
体内から老廃物や有害物質などを排出し、血流やリンパの流れをよくする「デトックス」(解毒)。そのアプローチ法は、食事改善や運動などさまざまだ。乱れがちな自律神経を整え、健康効果を上げるために名医が本当に実践している習慣を教えます。
快便、快尿しやすい体を作る
春にはまだ肌寒い日が続くが、冬の間の寒さで低下した代謝により、体内には脂肪や老廃物がたまっている。「たまった老廃物をデトックスするのに、春は適した季節です」と語るのは、医学博士の周東寛さんだ。

「いわゆるデトックスというのは、医学的には肝臓で有害物質を解毒(代謝)し、腎臓や腸を通じて尿や便として体外へ排出することを指します。
東洋医学では、冬は寒さで代謝が落ち、脂肪や老廃物などの『毒』をためやすい季節で、春は代謝や解毒を担う『肝』の働きが活発になる時期といわれます。ただし、春は寒暖差などの影響で自律神経が乱れやすく、腸の働きが低下して、便秘や老廃物の蓄積のほか、疲労や肩こり、頭痛などの不調を招きやすい季節でもあるのです」(周東さん)
内科医で医学博士の武本重毅さんは排出すべき毒素の中には「体に害をもたらす有害物質がある」と言う。

「有害物質は外的なものと体内で作られるものの2種類あり、前者は、アルコールや加工食品に使われる添加物、医薬品、たばこ、大気汚染物質などが体内に入り込んだもの。後者は、代謝の過程で生じた活性酸素や慢性炎症物質、老廃たんぱく質、尿酸や過剰な糖代謝物などです。
いずれも人間の生命活動の役割を担うミトコンドリアの働きを妨げるため、放置すると病気を発症しやすい体になります」(武本さん・以下同)
ミトコンドリアは炎症を抑え、細胞の回復にも大きくかかわっている。
「デトックスは単なる毒を出すだけではなく、ミトコンドリアの働きをよくするためにも必要不可欠です」
デトックスをする上で「重要なのは、快便、快尿しやすい体を作ること」と説明するのは、形成外科医の関根彩子さんだ。

「体に不要なものを排出する際、75%は便から、20%は尿から、3%は汗から、2%が爪と髪から排出されます。つまり、ほとんどが便と尿から排出されるため、快便、快尿しやすい体を作る必要があるのです」(関根さん)快便、快尿に不可欠なのはなにより水分摂取。

今回の取材で、医師10名が実践しているデトックス習慣の1位は「水を飲む」ことだった。内科医の近藤千種さんが語る。

「私は起床後に白湯を飲みます。消化管を穏やかに刺激して便通を促すとともに、腎臓の老廃物の排出もスムーズにしてくれるからです」
美容皮膚科医の柴亜伊子さんは、水以外の飲み物にも気を配っているという。

「カフェイン入りの飲み物は利尿作用があり、亜鉛などのミネラルも排出されるためもったいない。コーヒーやお茶などは控え、常温か、ぬるめの白湯を飲むようにしています」(柴さん)
食物繊維で腸内環境を整える
名医10人が実践しているデトックス習慣ランキングの2位に入った「食物繊維を摂る」について、関根さんが説明する。

「水分に加え食物繊維を摂ることで、腸内環境が整い、毒素を排出しやすい体になります。私は日々の食事で腸内環境を整えるため、わかめやひじきなどの海藻類、オクラやモロヘイヤなどのネバネバ野菜、果物、もち麦などの穀物類を摂っています」
一方、耳鼻咽喉科医の村川哲也さんは、「冷えた赤飯を食べるといい」とすすめる。

「冷やご飯には『レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)』という食物繊維の働きをする成分が含まれます。腸に届いて善玉菌のえさとなるため『第3の食物繊維』とも呼ばれ、腸内環境を整える効果が注目されています。
赤飯には大豆たんぱく質や抗酸化作用の高いポリフェノールも含まれるため、デトックスとアンチエイジングの効果が期待できます」(村川さん)
また、「食物繊維に発酵食品を加えている」と言うのは、関根さんだ。
「納豆やヨーグルトに含まれる生きた菌は、食物繊維やオリゴ糖をえさにして増殖します。これにより『短鎖脂肪酸』が効率的に生成され、大腸のエネルギー源として腸内環境を整えるため、一緒に摂るのが医学的にもおすすめです」(関根さん)
乳酸菌が豊富に含まれたヨーグルトを摂る医師も多かったが、村川さんはヨーグルトの種類を定期的に替えている。
「ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、腸内で善玉菌の助っ人のような役割を果たします。ただ、菌ごとに免疫力向上など特性が異なるため、さまざまな種類の善玉菌を摂ることが望ましい。その点、ヨーグルトはメーカーごとに菌の種類が違うので、私は1週間おきにメーカーを替えています」(村川さん)
「善玉菌をサプリメントで摂っている」と言うのは、内科医の左藤桂子さんだ。

「善玉菌は空気に触れると死滅が早まるため、ヨーグルトなどは開けたらすぐに食べるのが基本。その点、サプリメントは加工されている上、直接、腸に届くよう開発されているものも多いので、サプリメントの技術力を活用して腸活を続けています」(左藤さん)
過度なアルコール摂取は腸内環境の悪化や肝臓に負担がかかるが、「適量であればデトックスにもつながりやすい」と語るのは、婦人科医の松村圭子さんだ。

「嫌なことを翌日に持ち越さないためにも、私は夕食にワイン1〜2杯程度を飲んで気分をリセットします。
適度な飲酒はストレス緩和にもなって、血流もよくなり、毒素の排出にも一役買います。ただし、アルコールを体内にとどめないためにも、お酒と同量の水を必ず飲んでいます。そのほか、たんぱく質と食物繊維を補うために毎朝、おみそ汁を必ず飲むようにしています」(松村さん)
最後に、「有害物質は最初から、体内に入れないように気をつけている」と言うのは、形成外科医の西嶌暁生さんだ。

「加工食品に含まれる添加物は肝臓の負担となるためなるべく減らし、新鮮な魚や肉などを選ぶようにしています」(西嶌さん)
名医がすすめるデトックス食品
以下は名医10人がすすめるデトックス効果を上げる食品だ。
「野菜や海藻類などの食物繊維は胆汁酸の再吸収を抑えて排泄を促し、腸内環境を整えます。また、発酵食品は善玉菌の働きを助け、腸内の有害物質の生成を抑える働きをします」(近藤さん)。
【穀物類】

もち麦、オートミール、大麦など
【ネバネバ野菜】

クラ、モロヘイヤ、山いもなど
【海藻類】

わかめ、ひじき、めかぶなど
【ヨーグルト】

プレーンタイプ、豆乳タイプなど
【発酵食品】

納豆、漬けもの、みそなど
【果物】

りんご、キウイ、アボカドなど

有酸素運動で代謝を促す
大切なのは食事だけではない。デトックス効果を上げるために、「週に数回の有酸素運動を行っている」と言うのは近藤さんだ。
「デトックスの目的は、代謝を乱さず炎症を抑え、肝臓への負担を減らすこと。そのために血流をよくすることは不可欠なので週に数回、有酸素運動を行います。
たとえば、1日20分程度のジョギングや早歩きをして血流を改善すると、インスリンの抵抗性(効きにくい状態)も改善できるため、脂肪肝の予防にもつながります」(近藤さん)

村川さんは、「毎朝、通勤時に約3.5kmのジョギングをしている」と言う。
「通勤時間を効率的に使えば、ジムに行く必要はありません。代謝も上がって体形維持にも役立ちます」(村川さん)
松村さんが心がけているのは「日々の家事で積極的に体を動かす」こと。
「私は朝一番に掃除をします。窓を開けて空気を入れ替え、拭き掃除をすると心身ともにスッキリします。診療の合間に行うゴルフもいい気分転換で、代謝も上がり、気分もリフレッシュできます」(松村さん)
周東さんは、「簡単な体操を毎日することで代謝が上がり、冷えやむくみの解消効果が期待できる」とすすめる。
「私は朝、目覚めたらすぐに『ゴキブリ体操』をしています。仰向けに寝て、手足をまっすぐ上にあげ、小刻みに揺らすだけ。手足にたまった血液やリンパ液が老廃物とともに心臓に戻りやすくなり、代謝が促され排出されやすくなります」(周東さん・以下同)
そのほか、「キングコング体操」もおすすめだそう。
「手を突き上げた後、胸を開き、両手で胸を叩く『キングコング体操』を1分程度行うと、心臓付近にたまった老廃物の排出を促すことができますよ」
入浴は必須。体を温め、代謝を上げる
眼科医の森真依さんは「毎日、湯船に浸かる」と言う。

「入浴は汗を流すためではなく、体を温めるのが目的です。40℃前後のお湯に15分ほど浸かると体が温まりリラックスしやすくなることで、入眠を促す可能性が高まります。睡眠中は体の回復や代謝が行われるため、よい睡眠は健康維持に役立つと考えられます」(森さん)
関根さんは入浴にもひと工夫している。
「エプソムソルト(硫酸マグネシウム)をお湯にとかして、15分ほど入浴します。マグネシウムが皮膚から吸収され、代謝を助け筋肉の緊張が和らぎます」(関根さん)

周東さんは手軽な足湯で老廃物を流していると言う。
「おけにお湯を入れて、150mlの酢と、大さじ3の塩を溶かし、30分足を浸けてからタオルで足の裏をこするだけ。足裏にこびりついた垢が取れ、においも気にならなくなります」(周東さん)
入浴して体を温め、リラックスしたら、武本さんはスマホやテレビを見るのをやめるという。
「睡眠中、脳では老廃たんぱく質の排出が進み、細胞は修復モードに入ります。就寝前にスマホやテレビを見てしまうと脳が興奮状態になり、細胞修復モードが妨げられてしまう。私は寝る3時間前にはテレビを消し、スマホの画面を見るのをやめ、脳を静かにする時間を確保しています」(武本さん)
西嶌さんは「肌のためにも、デジタルデトックスが必要」と訴える。
「スマホのブルーライトを浴び続けると肌に活性酸素が発生し、シミやしわの原因に。また、自律神経の乱れによる不眠や免疫力低下にもつながります」(西嶌さん)
「デトックスのために良質な睡眠を心がけています」と語るのは関根さんだ。
「脳にたまった老廃物は、睡眠中に肝臓に流れて体外に排出されます。その仕組みをスムーズに働かせるためには7〜8時間の睡眠を確保することが重要です」(関根さん)
周東さんは、起床後にうがいをすると話す。
「寝ている間に繁殖した口内の雑菌は、体内に入ると腸に悪影響を及ぼします。必ず洗い流してから飲食をしています」(周東さん)
深呼吸は一石二鳥のデトックス法
トップ5には入らなかったが、深呼吸を挙げた人も多かった。関根さんは、「腹式呼吸で肺の機能を向上させている」と言う。
「肺も二酸化炭素という毒素を出す排泄器官です。それに、横隔膜を動かすことで腸を刺激できるため、深呼吸は一石二鳥のデトックス法です」(関根さん)
間違ったデトックスは体を劣化させる
体にたまった「毒」を出し切るとして注目されるファスティング(断食)は、胃腸などの消化器官を休ませ、免疫力向上といった健康効果も期待できるが、「無理なファスティングは体の負担になる」と指摘するのは近藤さんだ。
「断続的にファスティングを行うことで、体重減少や、インスリン感受性や脂肪肝の改善などが報告されています。ただ、無理な断食は筋力低下、栄養不足になり、体に大きな負担をかけることに。
まったく食べないのではなく、食べる時間を空けるだけの時間制限断食がベター。私は前日の夕食から翌日の昼まで食事をとらない16時間ファスティングを毎日行っています」(近藤さん・以下同)
また近藤さんは「サウナで汗をかいてデトックスする方法は、医学的に効果を期待できない」と続ける。
「汗そのものの解毒作用は限定的なので、老廃物を出す効果は期待できません。ただ、リラクセーションによる血流改善、自律神経を整える効果は期待できるので、老廃物が便や尿から排出されやすい体になることは可能です」
代謝を高め、老廃物をしっかり出す体になることは健康面にもアンチエイジングにも大切だ。しかし、不調の原因がすべて毒素にあるとは限らない。
「疲労や肌荒れ、むくみなどの原因は多岐にわたります。デトックス法を試し続けても回復しない場合は、医療機関の診療を受け、原因を知ることが大切です。無理せず、長く続けられる方法を選ぶことが重要です」
体からドバッと“いらないもの”を出して、疲れにくい体を手に入れよう。

名医が警告!こんなデトックスはやったらダメ!
【1】水を1日に3L以上飲む
水の飲みすぎで弊害を起こすことも。「汗もかかずに1日3L以上、常飲していると腸が水浸しになり、栄養の吸収も悪くなります」(柴さん)。
【2】ジュースクレンズをする
「固形食をとらず、野菜や果物を低温圧搾したジュースのみで過ごすといった方法は、栄養が偏る上、低血糖になる可能性もあります」(森さん)
【3】下剤の乱用
便から有害物質が排出されるからと、下剤を使いすぎるのはダメ。「下剤の乱用は、自力で排便できなくなる恐れがあります」(関根さん)。
【4】腸内洗浄
「大腸内視鏡前処置など特定の目的で行われますが、健康な人には必要なく、デトックスできるという医学的根拠もありません」(近藤さん)
【5】サプリメントやハーブ療法
「このサプリメントやハーブを摂ると解毒できるという、確固たる医学的根拠はありません。過剰摂取は肝障害の恐れも」(近藤さん)
名医10人が実践!整うデトックス習慣まとめ
内科医・医学博士・武本重毅さん
・夜遅くに食事をしない
・軽い筋トレをする
・デジタルデトックスをする
内科医・左藤桂子さん
・加工食品を食べない
・ストレッチをする
・善玉菌のサプリメントを活用する
形成外科医・関根彩子さん
・発酵食品を摂る
・オリゴ糖を摂る
・エプソムソルト入浴を取り入れる
※エプソムソルト(硫酸マグネシウム)は、欧米では多くの家庭で愛用されている入浴剤。温熱効果により体を芯から温め、打ち身などの痛みを和らげる効果が期待されている。
美容皮膚科医・柴亜伊子さん
・食べる順番を決める
・甘いものを摂りすぎない
・飲み物はノンカフェインに
内科医・近藤千種さん
・16時間ファスティングをする
・抗酸化食品を意識的に摂る
・週に数回の運動
眼科医・森真依さん
・バランスのよい食事を心がける
・毎日、ウオーキングをする
・湯船に浸かる
医学博士・周東寛さん
・朝一番に口をゆすぐ
・足湯をする
・胸を叩く
耳鼻咽喉科医・村川哲也さん
・1週間おきにヨーグルトを替える
・毎朝約3.5kmのジョギングをする
・冷えた赤飯を食べる
婦人科医・松村圭子さん
・適度な飲酒をする
・ゴルフをする
・朝掃除をする
形成外科医・西嶌暁生さん
・食べすぎないよう心がける
・肌につけるものはシンプルな成分にする
・寝室にデジタル機器を持ち込まない
取材・文/廉屋友美乃
※女性セブン2026年4月9日号