効果1日1〜2回ほどに
- 花粉飛散時期は肌に何も塗らない→【×】肌症状がなければいつも通りでOK
- 点眼薬はかゆくなるたびにたっぷりさす→【×】強い眠気をもたらす可能性も
- 洗濯は乾燥機を活用→【△】室内の湿度を保てる部屋干しがおすすめ
- 入浴は熱い湯で→【×】帰宅後すぐ、38〜40℃の湯に
ヨーグルト、食物繊維は当然必須!
免疫力を上げるため、腸活を意識した食事は、アレルギー対策の土台ともいえる。では何を食べるべきか。
「花粉症対策に効果的な食品としては、やはりヨーグルトがあげられます。ビフィズス菌などの善玉菌の摂取が、アレルギー性鼻炎の症状緩和や鼻粘膜の炎症を抑えることが研究でわかっています。多様な菌が入ったヨーグルトを食べた方がより効果が高いとされています」(医師の伊藤大介さん・以下同)
腸内環境の改善には、善玉菌のエサとなる食物繊維も欠かせない。
「食物繊維は腸内で短鎖脂肪酸に分解され、このうちの酪酸がアレルギー反応の抑制に効果的。きのこ類やいも類、切り干し大根などを意識して摂りましょう」
ビタミン類のなかでは特に、ビタミンA・D・Eがアレルギー症状の抑制に有効とされる。特に不足しやすいビタミンDは、サプリメントを活用するのも手だ。
トマトやキウイなど食べると危険な食品も
一方で、摂取を控えた方がよい食品もある。
「スギ花粉のアレルゲンと似た構造のたんぱく質を含むトマトや、口腔アレルギーを起こしやすいキウイ、パイナップル、もも、さくらんぼなどは、花粉症の時期は食べるのを控えた方がいいでしょう」
アレルギー症状を悪化させる飽和脂肪酸を含む揚げ物などにも注意したい。
市販薬より処方薬の方がよく効く→【×】市販薬も処方薬と同量の成分が配合
アレグラ、アレジオン、タリオンなどは市販薬も処方薬と同等の効果が期待できる。「ただし、症状が改善しなかったり、湿疹や肌のかゆみなど皮膚症状があったら受診を」(薬剤師の三上彰貴子さん)。
眠気が強い薬の方がよく効く→【△】臨床的には第一世代の方が効果は強め
「臨床的には、眠気が強めの第一世代の方が効く印象がありますが、薬は医師と相談して決めましょう」(医師・長友孝文さん)

※第一世代の抗ヒスタミン薬とは、くしゃみ・鼻水への即効性がある一方、強い眠気や口の渇きなどの副作用が出やすいタイプ。一方、第二世代抗ヒスタミン薬は、副作用を抑えつつ、くしゃみ・鼻水・目のかゆみに効果を発揮する第一選択薬(上記表は三上彰貴子さん監修)。
薬は早めにのみ始めないと効きづらい→【△】飛散後でも効果はあるがなるべく早めの服用を

「飛散後でもかまいませんが、抗ヒスタミン薬は効果が出るまでに数日かかるため、飛散の1~2週間前から服用を始めるのがおすすめです」(医師・伊藤大介さん)
同じ薬をのみ続けると効き目が弱くなる→【×】花粉の飛散量によって効きづらいと感じるだけ

「花粉量が多い年は効き目が弱いと感じるかもしれませんが、同じ薬をのみ続けて効き目が弱くなることはありません。むしろのみ慣れた薬が◎」(伊藤さん)
とりあえずマスクをする→【△】花粉対策なら不織布素材がおすすめ
マスクには、鼻や口からの花粉侵入を7~8割程度軽減する効果があるとされている。ただし、どんな素材のものでもいいわけではない。肌への負担は布製が最も少ないが、花粉の侵入を防ぐためなら不織布がおすすめだという。「濡れたフィルター入りの保湿マスクなどは、蒸れすぎると肌への刺激になります。おすすめは、不織布マスクをつけて花粉対策めがねをかけること」(伊藤さん)。

換気はしない方がいい→【×】カビやダニが発生するリスクも

「換気をしないと湿気がたまりカビやダニを発生させるので、花粉の飛散が少ない夜から早朝に換気を。窓は全開にせず10cmくらい開ければ充分です。レースのカーテンをすると花粉の侵入を防げます」(長友さん)
鼻がつまるたびに鼻炎スプレーを使用→【×】血管収縮剤配合薬は要注意
鼻炎スプレーは主にステロイド剤配合のタイプと、血管収縮剤配合のタイプに分かれ、後者は使用に注意が必要だ。「血管収縮剤を長期使用すると、薬への反応が鈍くなり、逆に血管が拡張して腫れがよりひどくなる『薬剤性鼻炎』を引き起こす可能性があります。使用回数を厳守し、連続使用は1週間程度にとどめましょう」(三上さん)。

鼻うがいはこまめに→【△】やりすぎは逆効果1日1〜2回ほどに

鼻粘膜についた花粉を洗い流す鼻うがい。
「ただし、やりすぎると鼻粘膜のバリア機能を損ない、耳のダメージにもつながります。1日1〜2回、帰宅直後などに生理食塩水で行うのがおすすめ」(伊藤さん)。
花粉飛散時期は肌に何も塗らない→【×】肌症状がなければいつも通りでOK

「花粉が肌に直接つくのを防ぐため、白色ワセリンなどで肌をバリアした方がいい。肌症状がなければいつも通りのメイクでOK」(伊藤さん)。かゆみがひどいときは医師の指導のもと弱いステロイド剤の使用も検討を。
点眼薬はかゆくなるたびにたっぷりさす→【×】強い眠気をもたらす可能性も
のみ薬と同様に、点眼薬にも第一世代と第二世代がある。前者は即効性がある半面、眠気などの副作用が出やすい。「目薬の成分は、目頭の涙点から鼻を通り全身へ回ります。そのため、眠気の少ない薬をのんでも第一世代の点眼薬で眠気が起こるケースも。生活に支障があるなら目薬も第二世代を選択。用法・用量を守ってさしすぎないこと」(三上さん)。

洗濯は乾燥機を活用→【△】室内の湿度を保てる部屋干しがおすすめ

洗濯物を外に干すと花粉がつくので乾燥機の活用は便利だが、部屋干しにもメリットが。「花粉を舞い上がらせないよう、湿度が重要。50%前後を保つよう加湿器代わりに部屋干しが有効」(伊藤さん)。
入浴は熱い湯で→【×】帰宅後すぐ、38〜40℃の湯に

「花粉飛散の時期は帰宅後すぐに入浴し、付着した花粉を洗い流してから室内でくつろぐのがベスト」(長友さん)。42℃以上の熱い湯だとヒスタミンの分泌が活発化するので、湯温は38~40℃を目安に。
◆医師・長友孝文さん
池袋ながとも耳鼻咽喉科院長。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定専門医。耳、鼻、のどの疾患はもちろん、アレルギー性疾患などの診療も行う。
◆医師・伊藤大介さん
一之江駅前ひまわり医院院長。肝胆膵の外科医を経て、内科医・皮膚科医に転身。アレルギー疾患も多く取り扱う。著書に『総合診療医が徹底解読 健康診断でここまでわかる』(文藝春秋)など。
◆薬剤師・三上彰貴子さん
外資系製薬会社勤務後に独立。医療分野でのコンサルティングやマーケティング、人材育成セミナーなどを行う。テレビ、雑誌などのメディアでの、薬にまつわるわかりやすい解説が好評。
取材・文/植木淳子
※女性セブン2026年3月26日・4月2日号