
松竹の倍賞千恵子と日活の吉永小百合が競い合うように年間10本以上の映画に出演していたのは半世紀近く前のこと。昭和、平成、令和と第一線を走り続け、いまなおスクリーンを彩る2人の現在地とは。
万雷の拍手を浴びた興奮も冷めやらぬ3月中旬、45年ぶりに日本最高峰の賞を受賞した大女優の姿は、なじみの飲食店にあった。いつも着飾ることなく自然体の彼女は栄冠を手にした直後も普段の様子のまま。店主自慢の料理に舌鼓を打ち、静かに店を後にした──。
3月13日に授賞式が行われた「日本アカデミー賞」で最優秀主演女優賞に輝いたのは、山田洋次監督の最新作『TOKYOタクシー』で主演を務めた倍賞千恵子(84才)だ。1981年に『遥かなる山の呼び声』と『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花』で同賞を受けて以来、2度目の快挙だった。
「45年ぶりの受賞は最長ブランクで、樹木希林さん(享年75)が持っていた最年長記録の『70才』も大幅に更新しました。本人は『せっかくノミネートされたから会場に行こう』との軽い気持ちで、まさか最優秀賞を受賞するとは考えていなかったとか。かなりのサプライズだったようですが、『最優秀賞を取ると来年の授賞式で司会をしないといけないから、それまで元気で生きなきゃ』と、がんばるきっかけになったと喜んでいました」(倍賞の知人)
授賞式での倍賞は、シックな黒のロングドレスでレッドカーペットを闊歩した。
「緊張もあってひとりで歩けるか不安だったそうですが、優秀主演女優賞に輝いた松たか子さん(48才)が手を差し伸べてサポートしてくれたと言っていました。後日、受賞作で共演した木村拓哉さん(53才)からもお祝いの連絡があって、倍賞さんは『受賞を記念して一緒にご飯に行かないと』と意気込んでいました」(前出・倍賞の知人)
一方、同賞の最多受賞者は誰かというと、半世紀以上にわたり銀幕で活躍し続けるあの大女優だ。
「吉永小百合さん(81才)です。これまで優秀主演女優賞を21回、そのうち最優秀賞を4回獲得。昨年は女性で初めてエベレスト登頂に成功した登山家・田部井淳子さんをモデルにした主演映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』が公開され、熱演が話題を呼びました」(映画関係者)
同作の撮影中には吉永の身にアクシデントが襲った。
「ロケで富士山の麓に宿泊した際、目覚ましを止めようとした吉永さんは転倒してしまい肋骨を骨折。医師からは6週間の安静を告げられましたが、『止めるわけにはいかない』と役者魂で撮影を続けました。80代になっても第一線で活躍し続ける女優といえば、吉永さんと倍賞さんが双璧でしょう」(前出・映画関係者)